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映画『ナポリの隣人』感想。幸せの行方を問いかける味わい深いヒューマンドラマ!

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【シネマの時間】第55回は、イタリアの主要映画賞を席捲! ジャンニ・アメリオ監督最新作映画『ナポリの隣人』をお送りします。わかり合えない父と娘、つかの間の疑似家族、そして事件は起きた……。”血の繋がりだけで、心は繋げない” 。2月9日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー。

映画『ナポリの隣人』感想。幸せの行方を問いかける味わい深いヒューマンドラマ!

こんにちは! アートディレクターの諸戸佑美です。

「ナポリを見てから死ね」ということわざを聞いたことがありますか? 

ナポリの風光を見ずに死んでしまっては、生きていた甲斐がないという意味ですが、南イタリアの玄関口ナポリは、温暖な気候と美しい風景が多いことから観光都市として知られています。

ナポリ湾一帯の景観の美しさに加え、世界遺産にも登録されたナポリ歴史地区が存在、紀元前から築かれた建築物や彫刻などぜひ目にしたいものですね。

【シネマの時間】第55回は、そんなナポリを舞台に現代に生きる人々の心の闇を描いた話題作、映画『ナポリの隣人』をお送りします!

『小さな恋人』『家の鍵』『最初の人間』など人と人とのつながりを、時に冷徹に、時に優しさを込めて描いてきたイタリアの名匠ジャンニ・アメリオ監督の最新作。

母の死が原因で不仲になっていた父と娘が、父の隣家の家族に起こった事件をきっかけに、不器用ながらも関係を少しずつ見つめ直していく姿が愛おしく心に迫ります。

わかり合えず、すれ違い、他者との関係が希薄になった社会のなか、心の繋がりや愛を渇望している人々。

本作においては誰もが孤独ですが、映画の終盤で、娘のエレナがアラブの詩人から引用する「幸せは、目指す場所でなく帰る家だ」という言葉が印象的です。

主演のレナート・カルペンティエーリは、本作でイタリアのアカデミー賞と呼ばれるダビッド・デ・ドナテッロ賞、イタリアゴールデングローブ賞、ナストロ・ダルジェント賞というイタリアの主要映画賞で三冠を達成。

どうぞこの機会に映画館でお楽しみください!

■映画『ナポリの隣人』あらすじー南イタリア・ナポリを舞台に

南イタリア、ナポリ。

かつて家族と暮らしたアパートに、ひとりで暮らす元弁護士のロレンツォ(レナート・カルペンティエーリ)。

誠実な人柄でしたが、不正な裁判を多く行ったため悪名高き弁護士と言われ、いまは引退しています。

妻は数年前に亡くなり、家族はアラビア語の法廷通訳をするシングルマザーの娘エレナ(ジョヴァンナ・メッゾジョルノ)と、クラブの経営難で度々金をせびりに来る息子サヴェリオ(アルトゥーロ・ムセッリ)。

しかし関係は悪く、最近はロレンツォが暮らすアパートの権利問題で揉めています。

エレナは、母の死の原因が父の裏切りによるものと信じ、ずっと許せずにいました。

ある日、ロレンツォは、向かいの部屋の前に座り込む女性ミケーラ(ミカエラ・ラマッツォッティ)と出会います。

鍵を持たずに出かけ、部屋に入れず困っているミケーラは、最近夫のファビオ(エリオ・ジェルマーノ)とふたりの子どもたちと越してきたばかりでした。

部屋同士がバルコニーで繋がっていることから、ミケーラを自宅に招き入れたロレンツォは、彼女の人懐こい性格と屈託のない笑顔に心を許し、次第に仲を深めていきます。

気難しいところのあるロレンツォでしたが、向いの家に引っ越してきた若い夫婦ファビオとミケーラ、ふたりの子どもたちと親しくなり、お互いの家を行き来し合う疑似家族のような関係になります。

隣家のランチに招かれ、まるで本物のおじいちゃんのように子どもたちと遊び、ミケーラとファビオと楽しく食事をし、実の家族とは得ることがなかった穏やかな時間を過ごすロレンツォ。

子どもの頃の苦い記憶を思い出し、ナポリでの生活の不安を吐露するファビオには「私は隣にいる、ノックすればいい。それがこの町のやり方だよ」と父親のように励ますのでした。

しかし、その平穏な日々は、幸せに見えた一家に起こった思いがけない事件で、突然幕を閉じることになります。

ある日の夜、帰宅したロレンツォはアパートの前におびただしい数のパトカーと救急車が止まっていることに気づきます。

無理やり隣家に入ると、そこには拳銃を握りしめたまま横たわるファビオの遺体が……。

ミケーラとふたりの子どもを撃ち、最後にファビオも自殺したのでした。

ロレンツオは、意識不明の重体で病院に運ばれたミケーラの元に駆けつけます。

ミケーラの父親のふりをして緊急病棟に入り込み、ミケーラの側で語りかけるロレンツオ。

事件のことを聞いて病院を訪れたエレナとサヴェリオは、ロレンツォを連れ戻そうとするのですが……。

「家族でもないのに」と問い詰めるサヴェリオ。

そのとき、ロレンツォは?

ミケーラの意識は回復するのでしょうか? 

父ロレンツォとエレナたちは、わかり合うことができるのでしょうか?

■映画『ナポリの隣人』作品紹介

2019年2月9日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー!
公式サイト:http://www.zaziefilms.com/napoli/

監督・原案・脚本:ジャンニ・アメリオ
原題:LA TENEREZZA (イタリア映画祭2018上映題「世情」)
原作:ロレンツォ・マローネ
原案:アルベルト・タラッリョ、キアラ・ヴァレリオ
脚本:ジャンニ・アメリオ、アルベルト・タラッリョ
撮影:ルカ・ビガッツィ
音楽:フランコ・ピエルサンティ
主題歌:アレルタ
製作年:2017年
製作国:イタリア、イタリア語
上映時間:108分
字幕翻訳:岡本太郎
配給:ザジフィルムズ
提供:ザジフィルムズ、朝日新聞社
©︎2016 Pepito Produzioni

■映画『ナポリの隣人』キャスト

レナート・カルペンティエリ=ロレンツォ
ジョバンナ・メッツォジョルノ=エレナ
ミカエラ・ラマゾッティ=ミケーラ
エリオ・ジェルマーノ=ファビオ
グレタ・スカッキ=アウロラ
アルトゥーロ・ムセッリ=サヴェリオ
ジュゼッペ・ジーノ=ジュリオ
マリア・ナツィオナーレ=ロッサーナ
レナート・カルペンティエーリ・Jr.=フランチェスコ
ビアンカ・パニッチ=ビアンカ
ジョバンニ・エスポジート=ダヴィデ

【シネマの時間】
アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
©︎YUMIMOROTO

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諸戸 佑美

本や広告のアートディレクション/デザイン/編集/取材執筆/イラストレーションなど多方面に活躍。

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