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映画『英国総督 最後の家』感想。1947年独立前夜英国領インド最期の6カ月、真実の物語!

【シネマの時間】第35回は、映画『英国総督 最後の家』をお送りします。1947年英国による植民地独立前夜の激動のインドを舞台に、歴史に翻弄された人々を描く感動のヒューマンドラマ。8月11日(土)より東京・新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!

映画『英国総督 最後の家』感想。1947年独立前夜英国領インド最期の6カ月、真実の物語!

こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。

暑い日が続いていますが、元気でお過ごしですか?

読者の皆さんはカレー好きな方も多いと思いますが、最近、私はカレー好きが高じてお店を食べ歩くだけでなく、家でも身体に良いスパイスがたっぷり入ったインドのスパイスカレーをよく作ります。

カレー好きは、師匠の”安西水丸”譲りですが、夏こそカレーでパワーアップですね!

クミン・ターメリック・レッドペッパー・コリアンダーと基本の4スパイスを覚えれば、比較的簡単に作れるのでオススメですよ。

さて、「シネマの時間」第35回は、そんなカレー発祥の地、インドの激動の歴史を描いたヒューマンドラマ 映画『英国総督 最後の家』をご紹介します!

イギリスによって1858年から統治され、1947年まで続いたイギリス領インド帝国。

第二次世界大戦によって国力が疲弊したイギリスは、約200年に渡る植民地支配を終えることにしましたが、当時インドでは少数派のムスリムと多数派のヒンドゥー教徒の間で宗教対立による暴動が多発していました。

イギリス返還のために最後のイギリス総督に就任したマウントバッテン卿とその家族は、デリーの壮麗なる総督官邸にやってきますが、独立後に統一インドを望む国民会議派と分離してパキスタンを建国したいムスリム連盟派、どちらの案を採用するか混迷を極めます。

果たしてインドにとって最善の道はどのように導かれたのでしょうか? 

1947年、英国領インド最後の6カ月、真実の物語!

祖父母が分離独立の大きな影響を受けたという、ケニア出身のグリンダ・チャーダ監督がメガホンをとり、激動の時代に翻ろうされた人々を鮮やかに描き出し心に迫ります。

知ってるようで知らなかった、インド。

歴史や背景を知ることで、スパイスカレーの味もより深みが増しそうです。

ぜひ、映画館でお楽しみいただければ幸いです!

■映画『英国総督 最後の家』あらすじー1947年英国による植民地支配から独立までの激動のインドを描いた感動のヒューマンドラマ!

1947年、第二次世界大戦で国力が疲弊したイギリスは、植民地インドを去ると決定。

主権譲渡のため任命された新総督マウントバッテン卿(ヒュー・ボネヴィル)は、妻エドウィナ(ジリアン・アンダーソン)と娘とともにデリーの総督の屋敷にやってきます。

マウントバッテン卿は、最後の総督として解放後のインドのために真摯に任務を遂行しますが、妻エドウィナもまた夫以上にインドの人々の平安を願っていました。

非識字率が92%であること、子どもの半数が5歳前に死ぬこと……インドの現状に心を痛め、力を尽くします。

500人ものヒンズー教徒、イスラム、シーク教徒の使用人を抱える大邸宅の2階では連日連夜、政治家たちがインド独立の議論を行い、世界に多大な影響を与える歴史的な決断がなされようとしていました。

インド全土では暴動が起きていました。

ヒンドゥー教徒とシク教徒は、イギリスからの独立後は統一インドを望み、一方ムスリム連盟は分離とパキスタン建国を望んで対立しています。

統一インドか分離か、総督は最善の道を探るため、ヒンドゥー教徒多数からなる国民会議派のネルーやガンディー、イスラム教徒を代表するムスリム連盟のジンナーと話し合います。

一方、新総督のもとで働くインド人青年ジート(マニッシュ・ダヤル)と令嬢の秘書アーリア(フマー・クレシー)は互いに惹かれ合っていましたが、宗派が違う上に、アーリアには幼いときに決められた婚約者がいました。

ついにマウントバッテン卿は分離を決意、イギリス政府の賛同を得ます。

インドを分断し、パキスタンに新しい国を作り出すという、人類史上最も大きな移民政策を打ち出したのでした。

人々は、自分の国をどちらにするか選ばねばなりません。

アーリアは、父とともに婚約者のアースフィスの実家があるラホールへ行くことに。

彼女はジートを愛していましたが、失明している父の幸せを一番に道を選んだのでした。

国境線を引く作業は困難を極め、ラドクルフは参謀長のイズメイに相談します。

イズメイは2年前、チャーチルが首相時代に書いた機密文書を渡すのですが……!

■奇跡的なキャスティングによる俳優陣が結集!

映画『英国総督 最後の家』では、見事な脚本と演出をさらに輝かせるために名優たちが結集!

最後の総督であるマウントバッテン卿を演じるのは、『ノッティングヒルの恋人』や『パディントン』などで知られる人気俳優ヒュー・ボネヴィル。

その妻、インドへの深い愛情を示すエドウィナ役は、世界中で大ヒットしたアメリカのテレビドラマ『Xーファイル』『ハンニバル』のジリアン・アンダーソンが演じています。

総督の従者になるジート役は、『マダム・マロニーと魔法のスパイス』で高い評価を得たマニーシュ・ダヤール。

ジートが恋に落ちるアーリアには、『魔女伝説』などインドで人気上昇中の女優フマー・クレイシーが、オーディションにより抜擢され、とても魅力的な演技を見せます。

監督・脚本は、世界中で大ヒットした『ベッカムに恋して』のグリンダ・チャーダ。

自身の祖父母も分離独立の際に大移動してきたことを知り、監督自身のファミリー・ヒストリーが重なる、感動の人間ドラマ・歴史物語として見事に創り上げ、心が揺さぶられます。

■映画『英国総督 最後の家』作品紹介

2018年8月11日(土・祝)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
公式サイト:eikokusotoku.jp

原題:Viceroy’s House
監督・脚本:グリンダ・チャ―ダ(『ベッカムに恋して』)
脚本:ポール・マエダ・バージェス、モイラ・パフィーニ
製作:ディパック・ナヤール
音楽:A・R・ラフマーン
撮影:ベン・スミサードB.S.C
美術:ローレンス・ドーマン
衣装:キース・マッテン
編集:ヴァレリオ・ボネッリ、ヴィクトリア・ボイネル
ヘアメイク:ジャクリーン・ファウラー
制作年:2017年
制作国:イギリス
上映時間:106分/5.1ch/カラー(一部モノクロ)
日本語字幕:チオキ真理
配給:キノフィルムズ/木下グループ
© PATHE PRODUCTIONS LIMITED, RELIANCE BIG ENTERTAINMENT(US) INC., BRITISH BROADCASTING CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE AND BEND IT FILMS LIMITED, 2016

■映画『英国総督 最後の家』キャスト

ヒュー・ボネビル=マウントバッテン卿
ジリアン・アンダーソン=エドウィナ・マウントバッテン
マニシュ・ダヤル=ジート・クマール
フマー・クレイシー=アーリア
マイケル・ガンボン=ヘイスティングス・イズメイ
ダンビール・ガニー=ジャワーハルラール・ネルー
オム・プリ=アーリアの父
ニーラジ・カビ=マハートマ・ガンディー
サイモン・キャロウ=シリル・ラドクリフ
デビッド・ヘイマン=エワート
デンジル・スミス=ムハンマド・アリー・ジンナー
リリー・トラバース=パメラ・マウントバッテン
ジャズ・ディオール=トゥリープ


【シネマの時間】
アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美
©︎YUMIMOROTO

諸戸 佑美

本や広告のアートディレクション/デザイン/編集/取材執筆/イラストレーションなど多方面に活躍。

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