大人の女はプリミティブで本能的な恋愛をする
「本能的に好き」とどうしたら思えるのか。なぜ人は恋をするのか。快楽のためや子孫を増やしたいのならセックスだけの関係でもいい。非恋愛時代と叫ばれる今、恋は必要なのか。いつの間にか条件や情報を重視して、“好きになるべき人”を選ぶようになってしまった女たちは今、原始的で本能的な恋に還ろうとし始めている。
なぜ人は恋をするのか。
快楽のためや子孫を増やしたいのならセックスだけの関係でもいい。
けれど、肉体的なつながりだけの関係では賞味期限が短く、すぐにその関係は色褪せてしまうことは、私たち女性の多くが苦い経験を経て到達するひとつの結論だ。
人はなぜ恋をするのか。
そもそも恋とは何なのか。
人間だけが許された恋とは何のためにあるのか。
そして非恋愛時代と叫ばれる今、恋は必要なのか。
■いつの間にか条件や情報を重視して“好きになるべき人”を選ぶようになる
初めて異性を好きになった経験を思い出してみよう。
彼の姿を目にするだけで心がときめき、彼と言葉を交わすだけで体温が3度は上昇したんじゃないかーーそんな気持ちにさせてくれた初めての恋。手をつなぐこともキスすることさえも、見果てぬ宇宙の出来事のように、現実感が伴わない想像の世界だった初恋だ。
どうして彼を好きになったの?
どこに惹かれたの?
あの頃の自分に問いかけたとしても、明確な答えを出せる人は少ないのでは? なぜならば恋とは本来プリミティブで本能的な感情のゆらめきだから。
では、もうひとつ質問してみよう。
今好きになっている人、そして最近最後に好きになった人のどこに惹かれたのか?
この答えは意外とすらすらと答えられる人が多いのでは?
なぜならば私たちは大人になるにつれ、それまでの経験や知識、情報や体験をもとに、“好きになるべき人“を無意識に選別する知恵をつけるからだ。
■人を好きになるのは、プリミティブで本能的なこと
けれど、そもそも人を好きになることはプリミティブで本能的なことだ。
それは私たちが動物である以上、逃れられない宿命のようなもの。
喉が渇いているときに水を差しだされたら飲むし、お腹が空いているときに食べものを目にしたら食べる。私たちのプリミティブな本能は、力強く論理的思考を凌駕するほどに支配的だ。
最近増えている事実婚とセフレの関係。
これも本能的な恋愛が市民権を得てきたからの事象ではないか。
男が女を食べさせる。男は外で稼いで女は家に入る。そんな価値観が横行していた時代は緩やかに終焉を遂げ、男と女でパートナーシップを組む時代が始まっている。
男も家事をするし、女も稼ぐ。その分量はそれぞれのパートナーのふたりが自由裁量で決めたらいい。
そんな時代になった。
自らの力で生き方を決められる女性が増えたからこそ、プリミティブに本能的な恋愛を楽しめる時代になったのだ。
■心と体の求めに素直になることで見つけられる本当に相性が良いパートナー
長らく日本では、女性が性的なことを話題に上げることさえ下品だとタブー視されていた。
一方で、男性は朗らかに明るく性的な話題をビジネスのシーンでさえ口にできていた。
女性の管理職が10%以下だった時代を駆け抜けてきた大人女性は、何度も会議や打ち合わせで平然と交わされる下ネタに、不快や怒りを抱えながら笑顔を張り付かせ、やり過ごしてきただろう。
メディアが周知する、男性が理想とする“優しいお母さん”や“良き妻”の女性像の押し付けを享受し、それに近づくべきだというバイアスをかけられてきたのだ。
けれど、そんな時代はもう終わりだ。
私たちの生き方は私たちが決める。誰が何と言おうと、私たちの人生は私たち自身のものだから。
そんな声を上げられるようになった今だから、多くの女性が生きる力を手にし始めた。
そして、生きる力を手にした女性は、心と体の求めに素直になることで見つけられる、本当に相性が良いパートナーを手にし始めている。
■自立と自活ができる自信を持って
一方、悲しい事件が後を絶たない。
経済的に自立することができない女性、自活ができないために子どもを抱えた女性が頼らざるを得なかった、経済依存のためのパートナーによる虐待やDV。
どちらかが一方的に依存する関係は不健全で危険だ。なぜなら、すべての“関係”はバランスで成り立っているから。どちらかに比重が傾く関係は、遅かれ早かれ破たんする。
だから、本当に相性が良いパートナーを見つけるには、まず「自立と自活ができる」と言い切れる自分になることだ。
自分の人生を誰かに委ねてはいけない。
自分の人生を誰かに委ねることは、自分の人生を放棄することと同じなのだ。
■心と体が惹かれる人が与えてくれる“充たされる幸せ”
自分の人生をコントロールできる人だけに与えられるご褒美のようなプレゼント、それが心と体を満たしてくれるパートナーだ。
自分の人生をコントロールする力を得た女性は、男性の経済力や社会的な力を頼る必要はない。薄っぺらい履歴書のような情報に惑わされることもない。
心と体が惹かれる人が与えてくれる幸せを頭の先からつま先まで感じればいい。
見栄もなく、プライドも気にせず、ただ好きになればいい。
彼がどんな人であろうと関係はない。ただひとつ、初めての恋のように、理由もわからず好きになったあの頃のように、好きだという感情に耽溺すればいいのだ。
心と体が惹かれる人が与えてくれる“充たされる幸せ”は、ガラスの天井という言葉もなく、それぞれがひとりで戦い、道を切り拓いてきた大人の女こそが手にすべき幸せなのだから。
※ この記事は2018年7月31日に公開されたものです。