【前半の対談はこちら】セックスの正解はわからない。互いの好きな世界を理解して、歩み寄ることが大切
https://p-dress.jp/articles/6646アダルトコンテンツに気軽にアクセスできる今だからこそ、世の中の男性は女性向けAVを見てほしい。
イくことに執着すると、セックスが辛くなることがある。だから、がんばり過ぎないでいい。
女性の理想や願望が詰まった女性向けAV。
「ファンタジーだ」「本当の男性を描いていない」といった声が一部の方からあがっている一方で、“作品”であり“売らなければならないもの”であるが故にリアルからかけ離れてしまうというジレンマが存在します。
これは、男性向けAVも同じ。
でも、一度女性向けAVを見てみると、男性向け作品の中では描かれない愛撫の仕方やボディランゲージ、コミュニケーションなど、セックスに活かせることは案外たくさんあるものです。
この機会に「女性向けAVを初めてちゃんと見てみた」というライター/編集者のカツセマサヒコさんと、女性向けAV界を代表する男優の一徹さんに対談していただきました。
【前半の対談はこちら】セックスの正解はわからない。互いの好きな世界を理解して、歩み寄ることが大切
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カツセマサヒコさん(以下、カツセ):男性向けと女性向け、全然違いますからね。
一徹さん(以下、一徹):たしかにそうですね。
カツセ:女性の体をソフトに、優しく扱う女性向けAVと比べて、男性向けAVはただただ激しいですよね。僕はああはなれないな、と思っちゃいます。
一徹:たとえば、同じ舐めるシーンでも、シルクラボのような女性向けAVだと、男性が女性の反応を見ながら舐めて、目が合うとニコッと優しく微笑む感じなんですね。
男性向けAVだと「蕎麦をすすってんのか」と思うくらい大音量で吸い上げたり、ベチャベチャと音を立てて激しく舐めたり……。
カツセ:蕎麦、わかります(笑)。逆に男性も女性からいきなり激しく扱われると、心の中で「痛っ! 痛いよ〜!」ってなるじゃないですか(笑)。
一徹:なります(笑)。
カツセ:強弱をオンとオフの2段階で切り替えちゃうと、相手はつらい。しみけんさん(※1)が「相手の反応を見て少しずつ上げていくのが正解」って言ってました(笑)。
0〜10まであるダイヤル式ボリュームを少しずつ上げていくイメージですかね。「自分がされたら嫌なことはしない」理論が、セックスにおいてもそのまま使えると思っているんですけど……。
(※1)しみけん:経験人数9000人、年間約500本の作品に出演するAV男優
AV男優として10年以上のキャリアを持つ一徹さん
一徹:実際、女性からは「セックスのとき(男性が男性向けAVのような激しい動きをしてきて)痛い」といった声は聞くんですよね。
カツセ:童貞だった高校時代、AVで「潮吹き講座」みたいなのを見て、メモってた記憶があります……(笑)。当時は、潮吹き=女性にとって気持ちいいことだから、セックスのときにしないといけない! と思い込んでましたね。
一徹:20年前くらいまでは、潮を吹かせることがすごい、みたいな風潮がありましたが、今は女優さんの多くが「痛いからやめてほしい」「痛いから好きじゃない」と言っていますね。
僕の体感ですが、一般の女性に聞いても、9割近くは「気持ちよくない」と言っています。
カツセ:それでもAV中の潮吹き=気持ちいいものだと信じて、現実のセックスで、潮を吹かせようとする男性は今もいると聞きます。たしかにビジュアルが派手だから視覚的に興奮するのかな、とは思います。
一徹:なにがなんでも女性をイかせようと思うあまりに、潮吹きとか激しいことをする男性は多いですよね。でも、イかせようとがんばりすぎなくてもいいんじゃないかと、僕個人としては思うんです。イくことがすべてじゃない、と。
カツセ:でも、自分だけイって気持ちよくなるのは、独りよがり感があるから、相手にもイってもらいたいって思っちゃうんですよね……。相手もイくことを求めちゃう。
とはいえ、男性向けAVもエロ本も、そもそも独りよがりなはずなのに、同時にイくか、順番にイってふたりとも満たされる、という歪な描かれ方をしているなと感じます。
一徹:難しいところで、どちらか片方しかイかない、というのは作品として成立しないんです。昔は絡みが3つほど出てくる作品が40分くらいで構成されていました。でも最近はひとりの女優さんで180分とか240分とか、かなり長いコンテンツを作るのが主流なんです。
尺が長いほうがトクした感があって売れるみたいで。長く撮らないといけないわけですから、女性がイく様子を描くことで、間が持つっていう業界の事情があるんです。
Twitterのフォロワー数が11万人をこえるフリーライター・編集者のカツセマサヒコさん
カツセ:すごい……そんな裏事情があったんですか(笑)。3時間とか4時間ってどう考えても長いよなあって思っていました(笑)。
でも、イく・イかないっていう話は、女性誌なんかの女性メディアでも盛んに取り扱われますよね。
一徹:気になるんだと思います。
カツセ:あらゆる作品でイく女性が描かれているから、イかない私はどこか変なのかな……って、ある種の弱みのように感じてしまうのかもしれないですね。
一徹:イくことを目的にしすぎると、お互いに疲れたり、イかないことにそうやって劣等感や罪悪感を持ったり、辛くなったりするだけだと思うんです。でも、好きな人とセックスできるだけで、幸せな気持ちになりませんか? イく・イかないに過度にこだわらなくていいと伝えたいですね。
カツセ:体の相性が合わなすぎたらアレですけど、まぁまぁ合っているとすると、心身が満たされるのかなぁとは思います。とはいえ、相手が気持ちよくなっているのを見ると、こちらも嬉しいわけで、できることならイってほしい。
そのために相手が求めることをしようとするんですけど、僕は「気持ちいいの?」とかあんまり聞けないタイプでした。AVに侵されてる気がして、口にしてから恥ずかしくなっちゃう……(笑)。
一徹:僕だったら「AVっぽいかもしれないけど」と前置きして、「気持ちいい?」って聞いちゃいますね。だって、わからないですから。セックスの最中に会話があるほうがいい、って女性もいますしね。
カツセ:勉強になります本当に(笑)。ちなみに女性向けAVでも、セックス中に会話は多くするんですか? たとえば「もっとこうしてほしい」みたいな要望を伝えるときに。
一徹:話し言葉よりも、目線の動きやボディランゲージで伝えたり、っていうのが多いです。言葉にするにしても「ここ」とか「もうちょっと」とか大体1ワードでまとめています。
女性向けAVのハウツーものを見るのもおすすめです。セックスはふたりですることです。だからこそコミュニケーションをとりながら、お互いが気持ちいいと感じて満たされる落としどころをふたりで探っていってほしいですね。
(完)
Text/池田園子
編集・Photo/小林航平(DRESS編集部)
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業界初のメーカー専属AV男優として、女性向けAVメーカー「SILKLABO」で活動した後、2017年よりフリーに。BS12『一徹温泉』を再放送中。著書多数で、最新作となる写真集『めぐる。』(ぶんか社)は好評発売中。
https://twitter.com/ittetsu_silk
フリーライター/編集者。
編集プロダクション・プレスラボでのライター経験を経て、2017年4月に独立。
広告記事、取材記事、エッセイ、物語等の企画・取材・執筆を行う。ツイートが10~20代の女性を中心に話題を呼び、Twitterフォロワーは11万人を超える。
https://twitter.com/katsuse_m
2018年4月20日公開
2019年5月5日更新
いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。