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一徹さん×川崎貴子さん「日本で働いていると『セックスレスになりなさい』とお膳立てされているみたい」中編

一徹さん×川崎貴子さんの対談の中編。夫婦関係とセックスレスについて、女性向けAVで活躍する人気男優・通称エロメンの一徹さんと、著書に『愛は技術』などがあるジョヤンテ代表取締役の川崎貴子さんの対談をお届け。今回は、夫婦でのAV鑑賞のすすめや、婚外恋愛の是非が語られました。

一徹さん×川崎貴子さん「日本で働いていると『セックスレスになりなさい』とお膳立てされているみたい」中編

前編は、セックスも会話もコミュニケーション。夫婦の終わりは両方なくなる時」から。

■セックスに情熱を注がない国、日本

一徹さん(以下、一):子どもができるとセックスする時間があまりないじゃないですか。朝起きてご飯作って送り出して、夜もご飯作って宿題見て寝る。子どもと一緒に寝てます?

川崎さん(以下、川):夫と子どもたちと、4人で川の字になって寝てます。寝たいですもん、子どもと(笑)。ただ、そうなるとセックスは絶対無理ですね。やっぱり日本は住環境的にも厳しいし、ナニー(乳母)文化がないじゃないですか、シッターさんを家に上げられないし、仕事は長時間労働。ありとあらゆる要因が「さぁ、セックスレスにおなりなさい!」ってお膳立てされてるみたい。家同士もすごくくっついて密集してるので音とかも気になるし。フランスだったら、夫婦の寝室を別にして、赤ちゃんが泣いてても知らない、みたいな。日本だったら通報ものですよね。

一:虐待扱いですよね。アメリカは地下に子どもだけ寝かせて、何かあったときのために監視カメラを設置しておくと聞きました。お父さんお母さんと部屋は別なんです。

川:世界の皆さんはがんばってるなぁ。なかなか日本ではセックスにそこまで情熱を注がないですよね。

一:生きていくために必死ですからね。

一:そうなると、セックスレスになったときはコミュニケーションで補完するか、スキンシップを丁寧にするか、ですかね。

川:あとは二人でデートする日を作るとか。うちもやってます。でも結局子どもの話をしてるんですけどね、業務連絡みたいな(笑)。

■夫婦でのAV鑑賞は効果的。一方で、用法容量を間違えると“劇薬”に

一:シルクラボのDVDを観てくださってる方は、結婚している方も結構多いんですよ。「セックスに興味がない」という不妊治療中の患者さんに対して、医師が「自分が何に興奮するのか知りましょう」とうちのDVDを渡してくださって、女性の方が性に興味を持って、めでたく妊娠という。そういう使い方もしているそうです。

川:たしかに女性は自分の性的嗜好を知る機会って、男性と比べるとあまりないですよね、AVを観慣れてないし。私、最近、AV監督の二村ヒトシさんと共著『モテと非モテの境界線』を出させてもらったのですが、その対談企画が決まったとき初めて社内の男性に「AVの買い方教えて」って聞いたくらいなので。

一:女性向けだと、最終的にすることはするんですけど、そっちに重きを置くのではなくて、セックスに至るまでのプロセスとか、キュンキュンするような仕草やときめきを重視して作られているんですよ。そういうのを見てレスの不満を吹き飛ばしたり、旦那さんと一緒にDVDを観て、それが性についての不満を話すコミュニケーションツールになって、レスが解消されたりという話も聞きます。

川:うちは昔からよく二人で映画を観るんですよ。といっても、戦争モノかサイコサスペンスなんですが(笑)。女性向けのAVを夫婦で観るっていうのも、すごくいいかもしれないですね。男性向けのAVを観たことがあるんですけど、女性が観ると結構引いたりするものもあるじゃないですか、部分的に。でも女性向けに作られたものを男性が一緒に観てくれるというのが主流になっていくと、お互い性のことを語り合えそうですよね。

一:たとえば、キスシーンが長いんですよ。で、それを観て男性が「長い」って言ったら、「でも女性はこういうのが好きみたいよ」って言って、「へぇ、こんな感じ?」って言ってキスが始まったり。でも用法容量を間違えると、嫉妬してしまうとか、劇薬になる。

川:どういうことですか?

一:男性の方が「なんでこんな男がいいんだよ、俺の方がいい男だろ」って怒って意固地になっちゃう。イベントが月に2回あるんですけど、来てくださる女性の方は旦那さんから行くなと言われたり、旦那さんに探偵を雇われてたりとか。

川:大変ですね! でもそれっていいことですよね、旦那さんが奥さんに興味を持っているということですから。結婚してしまうと、一旦征服したというか所有したと思ってしまうがゆえに、男性側のレスって進むじゃないですか。

一:釣った魚にエサはやらないってことですね。

川:なんかそわそわしてる、キレイになった、男がいるんじゃないかみたいな、それっていい刺激になるんじゃないですかね。

■日常にときめきゼロだと女性はパサパサしてしまう

一:セックスレスをリアルで満たすんじゃなくて、2次元や2.5次元で満たすって方もたくさんいらっしゃいます。ぼくみたいなエロメンに限らず、ジャニーズだとか韓流アイドルとか。

川:それはそれで幸せですよね。女の人ってどこかにときめきがないと、本当にパサパサになるんですよ。比喩じゃなくて、髪とか肌とか目とか、いろんなところがパサパサしてくるんです。いま「魔女のサバト」という結婚に関する勉強会をやってるんですけど、そこの女性たちも、恋をしたり相手が見つかったりすると、急に目がウルウルして肌や髪が綺麗になってくる。女の人ってすごくわかりやすいので。逆に仕事だけがんばってるって子は、私も経験あるんですけど、男性みたいに、ヒゲが生えそうになってくるんです。

一:聞いたことあります、ドラマの「ラスト・シンデレラ」でも篠原涼子さんが言ってました。

川:女の人だって、ヒゲ生やしたくないしパサパサもしたくないですよ(笑)。でもやっぱりときめきがなくて、自分が「素敵!」って思えるようなものがない人生って、「乾き」につながってしまうんですよね。

一:でも男性は理想としてはパートナーにときめいてもらいたいわけじゃないですか。だから、いま二次元でときめきを満たすというのはアリといえばアリなんですけど、プラスアルファで旦那さんとうまく付き合える方法ってあるんですかね?

川:そのトリガーになるのはいいと思うんですよ。女性向けAVで奥さんが気持ちを持っていかれることで旦那さんの嫉妬心に火を点けて。欲情のメカニズムって人によって違うと思うんですけど、不安定なら不安定なほど男女問わず欲情することってあるんじゃないかと。結婚って“安定”のステージなので、そこで継続的に欲情し続けろという方が大変なので。じゃあ不倫した方がいいのか、となると不倫は家庭を壊してしまう可能性が高いので、またすごく難しい問題じゃないですか。そうなると2次元のコンテンツが、二人のトリガーになれたらいいなとは思いますね。

一:そう言っていただけるとすごくありがたいんですけど、それが原因でめでたくベビーが生まれました、しばらくイベント行けませんって言われると、「おめでとう!」と言いながら内心寂しいんですけどね(笑)。

川:とはいえ、「ベビー後レス」も多いじゃないですか。急に父と母っていう関係性を強化する夫婦関係になるので、その後またイベントに出現しますよ(笑)。

一:それまでぼく、男優やってたらいいんですけどね、何歳まで現役でいられるんだろう……(笑)。

川:視聴者と一緒に年を重ねていけるのっていいですよね、がんばってください。

一:ありがとうございます。

■夫婦間のオープンな婚外恋愛は欲情のトリガーになる?

一:ぼくの同業者の中には、結婚という制度自体は社会をうまく回らせるための制度なんだから、思いきって婚外恋愛の相手を見つけてみてはどうかと提案する人もいるんですよ。それについてどう思いますか。

川:自分のパートナーも、向こうのパートナーも傷つけないで済むならベストですよね。もちろん、家庭が壊れないのが前提ですが。

一:ちなみにその方は、もう最初からオープンにしていて、自分は結婚していても婚外恋愛するし、相手もむしろ婚外恋愛してほしいって言っています。嫉妬しないんですかって聞いたら「むしろその方がスパイスになっていい」と。

川:その方がベターということですよね。二人ともそれでいいならいいですけど。うちも夫がCMとかPVに一時期出ていて、キスシーンや抱擁シーンをこなしていました。それは仕事だったので、見てても全然平気だったんですね。でも彼女が外にいるってなるとちょっと違いますよね。それとも、嫉妬心とかメラメラ出てくるのかしら? 一徹さんの奥さまもお仕事だからいいと思ってるんですよね?

一:そうですね。

川:「私の家族として愛している人はこの人、恋愛対象として愛しているのはこの人」ってオープンにしてる人もいるということですよね。なんて正直なんだ! そして、すごいなとは思うんですけど、なかなかそこまで寛容になれるかどうか私たち夫婦の関係性上、わからないです。でも最近の不倫騒動であれだけバッシングするのって、もちろん「奥さんや、相手の配偶者の立場を考えろ」っていう怒りから、ああいうバッシングになるんだろうけど、どこかで羨ましいなって思ってる人もいっぱいいると思うんですよね。

一:わかります、「抜け駆けして……私は我慢してるのに!」って。

川:安定と不安定を両方享受しているというか、それはちょっとズルくない? みたいな感覚もあるかもしれないですね。

<一徹さん×川崎貴子さんの対談「後編」に続く>

Text=芳賀直美

川崎貴子さんのプロフィール

1972年生まれ。埼玉県出身。1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。女性誌での執筆活動や講演多数。著書に『モテと非モテの境界線』(講談社、二村ヒトシ氏との共著)、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、『私たちが仕事を辞めてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(KKベストセラーズ)、『上司の頭はまる見え。』(サンマーク出版)がある。2014年より株式会社ninoya取締役を兼任し、ブログ「酒と泪と女と女」を執筆。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は2万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。11歳と4歳の娘を持つワーキングマザーでもある。キャリア女性向け婚活サイト「キャリ婚」共働き世代の独身男性会員募集スタート!

一徹さんのプロフィール

業界初のメーカー専属AV男優として、女性向けAVメーカー「SILKLABO」で活動中。人気エロメンとして、TV・ラジオ・雑誌・イベント等出演中。

ブログ:http://blog.livedoor.jp/silk_ittetsu/
Twitter:@ittetsu_silk

DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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