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【黒木瞳監督インタビュー】映画『嫌な女』に込めた、女性たちへのメッセージ

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黒木瞳さんが初監督を務めたことでも話題となった映画『嫌な女』。 桂望実のベストセラー小説「嫌な女」を、吉田羊と木村佳乃という日本映画界を代表する女優をW主演に迎え映画化されました。女優として輝き続け、また映画監督という新しいキャリアに挑戦する黒木さんに、映画に込めた思い、自身のキャリアについてお話を伺ってきました。

【黒木瞳監督インタビュー】映画『嫌な女』に込めた、女性たちへのメッセージ

映像権を手にしてから5年。最初は演じ手として参加するはずが……。

──脚本の西田征史さんとは、どのようにしてシナリオを構築していったのでしょうか?

「原作に魅了されて、映像権を手にしたのが5年ほど前のことなんですが、その時点で西田さんに脚本をお願いしようという心づもりでした。ちょうど西田さんがシナリオを手がけられたコメディー作品に出演したばかりだったこともありますが、人間のおかしさや面白さ、そういった笑いのエッセンスをお得意となさっているので、電話で打診してみたところ、快く承諾してくださって。そうして、まだ何も具体化していない時点から、2人で打ち合わせを始めました。私のイメージをお伝えして、その1ヶ月後に西田さんが脚本を上げてくる、それをまた直す……といった作業を3年くらい繰り返していたんですけど、その間に何度か映像化に興味を示したプロデューサーの方が何人かいらっしゃって、そのたびに意向を脚本に反映させたりもして……。ただ、結果的に話がまとまらず、ひとまず第二稿くらいにまで戻ってブラッシュアップをする──といった具合に、決定稿にいたるまでには、実にさまざまな経緯がありました」   

──そういった状況下で、ご自身がメガホンをとろうと決意なさった理由とは……?

「私は演じ手として参加する前提で映像権を手にしたので、引き受けてくださる監督を捜していましたが、なかなか見つからなくて。どうしようかと考えている時に、西田さんやマネージャーから、〝誰よりも『嫌な女』という作品のことを思い、理解しているのだから撮ってみてはどうか〟と言われたんです。もちろん、当初はとんでもないと思って、まったく考えずに脚本の打ち合わせを進めていました。ただ、『この作品の世界観を熟知しているのは、やはり私かもしれない』という思いも日に日にふくらんでいったんですね。そうするうちに、松竹の方と具体的な映画化の話がまとまり、監督を務める覚悟も決まりました。自分で撮る以上は、監督に専念するという踏ん切りをつけたと言いますか」 

──たとえばワンシーンだけ……いわゆるカメオ出演も考えていなかったのでしょうか?

「少し考えましたが、それよりなにより余裕がありませんでした。出演に関しても、自分の芝居を誰が客観的に見てくれるのだろうと思ったら、それはできないなと。私、この映画のキャンペーン中にジョディ・フォスターさんと対談させていただいたんですが、彼女も監督を務めた作品では出ていらっしゃらないんです。そのことをお聞きしましたら、『監督という第三者の視点が加わることで、自分のイメージした芝居を超えることが可能になる。でも、自分が監督の時には自分の芝居を見ることはできないから、イメージを超えるのは難しい』と、おっしゃって。はからずも私も同じことを考えていたので、出なくて良かったなと胸をなで下ろしました」

「嫌な女」に込められたポジティブなメッセージ

──その監督という立場から映画づくりに携わったことで、あらたに感じたこととは?

「ロケ場所ひとつにしても、選定して許可をいただき、いざ撮影に臨むまで本当に大変なプロセスを経るということも、身をもって体感しました。演じる側でしかなかった時は、当たり前のように現場に立っていましたが、そこに役者が立つまでには、たくさんの人々の思いや汗が介在しているのだ、と。これからは今まで以上に感謝の気持ちを抱いて撮影に臨もうと思いましたし……そういった意味でも、本当に貴重な経験をさせてもらったと感じます」 

──では、初めてご自身で監督を務められた作品をご覧になって、どう感じましたか?

「自分が出演した作品は見直すことができるし、周りの方々に『今回の作品、いかがでした?』と聞くこともできるんですけど、『嫌な女』を観るのは怖かったですね。もちろん自分では良い作品をと思ってつくったんですけど、客観的に評価することができなくて。それで、1日だけ上映している劇場に足を運んだんですが、かなりお年を召したご夫婦が、観に来てくださっていて……その姿を目にした時、『ああ、この映画を撮って良かった』と心から思えたんです。そのご夫婦だけでなく、数ある映画の中から『嫌な女』を選んでくださったみなさんに対する感謝とうれしさで、本当に胸がいっぱいになりました」   

──最後に、この映画の主人公たちと同じ30〜40代の女性へメッセージをお願いします。

「過去には戻れない、先に進むのも怖いという年代だと思いますが、〝良いことも良くないことも自分の人生と受け止めて、前に進んでいけたら、きっといつか心も晴れるよ〟というメッセージを『嫌な女』には込めておりますので、映画を通じて受け取ってもらえたらうれしいです。実のところ、30代も40代もまだまだ若いんですよ。私も当時は自覚がなかったんですけど、過ぎてみて『あのころは、すごく若かったんだな』と実感したんですね。なので、今は『今日の私が一番若い!』
をモットーにしていて。そう思って毎日を過ごすようになってから、明日という日が来るのを楽しもうと思うようになりました」


映画『嫌な女』Blu-ray&DVDは12月7日(水)発売。
セル商品には、監督の黒木瞳と脚本家の西田征史によるオーディオ・コメンタリーを収録。
映画化権獲得から撮影まで、撮影まで4年の月日をかけて2人で実現した本作の撮影秘話だけでなく、ここでしか聞けない制作裏話も。メイキング映像や、外国特派員協会記者会見の模様、舞台挨拶の模様など豪華映像特典も収録。
『嫌な女』12月7日(水)Blu-ray&DVD発売、DVD同時レンタル開始 
Blu-ray  ¥4,743+税/DVD  ¥3,800+税

(C)2016「嫌な女」製作委員会  
発売元・販売元:(株)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

ヘア&メイク/黒田啓藏<Three PEACE>

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DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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