「森林風呂」の看板を頼りに向かったのは日本式、つまり裸で入る公共温泉(有料)。台湾では温泉は基本的に水着で入るもので、全裸は日式と呼ばれているらしい。
入場料80元とシャワーキャップ20元(高いな)を払って中へ。ほ、ほう……。まず荷物はロッカーではなく、ただの木製の棚にみんなが性善説の下にガンガン突っ込んでいる方式。そして、ちょっと予感はしてたけど中・高年率が9割を超えている(中略)
ぬるーいビミョーなお湯の片隅にじっと浸かっていたら寝不足のカラダにずいぶん染みてきて、そんな風呂の中でも寝落ちしそうになった。
(44ページより引用)
現地に溶け込んで、しっぽり味わう台湾ひとり旅【積読を崩す夜 #27】
【積読を崩す夜】27回目では、『そうだ、台湾いこう』(著:杉森千紘)をご紹介します。ブログ「東京弁当生活。」で、月間100万PVを誇る人気ブロガー・杉森千紘さん初の旅エッセイ。近いからこそ、気負わずに気軽に何回も行ってみたい、台湾旅の楽しみ方を知って。
■近いから何度も行きたい、サクッと台湾旅
積んであるあの本が、私を待っている……。少し早く帰れそうな夜、DRESS世代に、じっくりと読み進めてほしい本をご紹介する連載【積読を崩す夜】。
27回目は、『そうだ、台湾いこう』(著:杉森千紘)を取り上げます。
人気ブロガー杉森千紘さんが、リュックを背負って台湾ひとり旅に。鉄道で台湾をぐるりと1周したり、最新ホステルに宿泊したり。女性ならではの旅じたくHow toなど、気軽に行ける台湾旅のノウハウが書かれています。
観光地をまわるだけではない、しっぽりと現地に溶け込んで愉しむ、ひとり女子旅のコツをご紹介します。
■ぬるい温泉に浸かってトマトジュースを嗜む
国際線CAとして世界各国を飛び回っていた著者は、IT企業に勤めた後、現在はフリーランスとして活躍しています。趣味はひとり旅で、ブログ「東京弁当生活。」が好評を博しています。
旅先から毎日綴っている「今日の旅メモ」が読者の人気を集め、著者自身、いつしか旅をするなら、ひとり旅が好ましいと思うようになったのだとか。台湾が大好きな著者は、リュックを背負い、きままで自由な旅を提案しています。
ある日、台北から温泉が多いジャオシーという温泉街に移動した著者は、いくつかの温泉をまわることにします。
露店というよりも温泉パークといった雰囲気の湯屋を訪れ、日本よりもぬるいお湯を体験します。洗い場で体を洗って入ったり、かけ湯をしたりといった日本の儀礼もない、フリーダムな台湾の温泉。ぬるいお湯につかっていると芯までじんわりと温まってきて、ベンチに座るとどっと疲れが押し寄せて眠くなるほど。
温泉から出て街を歩いていた著者は、温泉栽培した名物の温泉トマトを発見、ジュース屋台を訪れます。現地の人の助けを得ながら、梅ミックスのカットトマトジュースを購入。
絶妙な甘さと濃さ。トマト自体のおいしさが、日本のものとは根本的に違うことに感動。隣の屋台には、温泉トマト牛乳もあり、次の旅ではこれもチャレンジしてみたいといいます。
文化が違う異国の地で、裸の付き合い。心も体もリラックスできそうです。
■台湾の都会でおいしいものと夜散歩を楽しむ
「日本人の方ですか?」同じ部屋の女子に声をかけられた。さおりちゃんはこの2ヶ月間、転職前の自由旅行というわたしも身に覚えがある例のパターンで東南アジアを巡ってきたらしい。夜ごはんのおすすめあります?と聞かれたので「じゃあ一緒にきます?」とディナーにお誘い。
今夜は台湾人のお友達ジャスミンとボーイフレンドのアガくんと一緒にお鍋を食べに行く予定。こんな出会いがホステルの醍醐味だし、お鍋はみんなで食べたほうが美味しいしさ(中略)
数分で漢方鍋がやってきた。羊肉、トマト、キャベツ、つみれ団子、生姜やクコの実などが入っていて、茶色の漢方スープは臭みもないし見た目の重厚さに対して味はあっさり軽い。
(82ページより引用)
高雄に来た著者は、行くところがなくて軽い散策をします。というのも、高雄を訪れるのは2回目で、前回すでにいろいろまわってしまった後だったのだとか。
そして、同室になった日本人女性や現地の友達と一緒に、夕食を楽しむことに。そのお店は、美麗島駅の近く。店頭には魚や野菜がどっさりで、ひとり旅だと鍋を食べるタイミングが意外とないものですが、シェアすることで現地の味を堪能できたのだとか。
別の店に移動して、プーアール茶と紅茶と牛乳のミルクティーを注文。ミルクティー片手に、話題になっているという高雄市立図書館へ夜のお散歩、現地で話題のスポットまでぶらぶらとおしゃべりしながら足を延ばします。
夜の図書館は並んだ窓の明かりが美しく、素敵なランプの下で読書を楽しむ人々が大勢。台湾の都会的な一面を目にします。
おいしい鍋とドリンク。そして、おしゃべりと夜のお散歩。日常的なまったり旅も、台湾なら楽しめそうですね。
■台湾茶の焙煎教室に行ってみる
台北にきたら何はともあれ必ず巡回する迪化街は、ちょっとこない間にまたどんどん洒落た店が増えてパワーアップしている様子(中略)
ヨウさんとタクシーで永康街に移動して10時からのお茶の焙煎教室。今回の旅のお楽しみアクティビティ。いつも旅行でしているように地元の料理教室に行きたくて台北や台南で探してみたけど尋常じゃなく値段が高くて、なんか本当に高くって、しかも結構なフルコースで拘束時間も長く、比較的郊外の教室が多かったのです。
それで今回はこのようなワークショップに参加してみることにした次第。
(118・124ページより引用)
台湾といえば、やっぱりお茶。ただ、お土産を買うだけではなく、自分の手で焙煎をしてみるのも現地ならではの体験でしょう。
ワークショップに申し込みをした著者は、静かな路地に立つ一軒家のお店を訪ねます。中には小さな縦型のせいろ風焙煎マシンがあり、可愛らしいので、これ自体を買ってしまいたいくらいなのだとか。
工程は、まず、凍頂烏龍茶の茶葉をふるいのような網にのせ、せいろの蓋をかぶせます。温度と時間をセットし、10分ごとにかき混ぜて均一に焙煎。10分ごとに茶葉をかき混ぜつつ、別室でお茶の試飲が楽しめるのだとか。
焙煎した茶葉はお持ち帰りも可能。お茶の勉強もできてお土産にもなり、一石二鳥です。
その国に根付いた飲み物を、ただ飲むだけではなく、実際に現地の人の説明を聞きながら制作の体験をする。心に残る、思い出の旅になりそうです。
『そうだ、台湾いこう』書籍情報
著者 杉森千紘さんプロフィール
福井県出身。国際線CAとして世界各国を飛び回った後、IT企業に勤め、現フリーランス。趣味はひとり旅。ブログ「東京弁当生活。」で旅先から毎日綴る「今日の旅メモ」が読者の人気を集める。LCCやホステルを利用する低予算かつ効率的な旅が多い。