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ベリーダンスは女性である自分と向き合う癒やしのひととき【新世界を嗜む】

『DRESS』1月特集は「新世界を嗜む」。2018年は新世界=「未体験の趣味」と出会ってみませんか。趣味は自分の生きる世界を広げてくれて、日々を今よりもっと素敵にしてくれるもの。本記事で紹介するのは「ベリーダンス」。ベリーダンスに魅了され、今ではインストラクターとして活躍する三原真理子さんに寄稿いただきました。

ベリーダンスは女性である自分と向き合う癒やしのひととき【新世界を嗜む】

『DRESS』1月特集は「新世界を嗜む」。ここで定義する新世界とは、未体験の趣味の世界。

思いっきり笑った、感動して泣いた、目標を達成して感動した、のめり込みすぎて時間を忘れていたetc.。趣味を通じて得るさまざまな感情や経験は、私たちの人生をカラフルにしてくれるもの。

「自分の人生にこれがないとつまらない」「これがあるおかげで日々が楽しい」。そんな風に思える趣味はありますか?

ある人はもちろん、ない人も、2018年は新世界に足を踏み入れて、新しい趣味と出会ってみませんか。趣味が自分の生きる世界を広げてくれて、日々を今よりもっと素敵なものにしてくれるはずです。

スポーツ(観戦含む)系、文化系に分けて、趣味に熱中している人たちが、魅力や楽しみ方を愛のある文章で語り尽くします。

ここでは、「ベリーダンス」という新世界へ飛び込み、現在インストラクターとして活躍する三原真理子さんの例を見てみましょう。

■ベリーダンスは女性にとって「癒しの時間」になると思う

「頭の中を空っぽにして、大きく息を吸って、吐く息と一緒に、疲れも嫌なことも、ぜーんぶ吐き出して……」

準備体操中の心地よい声に誘われて、私は1週間に1時間の「自分を取り戻す時間」に入っていく。

「男性と肩を並べて戦う企業戦士」の鎧を脱ぎ捨てて、鏡の中の自分の、体の曲線を確かめながら、女性に生まれたことに向き合う時間。

何事にも世間のイメージというのはあるもので、ベリーダンスは「お腹を出して腰を振って踊る、セクシーなダンス」。そう連想する人が多いかもしれない。

けれど、ベリーダンスとは「究極の癒しの時間」。私はそう感じています。

■社会で鎧をまとう私と、女性である私

当時私は、新卒で入社した大手企業の営業職をしていた。

汗と涙と、グラフと、長時間労働。営業の仕事は、想像通りの厳しい世界が待っていた。

それでも、「自分を拾ってくれた会社だから」と思うと、身を粉にして働かなくては、と考えた。それがサラリーマンとしてのあるべき姿だと思ったから。

社会で忙しく働く中で、「自分が女性である」と感じる時間はすごく短い。むしろ、それを否定することが多くあった。

・男性に負けないように体力の限界まで仕事をしなくちゃ
・「これだから女は感情的だ」と思われないよう、決して泣いたりしないように
・「女を武器にした」と思われたくないから、とにかく実績を作ろう

そんな風に、必要以上に気を張っていた。

だけど、そういう思いに縛られるのは、体にも心にもとても不自然なことだったはずだ。理不尽で泣きたいときだって、それらの感情を抑えつけ、見ないようにした。

そうしているうちにいつしか、「自分が本当に何を感じているのか」も、わからなくなっていたのではないかと思う。

今振り返れば、「私はいったい、何と、戦っていたんだろう?」と、思える。

ただ、当時の私のように、社会の中で働くために鎧をまとい、その重圧に苦しんでいる女性は多いのではないだろうか。

鎧をまとうことは時に必要かもしれないけれど、ゆっくりとそれを外して、女性としての、そのままの自分を慈しむ時間も、同様に持ってあげてほしい。

■ベリーダンスと出会うまで、出会ってから

私をベリーダンスの世界に連れてきたのは、大学時代の友人であり、スタジオExoFolliesを立ち上げた、中村インディアだった。

あるとき、彼女がトルコの旅から帰ってきて突然、「ベリーダンスの教室を開きたい」と言ったことから始まった。

いわゆるセクシーな踊りなんて私には”キャラ違い”だし、まさかお腹を出すなんてとんでもない。そう思っていたはずだった。

けれど、当時のインディアは、大きな使命というか「やるべきこと」を見つけて帰ってきたように見えて、彼女を応援したいという気持ちで、私にできることは、彼女の最初の生徒になることだった。

いわゆる男性社会に身を置き、数字に追われ、仕事が上手くいかない自分に苛立ち、心も体も疲れていた私にとって、1時間のレッスンの時間は、自分を解放できる時間。

鎧を脱ぎ捨て、鏡の前の自分とゆっくり向き合い、本当の自分の声に耳を傾けていくことを続けたおかげで、大げさかもしれないけれど、人生の指針のようなものが徐々にクリアになっていったようだった。

周囲の期待や、社会の物差しはいったん置いて。「あなたは、本当は、どうしたい?」。自分とそんな対話をするクセがついていったのかもしれない。

私が自分の中の本当の望みをクリアにし、大手企業の肩書きを捨ててキャリアの大きな方向転換を決断できたのも、ベリーダンスを続けたことが大いに関係していると思う。

そして今、自分が天職と思える女性のためのコーチング事業を持つことを実現できている。

また女性である自分をしっかり見つめ、認めることで
周囲からも、「柔らかな印象に変わった」と言われることが増えたのも、嬉しい変化だった。

さらにはダンサーとしてショーに出るようになり、自分の踊りを見てパワーをもらえたと感動する人や、時に涙を流してくれる人が現れた。

私は自分を解放し、その時の感情のままに踊っているだけなのに、それが誰かの心を動かすことがある。これはとても面白いこと。

自分と対話する時間があまりにも少なすぎる現代の女性たちにとって、鏡の中の自分と向き合うことや、ありのままの自分を人前で表現することが、とても意味のあることだと感じた。

その時間を共有するべく、今日もインストラクターとして、ベリーダンスを広めている。

■ベリーダンスに魅了され、インストラクターにまでなったふたつの理由

ダンス教室というと、技術の向上を目的に練習を重ねるイメージがあるかもしれない。けれど私たちのスタジオでは、技術を高めることよりも、もっと大切なことがあると考えている。

ベリーダンスは元来、即興の踊り。誰かと足並みをそろえる、決められた踊りではなく、今、自分の感じている感情を、どんなことでも表現してかまわない。

そのときに伝えてみたいことを、自分の中から探し、表現することができる。つまり必然的に、「本来の自分と向き合わざるを得ない」時間となるのだ。

普段、働いていると、「社会人として正しく振舞わなくては」「余計な感情は押し殺さなくては」というルールに従っているのに対して、「今、自分は何を感じていて、何を表現したい?」と、自分と対話することになる。

はじめは、鏡の前でポーズを取る自分を見ることさえ、戸惑ってしまう。

音楽を聴いて、「感じたイメージで自由に踊ってください」と言われても、どうしていいかわからず立ちすくんでしまう。

けれど、この時間が私にとって、「究極の癒しの時間」となっていると気づくのに時間はかからなかった。

それはベリーダンスが、自分の声に耳を傾け、表現すること、女性としての自分にまっすぐ向き合うこと――このふたつの要素を持っているからに違いない。

私は過去の自分のように、忙しい社会の中で、真面目に働く女性たちとこの時間を共有したい。そういう思いで、インストラクターをしている(趣味が仕事になってしまった!)。

ベリーダンスをしていると、自分の表現力に自分で驚くことや、これまで知らなかった女性としての美しさや表情に出会うことがある。

女性に生まれたのであれば、その瞬間を、ぜひ体感してみてほしい。

Text/Maliha/三原真理子
渋谷のベリーダンススタジオExoFollies所属インストラクター
※スタジオURL
http://exofollies.com/
2015年より、働く女性のためのキャリアコーチング事業を展開。プライベートセッション、長期講座、セミナー等を実施する。

※ブログ
働く時間が楽しくなれば、
毎日はもっとHappyになる!
キャリアコーチ真理子のブログ
https://ameblo.jp/2015mariko

写真提供/著者

DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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