スマホで文学女子を気どってみない? 無料でドヤ顔できる青空文庫
文学。いわゆる有名な文豪の小説です。読めたらカッコいいですよね。ドヤ顔できるし、デートで気の利いたセリフをいえるようにもなります。でも私たちは忙しいから、なかなか読書する時間もなかったりします。今回はそんな貴女のために、スマホで、無料で読める文学作品3つを紹介。どれも10分で読めて「いいね!」を押したくなるはずですよ。
■めちゃくちゃラクして文学女子を気どってみない?
突然ですけど、文学を語れる女性ってカッコいいと思いません?
夏目漱石とか、太宰治とか、芥川龍之介とか──そういう系です。
いや、わかります。
逃げないでください。
めんどくさいのはわかります。時間がないのもわかります。国語の授業みたいで逃げだしたくなるのはわかります。うへええええってなるのもわかります。
でもですよ?
とはいえ「いつか読めたらいいなあ……」と思ってたりしませんか?
文豪がどんなものを書いたのか、ちょっとでも味わえたら人生も広がると思うんです。デートで気の利いたセリフもいえるようになると思うんです。
「でも時間がない……」
「本を読んでるだけで眠たくなる」
「想像するだけでめんどくさい」
その気持ち、めちゃくちゃわかります。読書ってしんどいですよね。しかし、今回は、なにも辞書のように分厚い本を読もうという企画ではありません。
むしろ「ラクして文学女子を気どってみよう」というズルイ企画なのです。どうせなら美味しいとこだけ、つまみ食いしちゃいましょうよ。
・さくっと短く
・なんと無料で
・スマホで読める
という作品ばかりご紹介します──悪くなさそうでしょう?
ブンガクとかいって肩肘はらないでくださいな。ちょっと百年くらい前の、なにかと考えすぎな友人のエモいトークに耳を傾けるくらいの感じでOKです。気楽にいきましょうぜ。
■10分で読める有名作品たち
今回ご紹介する作品は、青空文庫というサイトのものです。
ここでは「著作権の切れた小説」を無料で読めるのです。最高じゃないすか。
そこから抱きしめたいくらい好きな3作品を紹介します。
どれもURLをつけてあります。クリックすると、その場で読めます。通勤電車のなかや、眠る前に、さくっとスマホで。
一応、3つを紹介する順番も気にしてはいます。でもピンときたやつから読んじゃってください。それが貴女の正解ですから。どれかピンときますように。
1.『葉桜と魔笛』太宰治
さっそく太宰にいっちゃいましょう。あのダザイですよ。ダザイ。かの「人間失格」「走れメロス」とかのダザイです。
太宰は「女性が告白するみたいに一人で語る文章のときに謎の才能を発揮する」といわれています。かしこで「なんでこんな女心わかるの……?」とまでいわれた文豪なのです。まあ、そのモテすぎた感じで、色々あって、女性と心中自殺することになるわけですけれども……。
今回は『葉桜と魔笛』もそうした女性語りの短編です。
テーマは恋愛。病弱で、死のせまった少女のもとに青年から恋文が届きます。けれどその手紙には秘密があって──これ以上はいえません。10分くらいなんで読んでください。
胸の奥がきゅうううううっとなることでしょう。ひとりの女性の思い出話(主人公は彼女の妹なのです)に耳を傾けるように読んでくださいませ。
現代風にいえば「いいね!」押したくなりますよ。
2.『文鳥』夏目漱石
お次は夏目漱石です。ちょっと前に千円札だった文豪。
話としては「文鳥を飼ってみていろいろ感じたことがあったよ」という現代ではブログでやりなさいといわれそうな内容です。もちろん深みがあるんですけれども。
とにかく日本語の上手さを味わってもらえたら嬉しいなと思います。文鳥を表現するのにここまで細かく書けるのか、というのが個人的にアツい推しポイントです。
だって原稿用紙をわたされて「文鳥を飼った感想を書け」といわれても一枚も書ききれないですよ、普通。これぞ文章力ですよね。
これは日本独特の「私小説」というジャンルになります。
スターウォーズや三国志や歴史小説みたいに戦争だ反乱だ革命だと壮大なドラマが──というのでなく「私生活を文章にしてみた」という軽い感じです。
小さな個人的生活を書きながら、それを通して、誰もが感じている人生の真実を探ってみよう、という日本独特の文学スタイルなのですね。
とはいえ、そんな小難しいことはおいときましょう。たんにキュートな小説だと思っていただければ嬉しいです。そして、最後、ちょっともの悲しいのも文学っぽいんですよ。
3.『舞踏会』芥川龍之介
僕はこの世にある文章のなかで、これが一番好きかもしれません。
ドン引き覚悟で告白しますと、いまコラムを書いている部屋の壁に、この一部を印刷したものを張ってます。狂おしいほどに好きなのです。本コラムを書く理由のひとつは、これを激プッシュするためです。どうか地球に生まれたなら読んでください。読め。読むのだ。
舞台は明治。日本は西洋文明を取りいれて、文明開化を進めている途中。さる貴族の令嬢が鹿鳴館の舞踏会に呼ばれたときの物語です。
そこで悲しげな顔をしたフランス人の将校と出会います。少女はまだ人生のことがわからないなりに、彼の目の奥になにかを感じることになるのです。
派手な事件がおきるわけではありません。ふたりの人物が出会うだけです。それでも、ふと記憶の底に焼きつくような不思議な出会いってありますよね。そうした瞬間をコレクションすることが、人生ってやつなのかもしれません。
かの三島由紀夫(この人も有名な文豪ですよね)も本作品をめちゃくちゃ誉めていた記録がのこっています。なかでも「本来、芥川はこっちの作風に進むべきだった(これとは違って神経質な作品を書き続けたから自殺することになったのでは?)」とコメントすらしています。
芥川はとにかく文章がカッコいい。漢字の使いどころや、言葉のいいまわしが。都会的でキザなのですね。本物の読書には「味読(舌で味わうように読む)」という表現が使われます。
ぜひ、味読に絶えうる、美しい日本語を味わってください。
■感想なんて思い浮かべる必要なし!
いかがでしたでしょう?
この作品のどれかが貴女のハートのド真ん中に、夜空の花火のように、よくわかんない一撃を喰らわしてくれたことを願うばかりです。そして気に入った作者のものをどんどん読んでもらえたらしめたものです。
といっても、これは国語の授業じゃありません。なにも「ここがおもしろかった」「この主人公の心の動きが……」という感想をひねりだす必要はありません。
世の作品は、やっぱり売れてナンボです。だからこそ、わかりやすい作品が喜ばれます。簡単に感想をいえるものも多かったりします。わかりやすいが正義、みたいな。
けれど貴女もご存じのように、人生って、もうちょっとだけ複雑だったりするじゃないですか。
正しくて悪いとか。悲しいけど嬉しいとか。好きだけど殺したいとか。生きたいけど死にたいとか。簡単には言葉にできないことばかりですよね。
そうした「人生の真実(人生ってなんだろう?)」を考えて、文章にしたり、悩んだり、読んだりするのが文学なのかなと思っています。
むしろ「どう言葉にしていいかわからない……」という「不穏な人生に対するなにか」を感じていただけたら嬉しいです。
さて、さて。
こんなコラムを書いちゃったからには、私も新しい一冊を手にとって、まだ見ぬページをめくりたくなってきました。
どうか貴女も、その優れた文学に触れたときの戸惑うような感覚を胸のうちに秘めて、ちょっと天気のいい日曜の午後なんかに、また別の文学を読んでみようかな、と思ってくれますように。