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“派手でトンチキ”な50代も、いていいんちゃうかな

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「母がインスタで50代の派手服コーデ記録を始めた」という娘さんのツイートをきっかけに、そのハッピーなコーディネートで一躍注目を集めるようになった50代のインスタグラマー、はる。さん。いくつになっても好きな服を着たいというはる。さんに、“派手でトンチキ”な服をまとい続けるための哲学を語っていただきました。

“派手でトンチキ”な50代も、いていいんちゃうかな

■「派手なババア」を発信したくてインスタデビュー

私、本業は書店員なんですが、最近は「大人になったらこんな服を着ましょう」、「50代になったらこんな身だしなみを心がけましょう」みたいな本があまりにもたくさん出版されていて、しかも売れてるんですよ。「へー、こんな本が最近売れるんだなあ!」と仕事のあいまにパラパラ読んでみても、私には全然ピンとこないし、面白くないんです。

家でそういう話をしたら、上の娘に「いつもお母さんが着てる服、なんかおもろいからインスタやってみたらいいんちゃう? 派手なババアもいてるっていうのを世間に知ってもらったらいいんちゃうの」って言われたんですよ。

それで手始めに「50代ファッション」のハッシュタグを検索したら、『天然生活』とか『リンネル』とか、ああいう本を買ってらっしゃる方が多そうだったんです。「これなら自分はすごいニッチなところいけるんちゃうかな」と思いました(笑)。

みんな、丁寧な暮らしみたいなのを発信したいんですかね。でも丁寧な暮らしってなんなんやろうっていつも思います。

私、シンプルで上質なものを丁寧に大切に着ていくのが大人の流儀、みたいなイメージを押しつけられるのがすごくイヤなんです。私は古着屋さんの500円のTシャツも着るし、メンズもキッズも関係なく「これ好き!」と思った服を着ます。ごちゃごちゃしてるところから掘り出し物を探し出すのが好きなんですよ。近所に「ファッションプラザおかだ」っていう雑貨屋さんがあるんですけど、そこで店の外の段ボールに詰まった服をいつもほじくり返してます。

最近までハマっていたのが、メルカリで80年代のギャル服を買うこと。昔のギャル服って肩幅とかもガッとしてるんですけど、それがまたかわいいんです! COCOLULUのピンクのダウンとか、ピンクのヒョウ柄デニムなんかを1000円くらいで買ってます。ほかのみんなが入札しないから、ほんとに安い値段で売られてるんですよ。

■昔は、ママ友から浮かないようにリネンの服を着ていた

私は学生時代、大阪モード学園で服飾を学んでました。当時はDCブランド全盛期。COMME des GARCONSとかY'sとかCOMME CA DU MODEがはやっていて、いわゆるカラス族と呼ばれていた黒っぽい服を着たり、逆にKENZOの派手な服を着たりもしてましたね。

でも、結婚して子どもが産まれてからはママ友の間で浮かないように、ナチュラルな服を着るようになりました。あのころ着ていたのはリネンばっかり。最初はみんな、人を服装で判断しちゃうから「ちょっと変わった人」みたいな立ち位置になって、それが子どもにも影響するのが怖かったんです。我慢してたというわけではないですが、面白くはなかったですね。うきうきする感じはなかったです。

リネンの服を着ていたころは、私も周りのように丁寧に暮らそうとしていました。娘たちからは「あのころのお母さんって、絵に描いたような”お母さん”やったね」って言われます。家で天然酵母パンを焼いたりもしていたんですよ。今でも家にケーキの型がいっぱいあります(笑)。

でも、末の子どもが中学を卒業して子育てが一段落すると、フルタイムで働くようになるし、夜遊びもできるようになる。外のほうが楽しいことがいっぱいあるじゃないですか。「天然酵母パン焼くよりライブ行くほうが楽しいわ!」と、服装も派手なものに移行していきました。ある日いきなり派手にするんじゃなくて、じわじわとグラデーションで(笑)。graniphってTシャツ屋さんが楳図かずお先生とコラボした『おろち』の顔面Tシャツを買ったとき、久々に「ああ、楽しい〜!」と思いましたね。

■無難に似合う服じゃなくて、面白くなる服を着る

はる。さんと長女のキシダチカさんが衣装製作を手がけたアイドル「最高じぇねれーしょん」

何より、私が今のスタイルになった一番のきっかけは、作家活動をしている長女に誘われて「最高じぇねれーしょん」というアイドルの衣装を一緒に作ったことです。

「衣装の仕事もすることだし、もう好きな服を着よう!」と、本来好きだった派手な服を着て打ち合わせの場所に行くと、アイドルの若い女の子や音楽プロデューサーが、私の服を「かわいい!」と褒めてくれるんですよ。自分が好きな服を着て褒められるのがすごく楽しくて、「私はこれでいいんや! これからはどんどん好きな服を着ていこう!」と思うようになりました。そーやそーや、服ってこういう風に自由に着るもんだったよねって、忘れていた気持ちを思いだしたというか。

長女とは服のシェアもしているんですが、一緒に買い物に行くと私なら絶対選ばないような服を「それおもろいから着てみいや!」って勧めてくるんです。似合うからじゃなくて、そっちの方が気持ちが面白くなるから。

前はやっぱり、みんなに合わせよう合わせようと思ってましたし、人からどう見られてるかなって気持ちも大きかったんですけど、今はあまり思わなくなりましたね。試着してみて、似合わないなと思ったら買わないですが、どうしても着たい服が見つかったときは、「私はこの服が似合ってるんや!」って自分に催眠術かけてます(笑)。

■洋服は、自分で自由に選べる数少ないもののひとつ

「50代でも好きな服を着ていい」ということを発信しようと思って始めたインスタだったんですが、フォロワーの方のほとんどは20代や30代。「自分が好きな服を着ると派手だと言われる」、「私も自分らしく生きていきたい」といった悩みや相談が20〜30代の方から寄せられることも多いです。「30代になったからもうSPINNSの服は着ちゃいけないんじゃないか」と悩んでいる方もいます。

私もSPINNSやWEGOの服をよく着るんですが、コーディネートをインスタにあげると「中学生が買いに行くようなブランドの服を着てるんですね」みたいなコメントがきたりするんですよね。この人たちはたぶん、SPINNSやWEGOを中学生が着るブランドだって決めつけて、店のなかに入りもしないんだと思います。なかに一歩入ってみたら、すごくかわいい服とかあるのに、それってすごくもったいない。

私は、生きていくうえで自由に選べるものって実はそんなに多くないんじゃないかと思ってます。産まれてくる親も選べないし、なりたい職業に絶対に就けるわけでもない。そのなかで洋服は、自分で自由に選べる数少ないもののひとつだと思うんです。20代や30代なんて、私から見たらまだまだおこちゃまじゃないですか。どんどん好きな服を着てほしい。

もっと自由に服を選びたい、自分を変えたいという人は、まずは小物からチャレンジしてみるのがオススメです。普段付けないような色の口紅を使ってみるのもいいし、赤い靴を履いたことがなければ試しに履いてみるとか、それだけでもずいぶん気分が違うはずです。そんな経験を重ねていけば、自分らしいおしゃれの幅はどんどん広がっていくと思います。

編集協力/いつか床子(@ituyuka
画像提供/はる。(@rarara_narara

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DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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