1. DRESS [ドレス]トップ
  2. カルチャー/エンタメ
  3. 『15時17分、パリ行き』イーストウッド監督が、実際のテロ事件を当事者本人で撮影! 古川ケイの「映画は、微笑む。」#40

『15時17分、パリ行き』イーストウッド監督が、実際のテロ事件を当事者本人で撮影! 古川ケイの「映画は、微笑む。」#40

現在87歳のクリント・イーストウッド監督が、実際に起きた列車テロ事件を描いた最新作『15時17分、パリ行き』。この作品でイーストウッドは、犯人に立ち向かった若者3人にそれぞれ自分自身の役を演じさせるという、前代未聞の試みに挑戦しました。実際の事件の起こった場所で撮影に挑み、究極のリアリティーを徹底追及します。

『15時17分、パリ行き』イーストウッド監督が、実際のテロ事件を当事者本人で撮影! 古川ケイの「映画は、微笑む。」#40

◼︎「この映画はごく普通の人々に捧げた物語である。」クリント・イーストウッド

『アメリカン・スナイパー』ではイラク戦争で戦った狙撃手を、『ハドソン川の奇跡』では"USエアウェイズ1549便不時着水事故”のパイロットを描くなど、実在の人物を描いてきた巨匠クリント・イーストウッド監督(現在87歳)。

最新作となる『15時17分、パリ行き』では、2015年8月21日にアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリス内で発生したタリス銃乱射事件と、事件に立ち向かった幼なじみの3人の若者を描きました。

「この映画はごく普通の人々に捧げた映画です」とイーストウッド監督が語る本作は、どんな作品なのでしょうか?

◼︎『15時17分、パリ行き』のストーリー

壁ひとつ隔てただけの家で、ともにシングルマザーに育てられたスペンサーとアレク。小学生の頃からいつも一緒に行動していたふたりは、学校でアンソニーという少年と出会い、意気投合する。

大きくなり、別々の道を歩み始めた3人だったが、常に友情で繋がっていた。

時は流れ、アメリカ空軍の空兵になったスペンサー。

陸軍の州兵特技官となったアレク。

そして、サクラメントにあるカリフォルニア州立大学の大学生だったアンソニーの3人は、「Face Time」で連絡を取り合い、ヨーロッパ中をバックパックで旅行する計画を立てる。

スペンサーとアンソニーはローマで落ち合い、ベネチアへ。
アレクはドイツに先に入り、3人はオランダで落ち合うのだった。

そして運命の日、2015年8月21日――。

フランスとスペインに列車で向かう計画した3人は、15時17分、アムステルダム初パリ行きの高速列車タリスへと乗車する。

列車がフランス国境内に入ったのち、平和な車内で突如とんでもない事態が起きる。

イスラム過激派の男が、自動小銃を発砲したのだ。

乗務員は乗務員室に逃げ込み、554名の乗客全員の命が危険にさらされる中、スペンサー、アレク、アンソニーの3人は、犯人に立ち向かい……。

◼︎見どころ1.幼馴染の若者3人が、本人役で出演!

本作では、テロリストに立ち向かった3人の若者スペンサー、アレク、アンソニーの3人を、本人たちが演じています。

当初は彼らの役を、オーディションによって募った俳優で考えていたイーストウッド監督でしたが、3人が一緒に過ごしている自然な姿を見た監督は、「自分を演じることができると思うかね?」と聞いたそうです。

演技経験のない3人を、イーストウッドがどのように演出するのか。

前代未聞のチャレンジをぜひチェックしてみてください!

◼︎見どころ2.主人公たちの幼年時代

本作の前半では、スペンサー、アレク、アンソニーの幼少時代が描かれます。

カリフォルニア州サクラメントで一緒に育った自称”のけ者”の彼らは、どんな子どもたちで、どのようにして出会ったのか。

小さいときからヒーローだったわけではなく、ごく普通の、どちらかといえばはみ出し者だった彼らが、なぜテロに立ち向かうことができたのか。

いつ、どこでテロに遭遇してもおかしくない時代に、できること、必要なことをイーストウッドが問いかけます。

◼︎見どころ3.ロードムービーとしても楽しめる映像

本作は、94分という短めの上映時間ですが、テロのシーンだけが描かれるわけではありません。

ローマのバチカン市国や、トレヴィの泉、ベネチアの水上バスやサンマルコ広場など、3人がバックパックでヨーロッパを旅するその映像も、見どころのひとつになっています。

87歳を迎えてもなお、新たな挑戦を続けるクリント・イーストウッド監督。

実際のテロ事件のシーンはわずかなため、車内のシーンだけと思って本作を観ると肩透かしを食らうかもしれません。ですが、主人公たち3人のバックグラウンドや友情を描いているからこそ、車内での彼らの行動が、真実味を持って迫ってきます。

鑑賞するというよりも、体験するという感覚に近い本作。

前代未聞のチャレンジを、スクリーンで見届けてみてはいかがでしょうか?

◼︎『15時17分、パリ行き』公開情報

『15時17分、パリ行き』
3月1日(木)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:クリント・イーストウッド『アメリカン・スナイパー』『ハドソン川の奇跡』
出演:アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:94分
公式サイト:1517toparis.jp
(C) 2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited, RatPac-Dune Entertainment LLC

古川 ケイ

映画・ファッションライター。女性誌や女性向けWeb媒体を中心に、新作映画やオススメのファッションアイテムなどを紹介しています♫

関連記事

Latest Article