旅の楽しみ方のひとつに「祭りに参加する」ということがある。
例え何度も訪れて、すっかり馴染みになったように感じられる街であっても、祭りの日のハレの雰囲気は、まるで違う様相を持っていたりするし、その祭りが伝統に基づいたものであれば、独自の文化を学べるだけではなく、実際に体験だって出来る(中略)
さて、タイの代表的な祭りといえば、なんといってもソンクランだろう。ソンクランとはタイの旧正月のことで、毎年4月13日から15日と定められているが、地方によっては多少日程が前倒しになったり後ろに延びたりする。
(20ページより引用)
タイで「一点集中旅」のすすめ【積読を崩す夜 #26】
【積読を崩す夜】26回目では、『旅の賢人たちがつくったタイ旅行最強ナビ』(著:丸山ゴンザレス&世界トラベラー情報研究会)をご紹介します。あらゆるメディアで活躍しているジャーナリストの丸山ゴンザレスさんと旅の達人たちが、タイのある一面を掘り下げた旅の仕方について語っています。
■旅の達人たちが極めるタイの旅
積んであるあの本が、私を待っている……。少し早く帰れそうな夜、DRESS世代に、じっくりと読み進めてほしい本をご紹介する連載【積読を崩す夜】。
26回目は、『旅の賢人たちがつくったタイ旅行最強ナビ』(著:丸山ゴンザレス&世界トラベラー情報研究会)を取り上げます。
最強ナビシリーズの7作目で、海外を取材して歩くジャーナリストの丸山ゴンザレスさんと、旅の達人たちが執筆した、あらゆる経験と知恵が集められた1冊。タイの旅が凝縮されています。
■タイの水かけ祭り ソンクランで大騒ぎする
著者の大泉りかさんは、2012年に女性3人でソンクランに参加した経験があるといいます。
休みの都合で、大泉さんのみ遅れてタイに到着。他のふたりとカオサン通りのカフェに集合する約束をしていたものの、ソンクラン初日のカオサン通りは大げさではなく戦場状態。
1メートル近くある大型の水鉄砲の散水を避けながらカフェに近づこうとしても、バケツに入った氷水をかけられたり、そのあたりにいる人々に白い泥のようなものを顔に塗られたり。あげくに、後ろから抱きかかえられて、冷えたジュースと氷がたくさん入った水槽にどぼんと放り投げられたり……。カフェにたどり着いたときには、文字通り満身創痍であったのだとか。
ソンクランは水かけをすることがメインの祭りで、現地在住の日本人たちは近隣国に避難したり、家に引きこもったりしているといいます。
日ごろ、ストレスがたまっている人は、全身どろどろになるのを覚悟の上で、大騒ぎする異国の祭りに“参戦”するのも、非日常を味わえてよいかもしれません。
■タイの伝統音楽「モーラム」で発散する
タイ音楽は意外とあなどれない。私の周りのタイ好き人間の中でも、タイ音楽に特化してめちゃくちゃ詳しかったり追っかけのようなことをしてる人は少なくない。
私は浅く広くでオールジャンルOK。タイの東北地方イサーンの伝統音楽モーラムは一番大好物だが、演歌的歌謡曲ルークトゥンやヒップホップのTITANIUMも好きだし、ロックバンドBodyslamもかっこいいし、王道R-SIAM系はカラオケで唯一歌える。
(26ページより引用)
著者の工藤千尋さんが薦めるのは、タイ伝統音楽の「モーラム」。「モーラム」とは、基本的にケーン(竹でできた笛のようなもの)、ピン(ギター的弦楽器)、チン(小さなシンバル)、ソー(弦楽器)で構成されているといいます。
こうした伝統楽器だけではなく、ギターやシンセサイザーが使われてアップテンポになったものが「モーラムシン」。
正統派「モーラム」も、アレンジされた「モーラムシン」も、どちらも薦めていますが、著者の個人的感覚では、ケーンそのものの音がよいのだとか。
そんな「モーラム」の楽団を、本場イサーンまでいかなくても、バンコク周辺で観られるといいます。
「モーラム」楽団は、歌い手が中心となって、派手なメイクと衣装に包まれた数十人の踊り子で息の揃ったダンスを展開。熱狂的なファンは、楽団を追っかけて、ツアーを一緒に回るのだといいます。
異国の地の音楽でストレス発散、なんだか楽しい旅になりそうです。
■タイの料理を食べつくすだけの旅
バンコクを旅行する際に「食」をメインにする人は多い。それほどまでに食が充実しているのも、この国の大きな特色だからだ(中略)
まず、タイ全土から人が集中するバンコクでは、各地方の料理を味わうことができる。代表格がイサーン料理。東北地方の料理で辛味が強いのが特徴である。
また、タイは中部~南部にかけてシーフードを用いた料理が増えてくる。
(146ページより引用)
著者の丸山ゴンザレスさんは、タイの名物料理を食べ歩く旅を薦めています。
タイ国内であっても、地方によって料理の種類が違うため、一概にタイ料理と括ることは本来は難しいのだといいます。
王道のタイ料理といえば、「カオマンガイ」「トムヤムクン」。日本で食べられるタイ料理を本場で食べるのも、現地でしておきたい経験のひとつとしてあげています。
タイ定番の三大料理といえば、「イサーン料理」「シーフード」「屋台料理」といった三分類であると著者はいいます。
特に、屋台で食べられるストリートフードは見逃せない料理のひとつ。メニューは無数にあるものの、定番であるムーピン(豚串焼き)、カオニャオ(もち米)の組み合わせは、クセになるとつい食べてしまうのだとか。
あれこれ欲張って観光するのではなく、食にスポットをあてる“味わい尽くす旅”も、忙しい毎日を忘れる良い時間になりそうです。
『旅の賢人たちがつくったタイ旅行最強ナビ』書籍情報
著者 丸山ゴンザレス&世界トラベラー情報研究会(編集)さんプロフィール
丸山ゴンザレスは、国内外の犯罪を取材するジャーナリストとして活動している。学生時代や無職時代は資金をつくっては旅を繰り返すバックパッカーだった。
そんな丸山とバックパッカー経験者たちによる交流会(という名目の飲み会)が世界トラベラー情報研究会である。別名として「丸山ゴンザレスと愉快な仲間たち」とも呼ばれる。
メンバーは作家、ライター、商社マン、会社経営、キャバ嬢、無職、現役バックパッカーなどバラエティに富む。