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『「言葉にできる」は武器になる。』刺さる言葉を生みだす習慣とは【積読を崩す夜 #18】

【積読を崩す夜】18回目では、『「言葉にできる」は武器になる。』をご紹介します。人を動かす言葉、心に刺さる言葉を生み出す秘密について、注目のコピーライターが語ります。

『「言葉にできる」は武器になる。』刺さる言葉を生みだす習慣とは【積読を崩す夜 #18】

■「言葉にできる力」は一生もの

積んであるあの本が、私を待っている……。少し早く帰れそうな夜、DRESS世代に、じっくりと読み進めてほしい本をご紹介する連載【積読を崩す夜】。

18回目は、『「言葉にできる」は武器になる。』(著:梅田悟司)を取り上げます。

「バイトするなら、タウンワーク。」「世界は誰かの仕事でできている。」といった有名コピーの数々を生み出したトップコピーライターの著者。人生のあらゆるシーンで活用できる、人の心に刺さる言葉づくりについて学びます。

■「内なる言葉」で意見を育て、「外に向かう言葉」に変換する

物事を考えたり、感じたりする時に、無意識のうちに頭の中で発している言葉。それが内なる言葉である。

あらゆる感情がたまに浮かぶ時には必ず、この内なる言葉を伴っている(中略)

外に向かう言葉とは、一般的に言葉と呼ばれているものである。

自分の意見や思いに言葉という形を与えたもので、主に他者とのコミュニケーションを取る役割を担っている。相手との接点となり、意思疎通を行う道具である。

(29・30ページより引用)

言葉には、ふたつの種類があると著者はいいます。それは、「外に向かう言葉」と「内なる言葉」。

巷には、コミュニケーションや言葉についての本が溢れていますが、表面的なスキルだけで言葉を磨くには、限界があるようです。

やがて著者は、「言葉が意見を伝える道具であるならば、まず、意見を育てる必要がある」という結論に到達したのだといいます。「内なる言葉」で意見を育て、「外に向かう言葉」に変換することが大切だと。

「外に向かう言葉」だけを磨き、鍛えても、ただ言葉の巧みさを得るだけで、重さや深さを得ることはできません。

「内なる言葉」は、自分の視点そのもの。だからこそ、「内なる言葉」に幅と奥行きを持たせるために、自分の意見を育てることが必要だというわけです。

■「志を持ち共有する」それが人の心を動かす

「伝わる」と「動きたくなる」の間にあるもの。その差を生んでいるのは、志を共有しているかどうかであると考える。

志を共有するためには、確信を持てる志がなければならない。そして、「伝える」でも「伝わる」でもなく、その志を共有する必要がある。

(51ページより引用)

自分の言葉で人に感動を伝えるために必要なこととして、言葉のうまさだけがポイントではないと著者はいいます。

そもそも、自分の言葉の奥にある「志や意思」を強く持てるかどうかは、自分が行おうとしていることに対して、どれだけ本気で向きあっているかにかかってきます。

そして、それを共有するには、内容をただ伝えるだけでは不十分だと著者はいいます。

考えた時間の単純な積み重ねではなく、正しく「内なる言葉」と向き合った量によってのみ、心から伝えたいことが生まれ、言葉に変化が表れるのだとか。

人の心を動かすのは、話している人の本気度や使命感。そして、生きる上で感じてきた気持ちが総動員された「体温ある言葉」。

これこそが、人の共感を呼び、志を共有し、ひいては人の心を動かす言葉づくりに通じていくのです。

■自分との会議時間を確保する

では、いつどのようにして内なる言葉と向き合うか。普通に考えれば、仕事や学校が終わった後や、ゆっくりお風呂に入った後のリラックスした状態がよいと思うかもしれない(中略)

重要なのは、きちんと時間を確保して、自分と、自分の内なる言葉と向き合うことである。さらに言えば、定期的に時間を取ることで、自分と向き合い続け、習慣化することである。

(135・136ページより引用)

「内なる言葉」という見えないものと向き合う時間を確保することは、忙しい毎日においてなかなか難しいものです。時間があったらと思っているだけでは、永久にその時はやってこなさそうです。

著者の場合は、「内なる自分の言葉」と向き合う時間を「自分との会議時間」と定義して、1週間に2回くらい設けているのだとか。午前中の1~2時間というまとまった時間を確保し、別の要件が入っても、優先するようにしているといいます。

そして、自分の思いをさらけ出し、言葉の型を知る時間にあてる習慣をひたすら続ける。

印象的なコピーや言葉というものは、ある日、突然天から降ってくるのではなく、内省し続ける努力に他ならないようです。

『「言葉にできる」は武器になる。』書籍情報

著者 梅田悟司さんプロフィール

コピーライター・コンセプター
1979年生まれ。上智大学大学院理工学研究科修了。中学1年生から17年間柴犬と添い遂げるも、2012年に猫の里親になったことを機に、犬派から猫派へと鞍替えする。座右の銘が「神は細部に宿る」から「すべては大した問題じゃない」に変わる。
著書に2017年8月時点で15万部を超える『「言葉にできる」は武器になる。』(日本経済新聞出版社)など。広告制作では、カンヌ広告賞、レッドドット賞、ギャラクシー賞、グッドデザイン賞、観光庁長官表彰など国内外30以上の賞を受ける。CM総合研究所が選ぶコピーライターランキングトップ10に、2014年から2016年まで3年連続で選出される。

ナカセコ エミコ

(株)FILAGE(フィラージュ)代表。書評家/絵本作家/ブックコーディネーター。女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っています。「働く女性のための選書サービス」“季節の本屋さん”を運営中。 ...

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