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ディスカヴァー・トゥエンティワン代表 干場弓子さんが選ぶ、私に影響を与えた5冊の本

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ディスカヴァー・トゥエンティワン代表 干場弓子さんが選ぶ、私に影響を与えた5冊の本

ディスカヴァー・トゥエンティワン代表 干場弓子さんが選ぶ、私に影響を与えた5冊の本

小学生の頃、「図書館の本は全部読む」と決めて本を手に取ったのが最初の本格的な読書の始まりです。中学生になると『風と共に去りぬ』『アンナ・カレニナ』などの海外文学を読みあさり、高校では安部公房やカフカのような当時の前衛文学などを好みました。一方、『古文研究法』『大学への数学』など優れた参考書も私にとって大切な本。思考力の基礎が身につきました。

学時代は『20歳の原点』や学生運動がテーマの小説、シモーヌ・ド・ボーヴォワールなどフランス哲学を読み始めました。これらの本を読むことがファッションであり、それを読んでいる自分に酔いしれていた部分もありますね(笑)。こうした読書体験から文章の書き方を学びましたし、クリエイティビティも刺激され、今の私のものの見方や考え方、仕事の仕方に影響を与えていると思います。

『風と共に去りぬ』(マーガレット・ミッチェル)
中学時代、一番影響を受けたのがこの作品。レディファーストの名のもとの男尊女卑がまだ強かった時代に、いざとなれば家族を養うために自分で戦うスカーレットの力強い生き方は魅力的でした。彼女の「Tomorrow is another day」は今も大好きな言葉。後悔せず前を見て現実的な解決策を探していく姿はカッコよかった。映画も何度も観ましたし、本も何度も読みました。私のロールモデルのひとりです。

『他人の顔』(安部公房)
事故で顔面に醜い火傷を負った男が、精巧なマスクをした途端、誰も自分だとわからなくなって……という話。まさに“顔”は自分の自我=アイデンティティ。人間とは? 社会とは?これを読んでから、他に違った見方はないか、前提を疑った上でみてみよう、といった意識を持つようになったと同時に文学の新たな可能性に気づき、漠然と自分も作家になりたいなと思うようになりました。

『ドゥルーズの思想』(ジル・ドゥルーズ)
形がつきそうになったら逃げ出せ! 私なりにそこだけを感じとりました。一方、差異から生まれる創造についても。あらゆるものは解釈に左右されています。会話も文章も相手に正確には伝わりません。個人によってその言葉の解釈が違うから。どんなに言葉を尽くしても解釈は微妙にずれ、そこには差異が生じます。でも、差異があるからこそ、それを埋めようとして会話が生まれます。差異、いわば間に新しいものが生まれる。そんな感覚を学びました。これは私の仕事の基盤になっています。

『ご機嫌の法則100』
『コミュニケーション100の法則』
『今日を楽しむための100の言葉』

(伊藤守、3点とも古い装幀)
『嫌われる勇気』(岸見 一郎、古賀 史健)

この3冊は弊社の会長・伊藤守の本。私自身、編集に携わる中で、今につながる人間関係と人生に対する姿勢を身につけていきました。古い本ですが「私たちは自分の過去も変えられる」「すべてのコミュニケーションには目的がある」などの言葉は、今思うとアドラーのものなんですね。伊藤もアドラーに影響を受けていたんだと驚きました。

『夜明けのロボット』(アイザック・アシモフ)
20代の頃の私は「嫉妬する自分」が嫌で、嫉妬から自由になりたいと思っていました。その頃読んだのが、このアシモフのロボットシリーズ。作中で、人型ロボットのダニエルがあまりも優れていて冷静な判断をするので、相棒の人間が嫉妬から嫌味を言う場面があります。ダニエルは、人間の感情を表情から理解できても、自分には感情がなく嫌みを言われても何も感じない。その時、突然思ったのは「人間でよかった! 」って。すこし飛躍しますが、嫉妬も喜びなどと同じように、大切な感情であり、それがあるから人生は豊かだと悟ったんです。そのように嫉妬を受け入れたら、不思議と嫉妬することも減っていきました。それはこの本のテーマでもなんでもないのに……。

今回『夜明けのロボット』を読み返しましたが、その場面がどこにあったかも気づきませんでした。本が素晴らしいと思うのは、読み手と読み手の状況によって様々な価値を引き出せること。読み手が本当に求めるならば、たとえどんな本であっても必ず価値を見つけることも学ぶこともできる。それが読書の素晴らしさですね。

干場弓子さん
愛知県立旭丘高校、お茶の水女子大学教育学部出身。1977年、世界文化社入社。「家庭画報」編集部等を経て1985年、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン設立。以来、取締役社長として、経営全般に携わり、書店との直取引で日本1の出版社に育て上げた。2011年には『超訳 ニーチェの言葉』が同社初の100万部を突破。
編集部全般も統括し、CDサイズのシリーズ、ミリオネーゼシリーズ、強育シリーズ、携書シリーズ、Discoverサイエンスシリーズなどを立ち上げてきた。自らも編集者として、勝間和代さんの各書籍、小宮一慶さんのビジネスマンシリーズ、流行語大賞にノミネートされた『「婚活」時代』を手がけるなど、常に新しい視点でヒットを創り出している。
最近では、『電子書籍の衝撃』を企画・編集し、いち早く自社でダウンロードサイトをオープンするなど、電子書籍への先進的な取り組みでも注目を集めている。




Text=新川五月

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DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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