男性が喜ぶテクニック"さしすせそ”
大切なことは“夜”学んだーー人が動いてくれる営業方法
「愛沢えみりは歌舞伎町ナンバーワンキャバ嬢」と言われても、それはキャバクラの中だけ。昼間の世界でがんばろうと思って起業したけれど、私を助けてくれたのはやっぱりキャバクラの営業方法でした。できないことは人にお願いするーー人が動いてくれる私の営業方法です。
はじめまして、愛沢えみりと申します。これから毎月1本、『DRESS』で連載をすることになりました。よろしくお願いいたします。
「EmiriaWiz(エミリアウィズ)」という女性向けアパレルブランドを起ち上げて5年、それまでは長くキャバ嬢として働いていました。
キャバ嬢一本という考えはやめて、アパレルに専念しようと決めたのは、24歳の誕生日でした。そこから会社を設立して5年。ECサイトから始まり、2016年には新宿の路面店もオープン。
まともに勉強したこともなく、一般的な社会経験もなかった私が会社を5年続けることができたのは、私自身の能力ではなくて、何でも人にお願いしてきたからです。今まで本当にたくさんの人が協力してくれて今の私があります。
■商談で「下の立場」に立つメリットはたくさん
キャバ嬢という職業は白い目で見られることが多く、仕事と言うのもおこがましい感じですが、私はキャバ嬢だったから良かったと思っています。
よく“女性としての武器を使う”とか言われます。でも、そうじゃないんです。特に意識してきたわけじゃないですが、今思うと“下に見られることを武器にしてきた”のだと思います。
下に見てくれるから、相手は私より仕事ができるという立場に立って話をしてきます。私自身も社会経験がないぶん、この人の言うことを聞いておいたほうが良いと思い、自然と下の立場に立って話を聞いていました。
上下関係があるなかで商談をすると、素直に教わることができるし、わからないことはわからない、困ったことがあったら何でもお願いする、ということが当たり前にできます。
それに、少し無理なことを言ったとしても、“何も知らないからしょうがない”と言って聞いてくれたりもします。これは私がキャバ嬢という引け目を感じていたからこそできたことです。
もし私が一般の会社員として商談していたら……頼ってばかりの私は何度も怒られていたかもしれません(笑)。
でも、これはキャバクラでの接客と同じ。お客様は基本的に自分をよく見せたいというか、優位な立場で頼られたいという願望のある方が多いです。お客様に対し、オーバーリアクションで「すごい!」「知らなかった!」などと言うと気分を良くしてくれます。
以前出演させてもらったテレビの打ち合せで、番組スタッフの方にその話をすると、それって「男性が喜ぶさしすせそ」ですよ、と言われました。
私はこの「さしすせそ」を狙ったわけじゃなくて、本当に無知で知らないことが多すぎたので、自然とできていたようです(笑)。恥ずかしい話ですが、この接客方法が昼の仕事でも役に立ったと思います。