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【今からできる相続対策#10】「空き家となった実家」を放置することで想定されるデメリット

近年、深刻化している「空き家問題」。もし、親の持ち家(実家)を相続することになったら、どうすればいいのでしょう。決断も行動も起こさず、空き家のまま放置しても、なんのメリットもありません。空き家を相続して、そのままにしておくと、どんな事態が想定されるのかお伝えします。

【今からできる相続対策#10】「空き家となった実家」を放置することで想定されるデメリット

そもそも、親の持ち家(実家)を相続したら、次のような解決策があります。

「子どもの誰かが住む」

「賃貸に出して家賃収入を得る」

「売却して現金に換える」

しかし実際は「遠方(地方)にあり、現実的に転居できない」「家屋の老朽化が進み、リフォームもしくは建て替えをしないと住むことも貸すことも、売ることもできない」「リフォームする費用がない」というような理由で、空き家のまま何もできないでいると推測されます。

一方、空き家を更地にするという選択肢もありますが、建物を壊すと、土地の固定資産税は6倍に跳ね上がります。これらの事惜から、近年は空き家が増加しています。

■空き家を維持しても放置しても多額のお金がかかる

空き家となった実家を相続したら、維持するのに多額の費用がかかるのをご存知ですか?

ざっと挙げるだけで「固定資産税」「住民税」「火災保険料」「電気・水道代」「町内会費」「草刈り費用」「(降雪地の場合)雪下ろし費用」「実家までの交通費(往復)」などがかかります。一つ一つは多額ではなくても、年間で合計すると50万円近くかかるかもしれません。家計への影響は大きいでしょう。

では、空き家をメンテナンスせずに放置すると、どんな事態が想定されるのでしょうか?

・資産価値が低下する
家は人が住んでいないと、たちまち劣化が進行します。畳が腐り、屋根が雨漏りし、雑草が生い茂ってくるでしょう。早い段階で修繕や建て替えを行ったほうが得策です。

・近隣住民とトラブルになる
空き家にはネズミが住み着きやすいです。雑草が生えるとヤブカなどの虫が多く発生します。こうなると周辺の住宅にも被害が及び、苦情が来るでしょう。また、屋根瓦が落下し、通行人に当たって負傷でもしたら、訴訟になる危険性があります。

・不法投棄、火事の危険性がある
周囲に空き家だと知られたら、そこにゴミを不法投棄する人が出てくるでしょう。燃えやすいものが放置されていると、火事や放火の危険性が高まります。

・結果的にお金がかかる
先ほどお話ししたように、空き家を維持するにも税金等のお金がかかります。また、近隣住民とトラブルになったり、家屋の倒壊でケガを負わせてしまったら、裁判費用がかかるでしょう。資産価値が低下してしまった段階で家を取り壊すと、土地の売却価格よりも解体費用のほうが高くついてしまう場合もあるのです。

いくら「家族の思い出が詰まった家を失いたくない」と思っても、空き家を放置しておくことは、誰の得にもなりません。空き家になる前から「実家を誰に相続してもらうのか」「相続した後の実家の処分はどうするのか」を、家族全員で話し合っておきましょう。

清澤晃

清澤司法書士事務所 代表司法書士 清澤晃 平成18年司法書士登録。 司法書士試験合格後、大手弁護士事務所・司法書士事務所にて勤務司法書士として相続業務や登記・不動産関係など様々な業務に携わる。司法書士法人では支店長を...

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