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夫と離婚したい。でも離婚後の将来が不安な人へ - 池田 園子の女を磨く離婚道 #1

夫との離婚後の将来が不安な方にお届けする、池田 園子の離婚道。「ホントに(離婚届を)出していいのかなぁ……」。ここは区役所。彼は直前になってモヤモヤし始めた様子だ。それでも、私はこの日を離婚記念日にしたかった。

夫と離婚したい。でも離婚後の将来が不安な人へ - 池田 園子の女を磨く離婚道 #1

■たっぷり泣いて、ひたすら書いたら、未来だけが見えてきた。

「ホントに(離婚届を)出していいのかなぁ……」。ここは区役所。彼は直前になってモヤモヤし始めた様子だ。それでも、私はこの日を離婚記念日にしたかった。「もし、あなたが私とまた一緒になりたくなったら、もう一回(婚姻届を)出せばいいし、そのときは事実婚もありじゃない? とりあえず、一旦終わらせよう」。

27歳で結婚し、29歳で離婚。わずか2年2ヶ月で結婚生活が終了するなんて想像もしていなかった。彼と恋人時代から使っていたカップル専用アプリに「これからもずっと一緒にいようね」とコメントされた写真を眺めると、言葉はなんて無責任なのかと感じる。何の保険にもならない。信じていいのは行動だけだ。

紙切れを提出する瞬間は正直、未練なんてなく「女って強いな」と他人事のように感じていた私だけれど、別居直後〜1ヶ月はボロボロだった。ある週末、昼と夜の2回、ひとりぼっちの新居でわんわんと泣いた。涙が枯れるかと思うほど、激しい泣きっぷりで、そのまま眠りについたせいか翌朝は目が腫れ、二重部分が整形直後のような状態と化し、洗面所で悲鳴を上げた。

ただ、離婚する可能性の高さを受け入れ、負の感情をすべて絞り切るくらい、涙を出し尽くした爽快感があった。気分が晴れやかになった私はその足で近所の図書館へ行き、離婚や結婚をテーマにした小説を5冊ほど借りて帰宅した。眠れない夜に読みふけったのは、白石一文氏の『愛なんて嘘』と井上荒野氏の『もう二度と食べたくないあまいもの』。

それでも眠れず、時計を見ると明け方の4時を回っていた。布団に入っていても、未来のイメージが次々と生まれ、目が冴えてたまらない。近い将来起きる離婚という変化を受け止めるために、何かアクションを起こすべきときなのだと思った。ベッドから抜け出し、ホットウイスキーを飲みながら、そのとき浮かんだ思いを仕事道具のWordに勢い良く打ち込み始めた。

■離婚メモの一部を公開

「……いつ正式に離婚が成立するかはわかりませんが、夫にしがみつくのはやめようと、昨夜決意しました。宇野千代先生の本も、背中を押してくれました。私は夫から『結婚したい』とまではいかなくても『結婚してもいい』と思われた女。こんな言い方は嫌ですが、男に選ばれた女なわけです。だから、離婚=勲章のようにポジティブに捉えれば良いのでしょう。『池田さんは結婚してるの?』と、いつか・どこかで訊かれたら、「2年ほどしてました(微笑)」と答えれば良いのでしょうか。なんだか、人生でいろいろな経験を積んでいる風があります。けっこうなことではありませんか。(中略)

それでも私は、また結婚するのも悪くないなと思うのです(形式は問わない)。夫との結婚生活は楽しかったから。夫はどうなのかわかりませんが。でも、一番大事なのは自分自身の気持ちです。自分が世界で一番、自分を大切にできる人間ですから、ある程度は自分勝手で良い。私は楽しかったし、短いながらも、ふたりの生活を経験できたことが嬉しかったのです。夫との生活で得た反省点を生かして、次の結婚生活はもっと楽しめたら良いなと感じる気持ちに進化しつつあります。この2日間、いろいろ考えて、吐き出し、吸収もした結果、希望で満ち溢れています。(中略)

ここからは空想中の、少し先の話。私は32歳くらいで再婚します。がっしりした体つきで背が高めで、トライアスロンなどのスポーツをしている男性と。10歳ほど年上で、IT・通信系企業で執行役員の職に就いています。タバコはもちろん吸いません。◯◯社の△△さんみたいに精悍な印象で、短髪、清潔感あふれる外見です。バツイチで子どもはいるかもしれませんが、奥さんが引き取って育てており、養育費を支払っているまっとうな人。彼とは友達主催の食事会、または仕事を通じて知り合います。知り合って1ヶ月ほどで付き合い始め、久しぶりに恋をするのです……」(伏せ字を除き原文ママ)

■泣き尽くして、未来を妄想したら強くなれた

上述は一部で、とにかく気持ちの赴くままに書いた長文は、現在も保存している。当時、思いを文章としてアウトプットしたことで、私は谷底から自力で脱出できたし、過去と訣別しようと何歩も前進できたことは確かだ。離婚後で将来に不安を抱える人がいたら、ぜひ試していただきたい。

……と、カッコよく言い切ってみたが、街中で不意に涙がこぼれ落ちてきて困ったこともあるし、仕事の現場では気丈にふるまうものの、帰宅して彼との写真を眺めてはしくしくと泣いたこともある。週に1回は涙を流しただろうか。それでも、もうバカみたいに泣き喚いたり、関係を元通りにしようと奔走したりするのはすっぱりやめた。いつの間にか前を向けていた。

互いに望んで一緒になったはずの2人の関係性に決定的なヒビが入ると、修復するのは至難の業だ。相手の心のシャッターが冷たく閉じる瞬間を一度でも目にすると、もう手立てがないと知ることになる。無理やりシャッターを開けようとしても、よりこじれて逆効果になるのは間違いない。

彼との楽しかった記憶はそのままに、最良の状態で身を引きたかった。本当に好きな相手だからこそ、不幸せ・不自由な状態でつなぎとめておくのは失礼だと思った。それに、好きな人にみっともない姿を見せるのは自分の流儀に反する。私は彼の前では最初から最後まで、自立したカッコいい女でありたかった。

数ヶ月後~数年後の自分の姿や状態を上手くイメージすれば、彼への未練は消失するし、希望がわいてくる。新しい人生を歩み、新たな恋愛もつかみとって、今よりもっと楽しく生きるんだ。私にはできる。新しい自分をつくれる。根拠があるのかわからない自信だけれど、いつしか本物になると信じて。

そんな思考がぐるぐると巡り、私の頭を未来思考に切り替え、新たな人生を妄想して楽しむことにした。そのプロセスとなったのが気持ちを書き出す、執筆デトックスだったのだ。

池田園子

池田 園子

DRESS編集長(2016年1月〜2020年1月)。

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