【今からできる相続対策#14】相続税の税務調査の実態を知ろう
国税庁の発表によると、相続税の実地調査の件数は12116件、このうち申告漏れ等の非違があった件数は9930件で、非違割合は82.0%となっています。
なんと調査があった場合の80%以上が申告漏れを指摘されている状況です。
相続税を申告すると、申告期限から1~2年後にかなりの確率で税務調査が来ます。実際、税務調査はどのようにして行われるのでしょう。
今回は、税務調査の流れについて解説します。
税務調査とは、行政機関が納税者の申告内容を帳簿などで確認し、誤りがあれば是正を求める一連の調査です。突然、税務調査官が自宅に訪れるわけではなく、あらかじめ「税務署です。〇月×日に調査に行きたいのですが」というように電話がかかってきます。
ここで「わかりました」と即答せず、「税理士に確認して、折り返し連絡します」と言って、いったん電話を切ります。その際、以下の内容を必ず聞いておきましょう。
・税務調査官の名前、所属部署(所属部署によって調査の意味合いが異なります)
・税務調査の日時、日程(税務署の希望)
・調査理由
・用意すべきもの
税務署から電話がかかってきても、決して慌てないでください。そもそも税務申告をした税理士が「税務代理権限証書」を提出していれば、税理士がすべて対応してくれます。余裕を持って税務調査の日程を設定してくれるので、その間で準備とリハーサルを行いましょう。
■一見世間話のようなやり取りでも調査官の質問には意図がある
・被相続人について(出身地、被相続人の両親・兄弟姉妹、経歴、趣味など)
・相続人について(職業、配偶者等親族関係、生前贈与の有無など)
・被相続人の病状について(病状や経過、入院先や入院期間など)
・経常収入や財産について(財産管理者、不動産権利書や預金通帳の保管場所、申告済金融機関以外の取引の有無など)
・遺産分割協議について(遺産分割協議の状況、未分割の場合の各相続人の主張内容など)
・その他(相続人以外に財産の配分を要求する者の有無、海外資産の有無など)
一見世間話のようなやり取りであっても、調査官の質間には、一つひとつ意図があります。調査当日、極度にあがってしまい、余計なことを話してしまうと、税務調査官から誤解や指摘を受ける可能性があります。不用意な一言が致命傷にもなりかねないので、税理士から指導を受けておきましょう。
調査が終わると、修正申告、加算税、延滞税などの確認をして、指摘事項への対応を経て、完了します。