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「ケッコンシテクダサイ」「えっ、なんて?」日仏結婚した私たち流、幸せのルール

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7年前に仕事を通じて出会い、約10カ月の交際を経て結婚した、黒澤美寿希さんとFabien Le Guillarm(ファビアン ル ギヤァーム)さん。日本人・フランス人夫婦が「言語の壁」と格闘しながらも、幸せな日々を手にするまでのプロセスと今。

「ケッコンシテクダサイ」「えっ、なんて?」日仏結婚した私たち流、幸せのルール

「日仏結婚しました」

胸の大きな女性向けアパレルブランド「HEART CLOSET」を展開する実業家、黒澤美寿希さんが8月、Facebook上に出したシンプルな報告。

添えられていた写真は、フランス人のパートナー、Fabien Le Guillarmさんと婚姻届を持ったツーショット。コメント欄は美男美女夫婦の誕生を祝福する声で埋め尽くされていました。

法律婚が一般的な日本と、結婚よりも手続きが簡単・手軽なカップル間の契約制度「PACS」を利用した事実婚カップルも多いフランス。

言語と文化の違いを乗り越えてふたりがパートナーになるまで、そして今どんな暮らしを送っているのか、お話を伺いました。

実業家同士で忙しいふたりですが、早く仕事を終えた日や休日は、自宅で一緒に料理を楽しむことも。食後はおしゃべりタイム

■「彼と話すのは英語。でも、今も英語は苦手です(笑)」

「美寿希は行動力があって、美しくて、とても魅力的な女性。起業家として、エネルギーにあふれているところは、僕と似ているかな。他には……」


美寿希さんのどんなところが好きですか? こう尋ねると、Fabienさんの言葉は止まりません。

美寿希さんを見つめる目はとても穏やかで温か。美寿希さんがFabienさんを見て笑う表情もやわらかく、国際結婚という決して楽ではない道のりを一緒に、懸命に走ってきた人たちだなと思えました。

美寿希さんはFabienさんのどんなところが好きですか? 朗らかな表情で「レディーファーストの精神が備わっているところと……」と口にした後、少し真剣な表情になった美寿希さんは、「お互いの人生について真剣に話し合えるところ」と答えました。

「でも私、今も英語は話せませんよ(笑)」と冗談で笑わせてくれる美寿希さん。ふたりの間に立ちはだかっていた最も厚く、高い壁は「言葉」でした。

■会社の垣根を超えて。最初は「仕事関係の人」だった

時は2011年。当時会社員だった美寿希さん、フランスに本社を持つ企業の日本支社で働いていたFabienさんは、あるプロジェクトのメンバーに選ばれます。それがふたりの出会いでした。

仕事を通じて知り合ったこともあり、美寿希さんにとってFabienさんはあくまで「協力会社の人」「仕事仲間」といった存在。特に何も意識していませんでした。

Fabienさんに、当時の美寿希さんの印象を聞くと「仕事に一生懸命な人。今もそうだけど、あのときもハードに働いていた」。

「Fabienも似たようなものでした。深夜にプロジェクトに関するメールを送っても、すぐに丁寧な返信をくれる。この人、いつ寝てるのかな? って思うくらいでした(笑)」(美寿希さん)


プロジェクトが無事成功し、半年の日本勤務を終えて、Fabienさんはフランスに戻ります。仕事で関わったことで、ふたりは友人になり、ときどきメッセージを送る関係が続いていました。

■3年後に再会。翻訳アプリを駆使しながら食事

再会したのは3年後の2014年。出張で来日することになったFabienさんは、美寿希さんを食事に誘います。

「渋谷で食事をしながら近況を話しました。今もそうですが、私、英語をあまり話せないんです。彼はフランス語と英語を話します。なので、お互いスマホ片手に、翻訳アプリを見せ合いながら会話(笑)。

でも、働いている大人が話す内容なんて、国籍にかかわらず同じようなもんじゃないですか。『今どういう仕事をしてるの?』とか『(仕事の)調子はどう?』とか。翻訳アプリがあれば、多少はなんとかなります」(美寿希さん)


「確かにコミュニケーションは大変だった」とFabienさんも振り返りますが、一緒に仕事をした時間があり、お互いの人となりを知っていたからこそ、久しぶりの食事は心地よいひとときになりました。

美寿希さんは、「彼と完全な意思疎通はできなかったけど、優しくて誠実な人だなと改めて思いました」と話します。

■4日連続のデート。そして、カップルに

ノープランで出かけることが多いふたり。愛犬のひまわりちゃんと散歩に行くのも楽しい時間

Fabienさんが再び来日することになったのは2017年10月。翻訳アプリを駆使した渋谷での食事から3年が経っていました。

また会いたい。でも、もう少しスムーズに意思疎通できたら。そう思った美寿希さんは、友人たちとグループデートを提案します。

初日は4人でハロウィンパーティへ、2日目は4人で太鼓のショーへ、3日目はふたりで飲みに行き、Fabienさんが帰国する前日の4日目は食事に行きました。こうして4日連続でデートを重ねるなかで、ふたりの交際はスタートします。

フランスは日本と違い「付き合ってください」という告白文化はありません。ふたりの相性が合えばデートを重ねていき、その過程でセックスすることだってあります。長くデートをし続けていると、あるとき友達に「僕たち、付き合ってるんだ」と紹介され、「私たち、カップルだったのね」と自覚するケースが少なくないとか。

ただ、日本が好きで、日本で生活した経験もあるFabienさんは、日本の告白文化を知ると、それに倣って「付き合ってほしい」という思いを美寿希さんに言葉で伝えてくれたといいます。

■遠距離でも、テキストのやりとりで相互理解が深まる

そこから4カ月の遠距離恋愛が幕を開けます。その間、毎日Facebookメッセージでやりとりを続けました。

話した内容は、日仏それぞれの結婚制度や日本で事実婚をするメリットやデメリット、もし結婚しても仕事は変わらず続けること、Fabienさんが定住する場所など、現実的なトピックばかりでした。

「離れていたこの4カ月が大事だった」とふたりは口を揃えて言います。消えていく話し言葉ではなく、ずっと残るテキストでやりとりしたからこそ、わからないことや気になることをうやむやにせず、納得できるまで質問し合えたのは良かった、と。

「お互いを深く理解するのに、十分な時間をかけることができました。より信頼できるようになりましたし、ふたりの絆を作る良い時間だったと思います」(Fabienさん)


日本で同棲を始めたのは2月のこと。5月に旅行で訪れた台湾で、Fabienさんは美寿希さんにプロポーズします。

「突然『ミズキ、ケッコンシテクダサイ』と日本語で言われて、一瞬フリーズして『え、なんて言った!?』って驚きました。サプライズでした」(美寿希さん)

■抱えている感情を英語で伝える難しさ

入籍から約2カ月。「楽しいし幸せだけど、今も大変だなと思うことはある」と美寿希さんは話します。思いを母国語以外の言葉で、ニュアンスまでしっかり表現する難しさは、誰もが感じたことがあるものだと思います。

「過去に日本人男性と付き合っていたときは、小さな違和感を持っても、まあいいかとスルーするクセがついていました。あえて言語化して『◯◯だから嫌』『◯◯だからそれはしないでほしい』と伝える習慣がなかった。

でも、Fabienには私が些細な違和感、モヤモヤを抱えている瞬間がわかるみたいで、そのとき感じていること、抱えている感情を聞かれるんです。それを英語で彼にわかるように伝えるのは二重に大変なんです。

『今どういう気持ちでいるの?』とか、感情の部分について聞かれることは少なかったですし、それを説明するのにも慣れていません。ただ、これからも彼との間に信頼関係を築いていくには、避けられないコミュニケーションだと思います」(美寿希さん)

編集後記

相手に対し、何か悶々とした思いを抱えたときも、言葉を交わす。思いを伝え合う。その上で解決策を探って、ふたりにとって良い落とし所を見つける。

この姿勢はふたりが再会した頃、言葉が通じ合うのに苦戦しながらも対峙したこと、遠距離恋愛中、テキストを送り合って気持ちを確認し合ったこと――当時のコミュニケーションスタイルと変わっていません。

話し合うのが億劫に感じる事柄でも、逃げずにふたりで向き合う。それこそが、カップル間のあらゆる壁を突破する、最もシンプルで誠実な手段なのだと、ふたりから教えられた気がしました。

Text/池田園子(DRESS編集長)
Photo/タカハシアキラ

DRESSでは10月特集「名前のない関係たち」と題して、愛する誰かと心満たされる人生を送るヒントをお届けします。

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DRESS編集部

人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

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