自分に自信のない男性は「愛されないと自分の価値を確認できない」からうまくいかない 2/2
■「先に俺を愛さないと愛してやらない」という“脅迫”
一方、男性のほうは女性のそんな不安は何も届いておらず、ひたすら「好意を見せてもらうこと」に執着していました。誘ってほしい。俺に好意があると伝えてほしい。そうすれば俺も応えられる。好きになることができる。本当は、ランチが終わってすぐ解散ではなくて「もう少しドライブでもしない?」「うちで映画でも観ない?」と誘いたい。
でも、もし断られたら。嫌な顔をされたら。
傷つくのは嫌だ。だから彼女の愛情に乗っかりたい。
彼は彼女から誘われても自分がクルマを出すこともなく、いつも彼女の送迎に甘えていました。「俺のことが好きならそうするはず」と思っていて、そうしてくれる彼女に安堵を覚え、だから遠出するときも運転を代わることもなく、ランチ代を出すこともしませんでした。
対等なつながりではない。
いつしか、彼女は男性との関係を負担に感じるようになります。いつも私ばかり。この人は、たぶん私のことは好きなんだろうけど、決して私を大事にしてくれているわけではない。「いつもありがとう」とは言ってくれるけど、それだけ。たとえば、「クルマを出してくれているから、ランチは俺が払うよ」「運転は俺がするよ」でもあれば、女性の気持ちは全然違ったものになっていました。
そろそろ終わりにしよう。女性は落胆しながらそう決めます。
女性が自分から離れていく気配を感じた男性は慌てます。
「俺、何か悪いことしたっけ?」
「何もしていないのに、どうして離れていくの?」
彼女の言葉が他人行儀なものに変わっていくのを感じるたび、絶望が彼の心を苦しめました。
何でだよ。俺と別れてもいいのかよ。
すでに「ほとんど付き合っているのも同然」と思っていた男性は、彼女の悩みがまったく理解できなかったのですね。彼女からの好意を感じていたからこそ、離れようとする女性の姿は彼にとって「裏切り」でした。
そして行き着くのが、
「俺を好きにならないと、愛してやらない」
という“脅迫“です。
あくまでも自分から“先に”愛情を伝えることはなく、女性からの決定打を待つ。そうしないと愛せないから。そうしないと「彼女にとっての俺の価値」を実感できないから。離れていこうとする彼女に、彼は強い怒りを見せました。
「離れていきたいなら、どうぞご自由に」
「別のあなたのことなんて好きじゃないし」
「あなたがいなくても俺は平気だし」
これらの言葉は、すべて
「俺のことが好きだと言って」
「俺はあなたのことが好きでたまらないんだ」
という彼の心の悲鳴です。
素直に言ってしまうと、もし違ったら痛みを負うことになる。またつらい気持ちを味わってしまう。
だから、先に愛してると言ってくれ。この「甘え」を目の当たりにした女性は、その場で男性との縁を切りました。どこまでも自分の気持ちを前提にしないと関われない男性など、女性にとって愛する対象ではありません。
恋愛はお互いが対等な気持ちで向き合うもの。ふたりで愛情を育てていくもの。こちらを傷つけることで、すがることを強制されるなど、女性にとっては「まともじゃない」としか言えませんでした。
■「愛情の出し惜しみ」が自分に自信のない恋愛を招く
この男性は、「愛情の出し惜しみ」がさらに自分の自信を奪うことに気づきません。「好かれていないのに、努力したって無駄だよね」と言えてしまうことこそ、男性の弱さ。
ただ愛されることだけを望んでも、何もせずに居心地の良い関係が手に入ることなどありません。それが現実です。堂々と「好きだ」と伝えることで、お互いに心を開き、幸せなつながりを維持していけることを、この男性が学ぶ機会があれば良いなと思います。
また、こんな男性を好きになってしまったら、「愛情を前提にする関係はまともじゃない」ことをはっきり伝えましょう。あくまで対等に向き合いたい。その意思を伝えることで、男性が自分の「甘え」を振り返るチャンスにもなります。
伝えることも受け取ることも、勇気がいります。
その努力こそ、愛情を深めるためには必要不可欠であることを、忘れずにいたいですね。