バラは赤くて
すみれは青い
あなたの知ってる誰かから
愛のこもったご挨拶
指輪は丸くて
終わりがないの
それとおんなじ長さだけ
わたしはあなたのお友達
友達甲斐は金のひも
二人の心をつなぎ留め
ブッツリ切ったりしなければ
二人の友情永遠に
(5・7・11ページより引用)
チョコから卒業!? 『バレンタインの本』が面白い【積読を崩す夜 #20】
【積読を崩す夜】20回目では、『バレンタインの本』をご紹介します。もうじきバレンタインデーを迎えます。DRESS2月の大特集は、「私が楽しむバレンタイン」。本命・義理さまざまなチョコレートからはもう卒業。古くて新しい、洒落が利いた素敵な愛の伝え方を学びます。
■チョコレートは卒業して洒落た愛の詩を
積んであるあの本が、私を待っている……。少し早く帰れそうな夜、DRESS世代に、じっくりと読み進めてほしい本をご紹介する連載【積読を崩す夜】。
20回目は、『バレンタインの本』(著:ソニー オレイリー )を取り上げます。
「そろそろチョコレートから卒業しませんか」という著者からの投げかけが、多様な詩で表現されています。
2月14日には好きな一編を選んで。「バレンタインの詩」で愛を伝えるという西洋ならではの提案をご紹介します。
■家族や友達、そばにいる大切な人へ
『バレンタインの本』は、アイルランドのマーシア出版社から発行されている『THE BOOK OF VALENTINES』が原著となっています。著者であるソニー・オレイリーは、生涯に渡ってバレンタインの詩を収集してきた人物です。
そして、翻訳者である旅出波多代は、このアイルランド版詩集から、日本でも理解しやすい内容の詩を46編ほどセレクトして訳しています。
Roses are red, Violets are blue, Sugar is sweet, And so are you
バラは赤くて すみれは青い お砂糖甘くて 貴方(キミ)みたい
といった具合に、英語と日本語、そして内容に合わせたイラストもついていて、英語教本としてもちょうどよいかもしれません。
「近い将来に、楽しくて無害な良い参考書となり、多くの人に愛され可愛がられる本になると確信しています」と、著者は冒頭で謝辞を記しています。
バレンタインデーでは、義理チョコといわれるものが根強くありますが、心のこもらない贈り物だったらあまり意味がありません。
家族や友人に、いつも支えて愛してくれることへの感謝をこめて、カードに詩のプレゼント。粋なはからいです。
■愛しい人、好きな人へ
ハシゴに昇って落ちるより
わたしと恋に落ちましょう
わたしがあなたを好きな理由
とてもいっぱい有るけれど
いちばん大事なその理由は
あなたがあなただからなのよ
高い山でも登りましょう
深い海でも潜りましょう
ひどい嵐もなんのその
愛しいあなたのためならば
(35・65・75ページより引用)
そもそも、バレンタインデーとはいつから始まったのでしょうか。
バレンタインの日の起源は、3世紀の後半、ローマ皇帝の迫害にあって巡教したローマのキリスト教徒、聖ヴァレンティヌスの祭日である2月14日にあります。
欧米では、この日に、恋人たちが贈り物や手紙、カードを交換する習慣があるのだとか。この日は、特に女性から男性に対して、愛の告白をしてもいいことになっているようです。
日本では、1970年代後半から始まり、女性側からのみ主にチョコレートが贈られる習慣です。思いを寄せる男性だけではなく、同僚・上司に渡す義理チョコに加えて、最近ではがんばっている自分にあげる自分チョコもスタンダード。日本だけの特殊な習慣といえるでしょう。
キリスト教に関係する行事としては、クリスマスがメジャーですが、その分、絵本や本・カードなどのアイテムが充実しています。しかしバレンタインは、日本において本家西洋の習慣とは少し違う広まり方をしたこともあり、かなり商業的。本来の文化的な雰囲気がだいぶ薄いという見方もあります。
西洋で、バレンタインの日に贈られるカードには、気が利いた「詩」が書かれていることが多いのだとか。
アイルランドでは、女性たちは、毎年2月14日になると、洒落た愛の言葉が書かれた詩集を思いを寄せる人に贈るのだといいます。
とはいえ、見ず知らずの人から急に愛の詩を贈られたら、今の日本ではちょっと相手をビックリさせてしまうかもしれません。愛の言葉の参考書として、また、洒落のわかる気の置けない人に。
今年はチョコレートを卒業して、本家のバレンタインを真似てみてはいかがでしょう。
『バレンタインの本』書籍情報
著者 ソニー オレイリーさんプロフィール
生涯にわたってバレンタインの詩を収集。原著はその集大成となっている。