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私の花を枯らす、意外な真犯人!?

私の花を枯らす、意外な真犯人!?

私の花を枯らす、意外な真犯人!?

**今回から、「私」(40代ワーキングママ由樹子)の目を通した「ちょい足しボタニカル生活」をお届けします**

「私の部屋ってそんなに空気悪い??」

そう思ってしまうほど、部屋の花がすぐ枯れる。先週は友人の結婚披露宴に出席し、お土産にもらった花束をコップにいけた。同じ披露宴に出席した友人のA子が、ランチでふと口にした言葉が、胸にひっかかる。「もらった花束、長持ちでまだ全然元気。高いお花屋さん使ったのかもね」。私がもらった花束は、とっくに茎がドロドロの緑色に腐ったので捨ててしまった。ちゃんと水かえもしたし、茎も短く切ってあげたのに。自分の部屋によどんだ空気が流れている気がして、またパワースポット巡りでもしようか……などと考えながら足早に冬の夜道を歩く途中、黄色く温かい光が漏れる花屋が目にとまり、ふと吸い込まれるように入ってみた。

重い木のドアを押して中に入ると店内は薄暗い。バケツに入れられ所狭しと並べられたたくさんの花の奥で、メガネをかけた中年女が一人でバケツに水を汲んでいた。髪を後ろで束ねすっぴんの横顔は、無愛想でなんとなく実家の母を思い出す。「いらっしゃいませ」とも言われないので黙って花の香りをかいでいると、朝からずっとここにこうして立っていたかのような、不思議な居心地の良さを感じる。

「私、花は好きなんだけど、すぐ痛んじゃうんです。なんでですかね〜?」
胸にひっかかっていた言葉がポロリと口から出た。

「ハサミ、なに使ってる?」
「え?」
「花を切るハサミ」
「え〜と、文房具屋さんで買ったふつうの、です」
「ハサミ変えてみたら?」

そういって、おばさんは自分が使っているハサミを見せてくれた。ずっしりと重く、手で握る部分がふつうのハサミよりも異様に大きい。握りの部分が大きいと、硬い木の枝なども楽に切れるのだそうだ。おばさんが言うには、花の切り方でずいぶん花持ちが違うらしい。花の茎には導管という水を吸い上げる管があり、切れないハサミだとその管の組織を壊してしまい、それが花持ちを悪くする一因となるのだそうだ。

試しに1本茎を切らせてもらうと、重いハサミを少し動かしただけでスパッと鋭い切り口が現れた。ハサミや包丁、モノが本来の役割をきれいに全うする感触は、こんなにも気分のいいものなのかと改めて思う。

「そうか、部屋の空気が悪いんじゃない、ハサミが悪かっただけなのよね」

多くの花屋も愛用しているという「坂源」というそのハサミと、淡い黄色やオレンジの春を思わせる色の花を数本買って、私は花屋を後にした。コツコツとアスファルトを歩くブーツの足音が、少しだけ軽くなるのを感じながら。

+++ もなみのちょい足しポイント +++ 

花屋さんが愛用しているハサミ

金物の町として知られる新潟県三条市で操業100年の刃物メーカーの製品です。フッ素加工されているのでサビにくくお手入れ不要。歯が欠けたら研がずに買い換えます。写真はグリーンのハサミを使用していますが、たくさんの植物を切る机に置いておくとグリーンの色が目立ちにくく、葉っぱと一緒にゴミ袋に入れて捨ててしまったことがあり(笑)私はそれ以来ピンクや赤などのカラフルな色を使っています。

「坂源」 ハンドクリエイションシリーズ F170 \2,600(税抜)
http://www.hanabasami.com

楽天/amazon

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輪湖 もなみ

ワードローブコンサルタント/リメイクデザイナー 大手アパレルで16年間ブランド管理や店頭指導などに携わる。長年培ったノウハウを個人のクローゼットに応用し、毎日着る服がないと悩み断捨離を繰り返す人を救うため、クローゼットコン...

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