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次に恋をするならこんなふうに。「いい恋愛」ってどんな恋愛?

恋人との2年の交際に区切りをつけ、新しい恋に踏み出そうとしているコラムニストのマドカ・ジャスミンさん。彼女が今考える「いい恋愛」とは?

次に恋をするならこんなふうに。「いい恋愛」ってどんな恋愛?

■「愛」とか「好きになる」って?

「『愛』とか『好きになる』って何なんだろうか」

Amazonプライムで配信されている恋愛ドラマ『Modern Love』を遠隔で同時視聴している友人に、一見拗らせているようにも思える一文を送った。

少し前、2年以上に渡る嵐のような交際関係に終止符を打ってから、ありとあらゆる恋愛作品に目を通している。良くも悪くも「恋に恋する」ことからは卒業したらしい私には、一筋縄ではいかないラブストーリーがこれでもかと響き渡る。民族や立場の違い、格差、病気など、ふたりの前に次々と立ちはだかる障害……めくるめく複雑な人間模様に感嘆し、だいたい涙する。

そもそも自分から別れを切り出したし、2年という歳月は私からロマンチックな感情を奪っていったので、交際が終わったことにセンチメンタルさやストレスを抱いているわけでもない。(新型コロナウイルス感染症のせいで同棲解消が延期されていて、そのストレスはあるが)。

先述した恋愛作品を観て「また恋するぞ!」と一念発起してはいるものの、最近は頭で「愛とは」「好きとは」なんて考えてばかりで、その決意だけが宙とインターネットの海に漂っている。Zoom飲み会で「これからの恋愛、どうなるんだろ」とか、「結婚してー」とか、あたかも他人事のように恋愛を語れど、内心では、恋をしていない自分にけっこう焦ってもいる。

今みたいな未曽有の事態に陥ろうが、いついかなるときでも恋はできる。私も、戦時中に自分の先祖が恋をした結果、「『愛』とか『好きになる』って結局何なんだろう?」「また恋をするには?」なんて悩んでいるのだから。

■恋愛を小難しく考えてしまうのは

そもそも、私はいつから、こんなに頭で恋するようになったっけ?

恋愛は人生の必須条件ではないし、結婚も「すべきもの」から「したい人がするもの」という意識に変わりつつある。子どもだって、産まない選択もできる。でも、私は結婚して子どもを産み、育てたい。そうなると、お金の話になる。誰かと一緒に生きる道を選ぶのであれば、(人間性が大前提としても)経済的価値観の合う相手と結婚する方が合理的だ。

そうやってぐるぐるぐちゃぐちゃと考えていながらも、気になっている人と近づけたりしたら、結局そんな“うるさい言葉たち”なんてどこかに隠れてしまう。そもそも、0から100まで合理的判断ができるわけもない。「好みだな」と思う相手に出会ったり、心がくすぐられるような些細な出来事があれば、自分の心臓の音にびっくりする。

そんな自分はどれだけ歳を重ねようが存在するにも関わらず、普段は眉間に皺をよせ、まるで学者のようなポーズをとってしまうのはなぜなのか。

それは、単純に自分の恋心と向き合うのを恐れているからに尽きる。嫌われたら、上手くいかなかったらどうしよう。自分の気持ちを受け入れてもらえなかったらどうしよう。そんな気持ちを自分で否定し、心が乱されないように壊されないようにと、不要な言葉を並べて言い訳をしたくなる。

そうやって言葉が先行して、自分の気持ちに素直になれない限り、この先いい恋愛はできないような気がする。現に、そのせいでこれまでも失敗してきたのだから。

■次に恋をするなら

頭でいろいろ考えてしまうことからはたぶん抜け出せないだろう。でも次に恋をするなら、自分を守るために不要な言葉を並べ立てるような恋愛はやめたい。

私はこれからどんな恋愛がしたいんだろう? 私にとっての“いい恋愛”ってなんだろう?

小難しい言葉で考えすぎるのではなく、かといって感情だけで突っ走るのでもなく、バランスがとれた恋愛がしたい。感情と理性のバランス、刺激と安定のバランス。ふたりのどちらかが振り回されたり退屈な思いをせず、お互いに心地いい状態を保てるような関係性がいい。そして、お互いの人生がきちんと独立していて、共に過ごすことで双方が大人として自立できるような相手と一緒にいたい。

そして大前提として、自分の心には素直でありたい。

色で例えるならば、ギラギラとしたショッキングカラーではなく、逆に無機質で単調なモノトーンでもなく、緩やかなグラデーションのような。風や水の流れのように、その時々によって変わる自分の感情や相手の状態に身をまかせたい。私たちや私たちが抱く感情も自然の一部なのだから。

「恋」は「恋」でしかない。私は小難しく考えてしまっているだけで……いや、「恋」に対する意識を変えてしまっているだけで、時代や世界が変わろうが、その本質はきっと変わらないのだろう。

だからどうか、怖がらないで。
私自身にそう伝えたい。

マドカ・ジャスミン

持ち前の行動力と経験を武器にしたエヴァンジェリストとして注目を浴びる。また性についてもオープンに語る姿が支持を集め、自身も性感染症防止の啓蒙活動を行う。 近年では2018年に著書「Who am I?」を刊行。テレビ番組や雑誌...

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