しかし、どんな感情にも肯定的な役割があることを忘れてはいけません(中略)
では、さみしいという感情には一体どのような役割があるのでしょうか?
ずばりお教えしますと、さみしいという感情には、つながりを実感するために必要なアクションをあなたに起こさせる役割があるのです。
(17ページより引用)
大人女性が「さみしさ」と上手く付き合うシンプルな方法
【積読を崩す夜】37回目では、大森篤志著『オトナ女子のための さみしさくんのトリセツ』をご紹介します。大人になると、誰しもふとしたときに孤独を感じてしまうものです。他人の成功や幸せな姿を見聞きすると、自分が出遅れてしまっているようなさみしい気分になることも。このような気持ちとどう上手く付き合っていけば良いのでしょうか。
将来のことや人間関係など、私たちの毎日には心配事があふれています。
心が充実していて元気なときには、さまざまな課題にも果敢に打ち勝っていけるもの。でも、ふとしたときに、急なさみしさに襲われることもあります。
他人と比べて感じるさみしさ、何があったわけではないのに突如として訪れる理由のないさみしさ。
「さみしい」という感情に対して、どのように対応していくと良いのでしょうか。
■さみしいは悪いものではない
心理・行動分野の研究をしながら、働く女性のためのお悩みサイトを運営しているという著者。
かつて、女性のみ50人以上が在籍する組織を、円滑に運営してきたという現場経験をもとに、現在は延べ5000人もの女性たちの悩み相談に乗ってきました。
本書には、相談者たちのさみしさを解消してきた方法の中から、特に効果的で簡単な53の項目が書かれています。さみしさを感じにくい人は、知識がなくてもこうした方法を自然にやっているのだとか。
感情は、人間が幸せになり生き延びるために必要な行動を促すエネルギーであり、本来は良いも悪いもないものであると著者はいいます。
そして、孤独には、他者との結びつきを強めるというメリットもあるのだとか。
さみしいという感情は憎むべき悪者ではない。だからこそ、上手に付き合い、利用する術を知っておくことが重要であるといえそうです。
■香りの効果に身を委ねる
コーヒーや紅茶の上質な香りは、快・不快の感覚を司る大脳辺縁系に作用し、高いリラックス効果や幸福感を得ることができます(中略)
千葉大学環境健康フィールド科学センターによる最新の研究データでは、花のある部屋で過ごすと、ストレスが緩和され、リラックスするという花の癒し効果が医学的に証明されています。
(35・111ページより引用)
さみしさというエネルギーを変換・発散する方法として、コーヒーや紅茶を丁寧に入れることを著者は推奨しています。
丁寧に、というところにポイントがあるのだとか。まず、お気に入りのコーヒーカップやティーカップを用意。持ち合わせていない場合は、運命のカップを探し求めにいきましょう。
とっておきの道具を揃えたら、自分好みのコーヒー豆や紅茶の茶葉を厳選し、オリジナルブレンドを開発。コーヒーミルを使って豆をひいたり、じっくりと紅茶にお湯を注ぎます。
このように時間をかけてコーヒーや紅茶を入れると、プロセスにこだわる分だけ香りが引き立ち、その深い香りや味の広がりが快・不快の感覚を司る脳にも良い影響を与えるのだといいます。
花にも同じような効果があるようです。
フラワーショップやホームセンターの園芸コーナーでに少し滞在するのも効果的なのだとか。花の香りを通じて、リラックス効果が得られ、癒しを感じることができます。
心身を和らげる香りの効果で脳からリラックス。日々の生活の中に取り入れていきたいものです。
■自分の感情に波があることを知る
人間には突然、理由もなく気分が沈む時があります。なぜなら、人間の感情にはバイオリズムといって波があるからです。
感情のバイオリズムには脳疲労の影響もあるので、多くの人が夕暮れ時になると感傷的になりやすいのもそのためです。
(53ページより引用)
理由が明確ではないのに、なんとなく気分が落ち込んでしまうというパターンのさみしさもあります。
著者は、感情のバイオリズムと脳疲労の影響について触れています。落ち込みの理由が思い当たらないときは、脳が疲れているのかもしれません。だからこそ、いたずらにさみしいという感情を刺激しないほうが良いのだとか。
情緒が安定しているときには、物事を前向きに考えられるものですが、気分が沈んでいるときは何をするにしてもなんだか気が進まないもの。余計な心配が頭をかけめぐり、突如として不安に襲われることもあるでしょう。
感情には良いときもあれば、悪いときもある。
今は脳が疲れていて、きっとバイオリズムのせいなのだろう。そんな風に客観的に捉え、自分の感情を上手に受け止めてあげることが、理由のないさみしさと上手く付き合っていくコツであるといえそうです。
著者 大森篤志プロフィール
心理・行動分野の研究者。一般社団法人全国行動認知脳心理学会理事長。
働く女性のための相談「BPLabo Woman」を運営し、延べ5000人以上の女性から個別相談を受けている。
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