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他人の目を気にしているうちは、本当の自分になれない

人には変わるタイミングがいくつかある。しかし、なぜ変わりたいと思うのか。それは果たして自分が望んでいる変化なのか。変わりたい理由を改めて見直すべきかもしれない。

他人の目を気にしているうちは、本当の自分になれない

人生には何度か変わるのに良いタイミングがある。

夏休みや冬休みなどの長期の休み明け。

進学したとき、就職したとき。

大学デビューなんていうものもあるけれど、高校生のときは地味だった女の子が制服を脱いだ途端に華麗にイメチェンした、というのもよく見る。

私自身も似たような経験があった。

高校の校則が厳しく、指定のもの以外身につけてはならなかった。冬に着るセーター、コート。当時はルーズソックスが流行っていたけど、もちろん履けやしない。

中途半端な長さの靴下が指定で、放っておくとズルズルと下がってきてしまうので、ソックタッチが手放せなかった。

したいようにできないというのは不自由だ。個性を押し殺されているような気分がしてとても窮屈だった。

■高校を卒業してからが、デビューのチャンスだったけど

高校を卒業すれば、ほとんど制服を着る機会はない(進路先にもよるが)。

ただ、私服で出掛けるとなるとセンスが問われる。

あいつだせーな。
田舎くせーな。

と思われたくない。でも、私には、なにがオシャレなのかがよくわからなかった。

とりあえず、高校卒業と同時にピアスを空けた。右に2個、左に1個。それから爪をカラフルに飾った。なんとなく、この辺りを抑えとけばオシャレに見えるんじゃないだろうか……と思ったのだ。

実際に大学デビューがうまくできていたのか、自分ではいまだにわからない。

大学はとにかく学生が多く、体育学部の学生は早々にジャージ姿になっていたし、なんだかパジャマのような格好で来ている人もいた。彼らを見ていると、会う人みんなによく見られたい、と思ってばかりいた自分が急に恥ずかしくなった。

少しばかり着飾ったことで、なにか良いことがあったのか。たぶん特にない。

同じ教室には銀色の長い髪の女の子もいた。可もなく不可もない自分の格好はそれまで自分がどう生きてきたが表れているような気がした。

周りに溶け込んでしまいそうな格好の自分は、学食の壁に無造作に飾られた絵画と変わらない。誰が描いたかも分からず、日に焼けて何が描いてあるのかもよくわからない壁の絵。

■どう見られたいかよりも大切なこと

すべての人から好かれるようとするのは乱暴なことだ。

それと同じように、すべての人から「カッコイイ」「素敵だ」と思われようとするのも乱暴だと思う。

そんなことを頭ではわかっていても、ちょっとした日常の中に、すべての人から「素敵だ」と思われたい自分が顔を出す。

私が素敵だと思っている女優さんがテレビに出たとき、友人が「この人ってイマイチだよね」と言った。とき、「私は素敵だと思う」と言えるかというとそうでもない。残念ながら「私もそう思う、ダサイよね」と言ってしまう、ダサイ自分。

そういうところだよ、アタシ、と友人と言葉を交わしながらげんなりする。

人の目を気にしている時点でなりたい自分になれない。

着飾るのはどうしてだろう。

ファッション雑誌を眺めて、これなら似合いそう、ダサいって言われなさそう、と服を選ぶ。

自分のしたい格好をするのはなかなかに自分にはしんどい。
私のことなんて誰も見ていない、と思えばいいのに人の目が気になる。

一度、世界には自分しかない、と思って好きなように着飾ってみたらどうなるだろう。
そこでようやく「本当の私デビュー」なんていうものができるのかもしれない(書いていてちょっと気恥ずかしくなるフレーズだが)。

ふくだ りょうこ

シナリオライター。1982生まれ、大阪府出身。大学卒業後、2006年よりライターとして活動を始める。現在は胃が虚弱な痩せ型男性と暮らしながらラブストーリーについて考える日々。焼き鳥とハイボールと小説、好きなアイドルのライブに...

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