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古い母親像にとらわれない。それが女性の自由への道。

古い母親像にとらわれない。それが女性の自由への道。

「大きくなったら、ママより大きな会社の社長になる」。最近の娘の口癖だ。

3回の出産は毎回産む直前まで働いて、産後もすぐに復帰。母親の隣のマンションに引越し、ベビーシッターも雇い、保育園の目の前に居を構えた。ありとあらゆる手段をつかって、仕事と育児の両立をさせてきた。専業主婦の母親に時間も愛情もたっぷりかけてもらった私が、「小さい時から預けて仕事する罪悪感」がゼロではなかったかと問われれば、答えにくい。でも、女性のライフスタイルもここ数年で大きく変化した。育児スタイルが変わるのは必然の流れだと思う。

日本はかつてない少子高齢化社会に突入した。ますます増加が予想される社会保障費。そんな時代なのに国の借金は1000兆円を超えた。国民1人当たりの借金はなんと約830万円に。社会を担う世代は誰か。そう考えた時、男性だけが働き手ではもう間に合わない。

先進国の中でもっとも女性の大学進学率が高い日本。高学歴で優秀な日本の女性達は、出産を機に7割も仕事を辞めてしまう。そう、まだ日本は育児と仕事の両立がしにくい国。女性リーダーが少なくて問題視されているのに、これじゃ女性リーダーが増えっこない。誰が本気になって女性が働きやすい社会を創るのだろうか。もはや待ったなしの現状なのに。

子供が寂しがって泣く、専業主婦の親と比べられる、義母にしつけが甘いと怒られる、そもそも忙しすぎる、子供の熱が出て会社に迷惑かける、まことしやかにささやかれる3歳児神話。でも、そもそも、なんで私はこんなに躍起になってるの? このままでいいの?働くママなら誰しもぶつかる「ワーママの罪悪感」。押しつぶされそうになる育児と仕事の責任、両立の忙しさとストレス。

自分のためだけに働いている訳でもないのに、理解されにくい現状。ハーバード ビジネス スクールの研究結果によると、働く母親に育てられた女の子は、職場で重要なポジションに就き、自身もワーキングマザーになり、収入も高い傾向がある。同様に、男の子は、家事貢献度が高い傾向という結果に。見事じゃないか、理想の未来だ。ワーママの娘はワーママに、息子はイクメンになるなんて。

そう、日本はこれから、諸外国のように男性も女性もパートナーシップによる共働き世帯が中心となる。時代の転換期にいる今のワーママは狭間で悩み、職場でもまだ珍しい、扱いづらい存在かもしれない。でも、間違いなく時代の流れを変える先駆者、未来の家族のあり方を創るマザーなのだ。

私はいろいろな事情があって専業主婦にはなれなかった。子供にすべての愛情をそそぐ彼女達の生き方は女としていつも憧れだ。でも、社会を変えたくて、起業家として生きて、困難を笑い飛ばしながら、子供を産み続けた。真剣に働く私の背中を見て育った娘。もちろん彼女も寂しい事もあるだろう。最近携帯を与えたら連絡が頻繁だ。それでも「ママが大好き、ママが憧れ、だからママを超える女性になる」、それが口癖の娘を見ると心から嬉しいと思う。

時代は変わった。昭和は終わった。忙しければ育児を外注しよう、昔の育児スタイルに固執するのをやめよう。昭和スタイルを脱してもいい。育児も自分らしくコーディネートしよう。女性が家事労働を長時間担っているのは先進国の中で日本だけ。辛くなったら、育児や家事のプロに任せよう。沢山の子供と向き合ってきたベビーシッターはワーキングマザーの力強い味方だ。ママのストレスを解消するばかりではなく、子供の感性を引き出すノウハウももっている。

私はそのために、1時間1000円から即日利用できるベビーシッターサービスをたち上げた。ママ達に笑顔になって欲しい。ママは家族の太陽だ。心に余裕をもって、旦那さんと子供に思いっきりの愛情を注いで欲しい。ママのあり方が未来を創るのだ。罪悪感なんていらない。プロを味方に付けて、新しい育児を取り入れ、自分らしい育児スタイルをみつけよう。笑顔でいる事にもっと欲張って、今日も胸をはって凛と立ち向かおう。

古い母親像にとらわれない。
それが女性の自由への道。


経沢香保子

Text / Kahoko Tsunezawa
DRESS 2015 8月号 P.190 掲載

経沢香保子(つねざわ かほこ)
桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びカラーズを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社会を実現するべく、1時間1000円~即日手配可能な 安全・安心のオンラインベビーシッターサービス「キッズライン」を運営中。オンラインサロン「女性起業家サロン」も人気。

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経沢 香保子

桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びキッズラインを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社...

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