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コロナで終わった恋、始まった恋

非日常を日常に変えた新型コロナウイルス。恋愛も大きく変わりました。聞こえてくるのは、会えなくなって、終わった恋の話? ……いいえ、会えなくなったからこそ、始まった恋もあるのです。今回は、コロナで始まった恋、そして、終わった恋。2組のカップルを追いかけました。

コロナで終わった恋、始まった恋

■「会えない」から始まった恋

「コロナ前、呼び出されたら、すぐに彼のところへ駆けつけてました」

こう語るのは、都内でひとり暮らしをしているナナコさん(29歳・仮名)。1年前、5歳年上の彼に告白をするも、曖昧に濁され、そこから、“友達以上恋人未満”の関係を続けていました。

「新型コロナウイルスが、少しずつ拡大しはじめていた3月、彼から“今から飲まない?”と連絡がありました。いつもだったら喜んでいくけど、私は保育園で働いているので、万が一のことがあったら……と断ったんです。彼の誘いを断ったのはこのときがはじめてでした」

「もう少し収まったら会おうね」と約束をしたものの、4月に入り、緊急事態宣言が発令。彼から「今から飲まない?」のLINEはなくなりました。

「そりゃ、会いたくてたまらなかったですよ。でも、自粛中に、自分の“会いたい”を優先して、万が一のことがあったら……。それに、都合のいい関係だったから、このまま終わるのかなって」


気軽に会えない……。曖昧な関係を続けている男女の多くが、コロナによって、関係に終止符を打ちました。でも、ナナコさんと彼の関係には、意外な変化がありました。

都合のいい関係から恋人へ

「たびたび彼から連絡がくるようになったんです。“コロナ大変だね~。元気? 俺はずっと在宅勤務だよ”って。ビックリしました。今まで、会うときにしか連絡してこなかった彼が、急に他愛もない会話をはじめたから。やりとりを続けていると、電話がかかってきて。毎晩電話するようになりました。何週間か電話が続いたとき、彼が“宅飲みしない?”って言ってきたんです」


次の日、彼が大きなスーパーの袋を持って、ナナコさんの部屋に現れました。

「彼、部屋に入ると、“キッチン借りるね”って急に料理をし始めました。しばらくして、唐揚げとか、サラダとかが出てきて。ビールを開けて乾杯しました。コロナ前の彼は、22時前に私を呼び出して、明け方私の部屋に来て、始発で帰る……って感じだったのに、目の前の彼は、私のために料理を作ってくれている……。夢みたいでした」


それから、彼がナナコさんの部屋を訪れる回数は、週1、週2と増えていきました。

「しばらくたって、彼、こう言ったんです。“会えなくなって、大切さに気づいた。付き合ってほしい”って。私は“今は別に恋人はいらない”と一度告白を断られて、でも彼が好きで、都合のいい関係を続けてきた。まさかこんな形で恋が報われるなんて……。

彼も私も在宅勤務だったので、そのまま私の部屋に泊まって、ふたりで次の日仕事をすることも増えました。たまに、彼が出社するときも、彼の家より、私の家のほうが近いから便利で。どんどん彼が帰る理由がなくなった。今は半同棲状態です」


コロナウィルスの感染拡大で、都合のいい関係から会わなくなった男女も大勢います。でも、ナナコさんと彼のように、会えないからこそ、お互いの大切さが分かり、一緒にいたいと思った人もいるようです。

■「会える」から終わった恋

「コロナでずっと彼といられるようになって、別れを決めました」

こう語るのはヒロミさん(32歳・仮名)。彼女には、2年交際している3歳年上の彼がいます。ヒロミさんと同じ会社に勤める彼は、妻子持ち。独身のヒロミさんとは、不倫関係にありました。

「コロナで、彼も私も在宅勤務になりました。不倫をしているカップルが、コロナで会えなくなって……みたいな話を聞きますが、彼は、うちにきて一緒に仕事をするようになったんです。奥さんは何も言わない人っぽくて。会食とかもないので、一緒にご飯をつくって食べたりして。まるで、新婚生活のようでした」


コロナで訪れた非日常。一方で、ヒロミさんと彼の時間は、日常になりました。しかし……。

「週3、4回は彼と一緒にいるようになりました。でも、彼は22時前には家に帰っていく。もちろん、不倫なのでそこは我慢していました。でも、あるとき、“もう泊まっていけば?”って言っちゃったんです。彼は当然困った顔をして、“それは無理だよ……”って。会う頻度が増えて、私、欲張りになってたんです。最初は“一緒にいられたらそれでいい”って思ってたのに……」


会う時間が増えて、もっと彼を独占したいと思うように。でもその先にあったのは……。

コロナでできた「強制的に考える時間」

「コロナ前は、彼が帰った後、私も疲れてそのまま寝ていました。でも、在宅勤務になって体力に余裕があるし、次の日の朝も身支度をしなくていい分、ゆっくり眠れる。だから彼が帰った後、眠れなくて。このままこの関係を続けるのはダメだって、考えるようになって」


コロナで強制的にできた「自分と向きあう時間」。そこで、ふたりの関係性について、ヒロミさんは考えました。

「ある日、仕事中の彼に“こんなに一緒にいて奥さん、大丈夫なの?”って聞いたんです。そしたら“出社してることになってるから大丈夫だよ。家にいたら子どもいて集中できないし”って。なんか、それを聞いてサーっと血の気が引いちゃって」


「このままじゃだめだ……」そう思ったヒロミさんは行動に出ました。

「いままで、仕事が忙しくて、北海道の地元の両親に全然会えてなかった。それに、実家に帰ると“結婚したい相手はできた?”と聞かれるのが嫌で。不倫してるなんて言えないし。でも、コロナで実家に戻れなくなって、無性に家族に会いたいって思ったんです。GOTOキャンペーンが解禁してすぐ、仕事道具を持って実家に帰りました」


彼には伝えずに、実家に帰ったヒロミさん。心境に大きな変化がありました。

「実家で仕事をしながら、両親とゆっくり話しました。それに妹の3歳になる姪っ子にも会えて。朝、起きたら、当たり前に“おはよう”と言ってくれる存在がこんなにも尊かったんだって。私、何してたんだろうって」


東京に戻り、ヒロミさんは彼に別れを告げました。そして、来年から地元の北海道に戻ることを決意します。

「勤めている会社が、今後も在宅勤務が主流になって、地方でのテレワークが許可されたんです。私が東京にいる理由は、やりたい仕事があるのと、彼がいるから。でもコロナで、パソコンさえあれば、どこでも仕事ができることに気づいて。それと、もうひとつ、家族の大切さに気付きました。不倫に手を出した自分の愚かさにも」


ヒロミさんは新しい人生をスタートさせました。

■「会えない」から始まった恋と「会える」から終わった恋

コロナで始まった恋、そして、終わった恋……。
コロナは、人間に考える時間を強制的に与えました。それは辛く苦しい時間でもあります。でも、あなたにとって「本当に大切なもの」が見えてくるかもしれません。

毒島 サチコ

恋愛ライター。LINE記事を得意とし、自立した女性へ向けた恋愛記事を多数執筆。

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