あなたをひとりにしない、おひとりさまエッセイ【TheBookNook #57】 4/4
3. 佐藤愛子『九十歳。何がめでたい』
ただ生きている、それだけのこと。
本作品は、直木賞作家・佐藤愛子先生の痛快なエッセイ集。 90歳(現在は101歳)という人生の大先輩とも呼ぶべき女性作家。本作の目次に並ぶ“いちいちうるせえ”の文字に、思わず読む前から笑ってしまいました。ちょっとした世間話を聞いている感覚で読み始めた一冊でしたが、気づいたときにはもう佐藤さんの虜……。
自由という不自由さ、便利という不便さを嘆き、でも批判がましくなくユーモアたっぷりに現代の日本人を皮肉る。昔はこうだったなんて言われても……と思うことは日々ありますが、彼女の言葉は不思議と素直に受け止められ、心にすっと入ってきます。
歩きスマホに自転車スマホ、そりゃため息もつきたくなる。日々目まぐるしい変化に、20代の私ですらついていけていないのですから。
もし、私が長生きできるとしたら、体が衰えてしまっても、周りの人や世の中に愚痴をこぼせるくらいシャンとしていたい。そんな思いを巡らせながらページを閉じました。
潔く豪胆、パワフルで生命力にあふれた一冊。もうご本人は耳にタコかと思いますが、ぜひ長生きして欲しいと願っています。
■ひとりの豊かさを感じて
誰かの暮らしを覗くような読書の時間は、ひとりの午後にも小さな気配を連れてきます。
笑い、ため息、ささいな日常の仕草……。それらが、ひと欠片でもあなたに寄り添えたとき、ひとりでいることの豊かさを改めて感じられるはずです。
“あなたをひとりにしない一冊”。
その心地よさを、この機会にぜひ味わってみてください。
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