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アニメの中の大人は「女性=ママ」【子ども向け番組のジェンダーバイアス問題を考える #1】

子ども向けのアニメで指摘されるジェンダーバイアスの問題。女の子や女性の描かれ方に違和感を覚えたことがある方もいるのでは? 子どもと一緒に人気番組を見て考えたことを中野円佳さんが3回に渡って綴ります。

アニメの中の大人は「女性=ママ」【子ども向け番組のジェンダーバイアス問題を考える #1】

子どもが見るアニメやテレビ番組を見ていて、女の子や女性の描かれ方に違和感を覚えることが多々あります。数回にわたって書いてみたいと思いますが、今回は大人の男女の登場の仕方です。

気になりだしたのは我が子が3歳のとき。当時のお気に入りはドラえもんでした。妹が産まれてから、夫と息子、私と娘というセットで出かけることが多くなっていました。そのことを息子は「おとこのこチーム、おんなのこチーム」と呼んでおり、ある日久しぶりに私と彼の2人で出かけたときに「きょうはおとこのこチーム、おんなのこチームじゃないね!」と言うので、「別にいいじゃん、どんな組み合わせでも」と返すと、こんな会話になりました。

子「そうだね。ドラえもん(に出てくるの)は、おとこのこばっかりだね」
私「うーん、しずかちゃんがいるね」
子「ドラえもん(の性別)はおとこのこっぽいし、ジャイアンもスネ夫もおとこのこだし、のび太くんもだね」
私「そうだね」
子「しずかちゃんと……」
私「ドラミちゃんもいるね」
子「しずかちゃんと、ドラミちゃんだけだね」
私「女の子、もっといたほうがいい?」
子「うん。でもしずかちゃんのママとかスネ夫のママとかいるね。だから、(子どもの方まで男女比率が1:1だと?)おんなのこばっかりになっちゃうんだね」
私「そうだねー、でものびたくんのおうちは、ママもパパもよく出てくるよ」
子「でもしずかちゃんのパパとか、スネ夫のパパとか、かおしらないから」
私「たしかに……」

このあとのび太たちの学校の先生についての話題も出て、つまり、よく出てくるキャラクターとして子どもの認識では、

子どもの男の子・女の子の比率=4:2
内訳:男の子=ドラえもん、のび太、ジャイアン、スネ夫
女の子=しずか、ドラミ

大人の男性・女性の比率=2:4
内訳:男性=のび太パパ、先生
女性=のび太ママ、しずかママ、スネ夫ママ、ジャイアンママ

ということなのです。

アニメの中のジェンダーバイアスというのはかねてから指摘されている問題です。ドラえもんの中の男女構成は典型的な「紅一点」で私も度々気になっていたものの、子どもに指摘されて初めて、男女は両方出てくるとはいえ、大人はママばかりで圧倒的にパパが不在、そして働く女性がほとんど出てこないことに気づかされました。

サザエさん、ちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃん……。今でもやっているアニメの多くの家庭が専業主婦家庭であること。これもよく指摘されることではありますが、子どもたちにも「大人の働く女性」「共働き」「ワーキングマザー」のイメージをもっと発信していきたいものです。

中野 円佳

女性活用ジャーナリスト/研究者。『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)著者。東京大学教育学部卒業後、日本経済新聞社入社。金融機関を中心とする大企業の財務や経営、厚生労働政策などを担当。14年、育休中に立命館大学大学院先端総...

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