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“ていねいな暮らし”に劣等感を感じてしまうあなたへ

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雑誌に登場するオシャレなライフスタイル。それに憧れるのも楽しいけれど、まず必要なのは、自分の心の環境を整備することかもしれない。“コンプレックス解消家”としても活動する、ライター・講演家 朝倉真弓さんのコラム連載、第6回。

“ていねいな暮らし”に劣等感を感じてしまうあなたへ

新型コロナウイルスに対する方策のひとつとして、たくさんの企業が在宅勤務の仕組みを取り入れ始めた(※)。

テレワークの発達により在宅でもできる仕事が増えてきたけれど、やっぱり家では仕事がはかどらないという人もいるかもしれない。一方で、家で仕事をしたほうが効率的だし、家事とも並行できて便利と感じる人もいるだろう。なにより、激混みの通勤電車でイライラしながら時間を過ごすことがなくなっただけでもうれしいという声も聞く。

かくいう我が家は、私が家を仕事場としても使っており、夫は企業に勤めている。でも夫は、在宅勤務など考えられないという。すぐ近くにテレビがあり、ベッドがあり、おやつが並んでいるという状態だと、どうしても気が散ってしまうらしい。
宿題をしたくない子どもの言い訳と同じだ。

■オシャレ系ライフスタイルに惑わされていない?

私は、家の中や職場などの外部環境はもちろん、自分自身の内部環境を整えていくことは、人生においてとても大切なことだと思っている。内部環境というのは、どう時間を過ごし、どのような習慣づけをしていきたいかといったこと。日々の気分や行動のすべては、自分の内部環境によって左右される。
私は、この外部環境と内部環境をマルっとまとめて「ライフスタイル」と考えている。

本屋さんに並んでいるライフスタイル本をめくってみると、明るくて清潔な食卓や、季節の花が飾られている美しいリビングなどに視線が奪われる。そんな自宅で、朝日を浴びながらヨガをして身体の声を聞く……なんて書かれているのを見てしまうと、自分の暮らしぶりと比べてがっかりしてしまうかもしれない。

けれど、そういった目に見える外部環境を整えることにとらわれすぎて、自分自身の心の環境整備がおろそかになってしまっていては本末転倒だと私は思う。

在宅勤務も全く同じ。
どんなにゴージャスな書斎を準備したとしても、本人の気持ちが家で仕事をするモードに変わらない限り、良い仕事なんてできっこない。
「書斎がないと仕事ができない」という夫の言い訳は、これで論破だ。

■いい意味でも悪い意味でも、朱に交われば赤くなる

とはいえ、やはり外部環境の影響はとても大きいと感じる。
地域のコミュニティや職場、子どもの学校、PTA。こうした場に受け入れがたい性格や振る舞いの人たちがいたとしよう。

その人たちを毛嫌いし、「ああいう人にはなるまい」と固く誓っていたとしても、その環境に身を置くことで、いつの間にか自分も似たような言動をしてしまう可能性がある。逆もまた真なりで、素敵な人たちが集まる環境に身を置くことができれば、徐々にその環境にふさわしい振る舞いができるようになり、理想の自分に変わることができる。

だからこそ私は、自分で選択できる環境に関しては、徹底的にこだわってほしいと思う。

日々をどのような家で、職場で過ごすか?
あなたが昨日歩いた散歩道や今日入ったカフェは、気持ちの良い環境だろうか?
どのような人たちのコミュニティでどのような言葉を発し、何を考えて過ごしていくか?
こういったことの積み重ねで、自分の思考が変わり、人格も変わっていく。

■まずは自分の内部環境から変えていこう

そうは言っても、職場はすぐに変えられないし、持ち家だから引っ越しするわけにもいかない。PTAからは逃れられない……。
でも、それでも、自分自身のライフスタイルを良い方向に変えていく努力は続けたほうがいい。

どうしても外部環境が変えられないのであれば、先に自分の内部環境を変えてしまおう。
たとえば朝の身支度をする時間、バタバタと化粧をしながら、頭のなかでは家族や会社の予定を復唱している人も多いと思う。でも、その時間くらいは、自分自身にきちんと向き合ってみてはどうだろう。

今朝のお肌の状態は?
睡眠時間によって朝の調子は変わるのかな?
身体やお肌、心の調子をもっと良くするためには何をしたらいい?

俗に言う「ながら」活動でもいいから自分自身と向き合う習慣がついてきたら、今度は30分、いや、10分でもいいから早起きしてみよう。そして、今興味があること、これからしてみたいこと、人生で大切にしたいことなどを考え、ノートに書き出す時間を確保してみてほしい。朝が難しければ、夜寝る前でもいい。10分の時間もねん出できないほど忙しい人なんて、絶対にいないはずだから。

やりたいことやありたい姿を書き留めるという作業は、ついつい頭の片隅に追いやられがちな自分の本音と向き合うということ。ほかの誰でもない、自分の人生において大切にしたいことを可視化する作業ともいえる。

書き出すことで、やり切っていなかったことに再チャレンジしたいとか、気になっていたコミュニティに参加してみたいといった意欲がわいてくると思う。そんなあなたの本音こそ、人生の古い定規、つまり古い価値基準を、新しい定規に書き換えていく第一歩となるはずだ。

■自分らしいライフスタイルは、あなたの人生を変える

自分自身が身を置く場や、自分が日々過ごすルーティーンを少しずつ納得のいくものに変えることで、あなたらしいライフスタイルが形作られていく。

そのライフスタイルは、もしかしたらオシャレな雑誌が提唱しているような、健康的でカッコいいものではないかもしれない。お気に入りのガラクタたちに囲まれながら、ブルドーザーのように走り回り、あっけらかんと笑うような破天荒なものかもしれない。

私の場合、フリーランスという働き方を選んだのは、会社組織のように関係者が多すぎる環境だと“人疲れ”してしまうからだった。でも、なぜか家のインテリアは、ホテルのようなシンプルな空間よりも、カラフルな空間のほうが落ち着く。だから、家族で過ごすリビングは夫の意見を尊重してシンプルにしているけれど、私の仕事スペースだけは、色や物にあふれた空間になっている。

そんな外部環境のなかで朝ヨガなんてシャレたことをするはずもなく、ひとり頭を抱えながら、あーでもない、こーでもないとパソコンに向かう仕事に満足している。

外部環境だけをスマートにしても、気持ちがストレスフルだったら意味がない。
反対に、自分自身の内部環境は整っていてやる気に満ちていても、外部環境で足の引っ張り合いが起こっていたら辛いだけだ。

日々どのような生活をするかで、将来は大きく変わる。
そして、“どんな生活が心地いいか”の定規を書き換えるのに、遅すぎるなんてことはない。

……ここまで書いて、ふと思った。
書斎という外部環境を整えることも、良い仕事のためには大切なことかも……。

いやいや、まずは内部環境を整えるのが先だ。
ここはひとつ、気づかなかったことにしておこう。


※本記事は、2020年4月6日時点の状況を元に執筆・編集しています。

Photo/ぽんず(@yuriponzuu

「人生の『定規』を書き換えよう」バックナンバーはこちら

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朝倉 真弓

ライター、講演家。「人生もうひと花咲かせる」をテーマに活動中。自著は『「グレイヘア」美マダムへの道』ほか8冊。ユニリーバ社DoveのCMに出演。

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