ファッション好き必見の映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』

ファッション好き必見の映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』

ファッションを愛する『DRESS』読者にぜひ見てほしいのが、このドキュメンタリー映画。ドリス・ヴァン・ノッテンの華やかなコレクション・ショーの舞台裏とクリエイションの現場、そしてファッションに賭ける彼の情熱と誠実な人柄が、ファッションの魅力を再発見させてくれるに違いありません。


孤高のファッション・デザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン

ベルギー・アントワープ出身のファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン。2017年の3月には、100回目のコレクションを発表。秋には集大成としてコレクションをまとめた『DRIES VAN NOTEN BOOKS1-100』を出版。59歳と円熟期を迎えている。

ニコール・キッドマン、ミッシェル・オバマ、アイリス・アプフェルなど、世界のセレブやファッション・アイコンも愛して止まない。
広告は一切しない、自己資金だけで活動するメゾン。年4回のメンズとレディースのコレクションの洋服だけで世界と勝負する潔さ、ファストファッションと大資本全盛の時代において、まさに孤高のファッションデザイナーなのです。

あまりメディアへの露出を好まなかった彼を監督のホルツェマーは、3年がかりで口説きました。
カメラは、パリのグラン・パレで開催された2014年9月の2015春夏レディース・コレクションの舞台裏から、念願だったオペラ座を舞台にした2016年1月の2016/17秋冬メンズ・コレクションの本番まで1年余りも密着。
描かれるのは、華やかなコレクション・ショーの舞台裏、世界中に特注した大量な生地をセレクションするアトリエの様子、スタッフを駐在させて高い品質を維持するインドの刺繍工房の現場など、クリエイションの現場のリアルなプロセスです。

他のブランドとの違いは、ドリス自身がデザイン画を描かずに、生地作りから始まる創作過程にあります。世界の織物メーカーに発注し、生地サンプルをチェックし、デザイナーのザイラーやメリルらとアイデアを出し合い、裁断、仮縫いへ。
その後、仮縫いされた150~160点のサンプルを叩き台にして、公私にわたりパートナーのパトリックとスタリイストのナンシーとともにさらに絞り込んでいきます。最終的にリリースする50~60体まで、さまざまな布を重ねたり、合わせたり。ドリスがファミリーと誇るチームでの試行錯誤を続けて、コレクション当日を迎えます。
こうした繰り返しを年に4回、メンズ、レディースの春夏、秋冬のコレクションを25年余り続けているのです。

ドリスは言います。
「成功はプレッシャー、さらなる期待が高まる」
「このサイクルから抜けたい、デザイナーなら誰しも、1年間休みたい、いや1シーズンでも休めればと妄想するが、それは不可能だ」

コレクションはすべてチャレンジ、と語るドリス。

自らを「病的な完璧主義者」と認め、コレクションの直後は「ここをこうすれば・・・」など後悔するので、すぐに映像を見たくないという彼に、過去のコレクションを解説させる場面もあり、
「見せ方が冷淡、受けも悪かった」
「スポーツウェアとオート・クチュールのミックスは冒険だった」
「スージー・メンケスに腐ったエビのいろと酷評された」
など、率直に語る姿はとても印象的です。

ドリスのプライベートに立ち入ったのは、パートナーのパトリックと暮らすアントワープ郊外の自宅。庭園と自家菜園をドリス自らが案内し、花を摘み、野菜を調理する場面も描かれています。

子供のころは、両親の経営するブティックで遊んでいましたが、家業を継ぐことより、服そのものをつくることに興味を覚え、1977年から80年までアントワープ王立芸術学院で服作りを学びました。同期にアントワープ・シックスと呼ばれる才能ある6人が集まり、注目を浴びます。
1992年に初のメンズコレクションを発表、3年目からレディースのコレクションも手掛けるようになりました。英国のジャーナリストのスージー・メンケスが賞賛して売れるきっかとなり、さらにマドンナが着たことで、一気にブレークします。1994年には、フランスTVでは、3シーズンで有名なデザイナー、トップ20のゴルチエの次の2位にランクされたのです。

6カ月で消費される「ファッション」が嫌いなドリス

ドリスは語る。
「とりつかれている。ファッションは空っぽ、ファッションという用語は嫌いだ。半年で寿命がつきると思われてている。自分の洋服はもっとタイムレスな言葉で表現したい」

ファッション・デザイナーでありながら、「ファッション」という用語は嫌いだと断言し、
「服をデザインする前に、ストーリーや人物や、モノを思い浮かべる。感じることを服を通して表現したい」

93分に凝縮されたドリス・ヴァン・ノッテンの「とりつかれた」世界にひたってみませんか。

『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』公開情報

2018年1月13日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー
監督・脚本・撮影・製作:ライナー・ホルツェマー
撮影:トゥーン・イレハム
音楽:コリン・グリーンウッド、マシュー・ハーバート、サム・ペッツディヴィス
2016年/ドイツ・ベルギー
配給:アルバトロス・フィルム
上映時間:93分
© 2016 Reiner Holzemer  – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE

監督 ライナー・ホルツェマー プロフィール

ドイツ語圏のドキュメンタリー界を牽引する作家。1958年、ドイツ・ゲミュンデン生まれ。
82年にドキュメンタリー作品『Wer sich nicht wehrt…』がHessianTV Awardで最優秀新人監督賞を受賞。代表作はアウシュヴィッツに強制収容されたロマ族に光をあてた『Verfolgt und vergessen』(85)、ドイツで初めてエイズ患者を公表した人物に密着した『I am still alive』(86),『マグナムフォト世界を変える写真家たち』(99)など。本作はドリスに出会って3年がかりで説得し、撮影に至った。

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人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

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