「気づき」の繰り返しで素敵な人になる茶道【新世界を嗜む】

「気づき」の繰り返しで素敵な人になる茶道【新世界を嗜む】

『DRESS』1月特集は「新世界を嗜む」。2018年は新世界=「未体験の趣味」と出会ってみませんか。趣味は自分の生きる世界を広げてくれて、日々を今よりもっと素敵にしてくれるもの。本記事で紹介するのは「茶道」。茶道家の水月さんに寄稿いただきました。


『DRESS』1月特集は「新世界を嗜む」。ここで定義する新世界とは、未体験の趣味の世界。

思いっきり笑った、感動して泣いた、目標を達成して感動した、のめり込みすぎて時間を忘れていたetc.。趣味を通じて得るさまざまな感情や経験は、私たちの人生をカラフルにしてくれるもの。

「自分の人生にこれがないとつまらない」「これがあるおかげで日々が楽しい」。そんな風に思える趣味はありますか?

ある人はもちろん、ない人も、2018年は新世界に足を踏み入れて、新しい趣味と出会ってみませんか。趣味が自分の生きる世界を広げてくれて、日々を今よりもっと素敵なものにしてくれるはずです。

スポーツ(観戦含む)系、文化系に分けて、趣味に熱中している人たちが、魅力や楽しみ方を愛のある文章で語り尽くします。

ここでは、「茶道」という新世界へ飛び込み、現在茶道家として活躍する水月さんの例を見てみましょう。

■美しい所作を身に着けませんか

今は茶道家として活動している私ですが、10代の頃はアウトドアスポーツが大好きでした。

そんな私がある日、祖母に連れられてお茶会に伺いました。そのときに、お点前(てまえ)をしている着物姿の女性を見て、あまりの美しさに衝撃を受けました。

「なんて美しい世界があるのだろう……」と溜息が出ました。

おしとやかな美しい立ち居振る舞い。
細やかな手つき。

自分に足りない部分を補うために始めたのが茶道でした。

■稽古とは気づくこと

お稽古を始めたときは恥ずかしいと気づくことの繰り返しでした。

稽古では気づきが大事です。最初からできる人なんていないのです。自分に目を向けて、「こんな自分もあるのだ。今度はここに気をつけよう」と気づくこと。茶道の稽古の目的はそこにあります。

お子さんなどはお菓子とお茶でお腹を満たすということで興味を持ち、やりたいと言います。けれどもお稽古のお月謝で、ただ癒されたいとか、おもてなしのサービスを受けたいと望むことが稽古の目的ではありません。

お茶を点てる美しい所作を目指し、自分の足りない部分に気づき克服しようと反復して練習を積み重ねること。精神を鍛錬することが、道とつくものの稽古であります。美しい所作の女性は素敵です。きっと憧れられる女性になりますよ。

■着物は着てから何をするのかが大事

京都には着物姿の女性たちがたくさんあふれていますね。ほとんどの方が海外からの観光客です。着物姿で記念撮影して茶道体験して帰国します。

「着物を着てお食事会に行きました」とインスタグラムに投稿するのは、海外からの観光客と変わりませんね。

着物を着たら、そこから何をするかが本当でしょう。

着物を自分で着ることはそんなに難しいことではありません。ちょっと前までは毎日の生活でしたから。着物を着て、それであなたは何をするのでしょう? 気づきを求める学びをしてみたらきっと自分に磨きがかかり、より素敵になっていきます。

■抹茶は美容と健康のスーパーフード

茶道を趣味に

鎌倉時代、日本に伝わったお茶は薬として飲まれていました。

新芽の部分をそのまま使う抹茶は、実はビタミンの宝庫です。また鉄の釜で煮えたお湯を注ぎ、ミネラルもたくさん摂取できます。抹茶の効能の素晴らしさは、科学的にも証明されています。

茶道の先生方は健康で本当に美しい肌をされている方が多いです。また、長寿で90歳を超える先生方がたくさんいらっしゃいます。皆さんに共通して言えることは聡明で美しいこと。若い人たちがみな憧れ、こうなりたいと思う素敵な先生方ばかりです。

■茶道とは、生活そのもの

1日の始まりは、まず着物を着て身支度をピシッと整えること。

自然を感じ、庭を整えて花を生け、喜んでいただくために道具を選び整え、灰の形をつくり、炭を燃やし、お湯を沸かし、お客様にたった1杯のお茶をふるまうために、準備に何時間も時間をかけます。

そして美しく立ち居ふるまい、完璧を目指す志を持ち、1日を過ごします。茶道は生活そのものです。自ずと心身ともに整えられていき、結果、美しく健康で長生きできるのだと実感しています。

■海外から見た茶道

茶道

日本人は、欧米文化にとかく憧れがちです。

海外に仕事で赴任し、また留学する方がたくさんいらっしゃいます。そして帰国された方々がよく私のところに来て、「現地では、日本人なら茶道を教えてくれ。なぜ日本人なのに茶道を知らないのだ? と言われて困った」と言います。

そうなのです。海外の方々から見た茶道はとてもクールで憧れなのです。年々、海外の方からの茶道体験の申し込みが多く、注目度の高さを感じています。

みな着物姿での美しい立ち居振る舞いは究極の美だと絶賛します。日本人は海外文化に憧れる前に、もっと自国の文化に自信と誇りを持ち、知っておくべきだと私は思います。茶道は日本が世界に誇るべき美なのです。

■市中山居 忙中の閑(しちゅうのさんきょ ぼうちゅうのかん)

「町の中にありながら山居のような静けさ。忙しい中の清閑なひととき」

茶道は、昔は戦国武将がたしなみ、現代まで何百年も受け継がれてきました。生と死と、家臣とその家族の命を背負い、ぎりぎりの精神状態の中で必要とされてきました。

今は幸運なことに、誰でも学ぶ自由があります。忙しい毎日に追われている人こそ、必要なものだと感じています。

自分を見つめて良いところ、苦手なところに気づく。そこに気づいたら、自分を咎めたりせずに受け入れて気づくことに楽しさを感じること。稽古を反復してより素敵になっていく自分にまた気づくこと。

茶道のお稽古にはそんな楽しさがあります。

美しい立ち居振る舞い、美しい所作の女性は同性のみならず、異性からもきっと憧れられますよ。

この記事のライター

茶道家。幼年から茶道に勤しみ、バイリンガルとして海外にも多くのファンを持つ。伝統的な茶道を守り、後進の育成に努める一方、優雅な世界観で日本文化の普及活動に寄与する。

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