プーシキン美術館展──旅するフランス風景画
フランス絵画コレクションで知られるモスクワのプーシキン美術館から、17世紀から20世紀の風景画65点が来日。 東京都美術館で2018年4月14日(土)~7月8日(日)まで。
フランスの風景画のコレクションが一堂に来日
17世紀から20世紀の風景画が来日します。神話の物語や古代への憧憬、あるいは身近な自然や大都市パリの喧騒、果ては想像の世界に至るまで、描かれた時代と場所を軸にフランス近代風景画の流れをご紹介します。様々な情景を舞台にした風景画は、その土地のにおいや太陽の煌めき、風にそよぐ木々や街のさざめきをも感じさせてくれます。
クロード・モネ 《草上の昼食》 1866年 © The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.
なかでも、注目は初来日となるモネの『草上の昼食』。同時代の人物たちとみずみずしい自然の風景が見事に調和しています。印象派の誕生前夜、26歳となる若きモネの魅力溢れる作品です。
ほかにもロラン、ブーシェ、コロー、ルノワール、セザンヌ、ゴーガン、ルソーらの作品が集います。初夏の上野で、巨匠たちが愛した光と色彩が躍る美しい風景を巡る「旅」を体感できます。
展示構成
第1部「風景画の展開 クロード・ロランからバルビゾン派まで」
1章 近代風景画の源流/2章 自然への賛美
第2部「印象は以後の風景画」
3章 大都市パリの風景/4章 パリ近郊--身近な自然へのまなざし
5章 南へ—新たな光と風景/6章 海を渡って/想像の世界
宗教画の背景として描かれていた風景でしたが、17世紀のオランダにおいて「風景画」として独立したカテゴリーになります。フランスの画家たちも次第に関心をしめし、イタリアで目にした古代の移籍や旅先の風景を描くようになります。19世紀に入ると、身近な自然を愛したバルビゾン派の画家たちが人気になります。
そして19世紀半ばからは「パリ大改造」が行われ、街並みが大きく変わりました。印象派の画家たちは生まれ語ったパリを歩き、都市の情景を数多く描きます。さらに鉄道網の発達にともない、郊外や南仏の風景を描き、さらには海を渡って、想像の世界へと広がりました。
『庭にて、ムーラン・ド・ラ・ギャレットの木陰』
ムーラン・ド・ラ・ギャレットはパリのモンマルトルにあったダンスホール。喧騒から少し離れた木陰で楽し気に語らう男女5人が描かれています。後ろ姿の女性はルノワールのお気に入りのモデル・ニ二。その後ろから顔をのぞかせているのは画家のモネです。
『サント・ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺め』
エクス・アン・プロヴァンスの近くにあったセザンヌの家の近くから見ることができた。この山はセザンヌが主題にしたモチーフのひとつで、30点以上の油絵と多数の水彩画にしています。
ポール・セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山、レ・ローヴからの眺め》 1905-06年 © The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.
『マタモエ、孔雀のいる風景』
1891年、ゴーガンはタヒチ島へ赴きます。タヒチ語のマタモエの意味は議論されてきましたが、ゴーガンはフランス語では「死」というタイトルをつけました。文明化されたヨーロッパ人としての自身の死を示していたと考えられています。
『馬を襲うジャガー』
アンリ・ルソーの作品は熱帯のジャングルを舞台にしたものが多数あるが、実際に南国に行ったことはなく、パリの植物園でスケッチしたさまざまな植物を組み合わせて、幻想的な風景を作りあげました。
アンリ・ルソー 《馬を襲うジャガー》 1910年 © The Pushkin State Museum of Fine Arts, Moscow.
展覧会概要
会期:2018年4月14日(土)~7月8日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室(東京・上野公園)
休室日:月曜日 ※ただし、4月30(月)は開室
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室:金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日、プーシキン美術館、ロシア連邦文化省
お問い合わせ先:TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
大阪会場
会場:国立国際美術館(大阪・中之島)
会期:2018年7月21日(土)~10月14日(日)
主催:国立国際美術館、朝日新聞社、BS朝日、プーシキン美術館、ロシア連邦文化省