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頂点に立ちたがる女たち。

女性同士で集まると、すぐに格付けをするらしい。「らしい」というのは、あまりにも無意識のうちにやっていて、本人たちは気がついていないようだから。格付けして、例えば、トップになったとして、女性たちは何になりたいんだろう。

頂点に立ちたがる女たち。

知り合って間もない女性が複数人で集まると、すぐにそれぞれの間で格付けが始まるんだそうだ。

本人の美醜、学歴、仕事、結婚について、結婚していれば夫の職業が何か、稼ぎはどうか。

例えば、4人の女性がいれば、自分を基準に「上、下、下」などと査定しているのだとか。はっきりと差がつかなければ、マウンティングが始まる。始まってしまったらもう止まらない。

自分が戦わなければならないかもしれない。

はたまた、目の前で自分をのけ者にした戦いを眺めながら、「もし世界三大美人と言われるクレオパトラと楊貴妃と小野小町がもし一堂に会することがあったなら、同じように戦いが始まるのか……? 彼女たちは絶世の美女だから人のことなど気にしなかったのだろうか」とあり得ないことを考えながらやり過ごすしかない。

■小さいころから続くランク付け

振り返ってみれば、小学生ぐらいのころから、クラスの中では女子によるランク付けがあった。

活発な子と地味な子、とか。

中学生くらいになるともっと顕著で、派手めの女子グループ、普通グループ、地味グループ、ぼっちが集まるグループetc.

べつに誰がそうしろと言ったわけではないのに、派手めグループには嫌われないようにとみんなが気を遣うし、ついでに彼女たちに笑われないようにとドキドキしながら過ごす。

彼女たち派手めなグループの中にも、さらにランク付けがあって、堕落してしまわないように必死に過ごしている……らしい(私も人の話でしかこれは聞いたことがない)。

高校生くらいになると「別にそんな女子同士のグループは気にしないわ」とひとりで過ごす子がカッコよく見えたものだ。

男子にはどう見えていたのかわからないけれど、女子は意外とそのグループの差はしっかりと見えていたし、自分がどこに所属しているのかもわかっていた。

だから、身の程をわきまえる、と言ったら悲しいけど、できるだけみんなが決めているグループ割りのルールからはみ出さないように、無意識のうちに気をつけていたところはある。

■罪深いランク付け

友人が大人になってから偶然、電車の中で同級生に会ったという話を聞いた。

その同級生はどちらかと言うと学生時代はいじめられっ子、まではいかないけれど、教室の中で空気のように扱われていたらしい。あからさまに無視はされないけど、何かでペアを組むとなったら余ってしまう子、一瞬嫌な顔をされてしまう子。自分がそうならないように、心を砕いていた人も多いのではないだろうか。

その子は、友人にこう言ったという。

「私、変わったでしょ? あのころ、私のことをバカにしていた子たちを見返すの」

彼女は実際に見返すことができたのだろうか?

それを聞いてどう思ったのかと尋ねると

「つまらない人生だなあ、と思った」

「でも、今でもそう思うなんて、学生時代は辛かったんだろうね」と彼女は答えた。

友人はどのグループからも距離を置くタイプの人だった。みんなと万遍なく仲がいい、でも深くは踏み込まない。そんなふうに生きられるのもまた、ごく限られた人だけだった。

学校の教室というのは残酷だ。1年間は同じ教室、同じメンバーで過ごさなければいけないし、一度確定したグループはなかなか動かない。1年という時間は、心に傷を作るには十分すぎるほどの時間だ。解放されてからも引きずることになってしまう。

■格付けして、トップになって、そこからは?

小さなグループの中でトップになったって、それはいわゆる井の中の蛙、どんぐりの背比べ、というものだし、どうにかしてトップになったとしても、それはなんだか猿山みたいだなあ、と冷めてしまう。

だからと言って、自分を他の誰かと比べないかと言ったらそうでもない。少なからず、私はこの人より下だな、上だな、とふと考えてしまい、恥じ入ることがある。

それでも”比べること”を繰り返してしまうのは、小さいころからの経験で「上のポジションにいると安心だ」という考えが植えつけられているからなのか……。

圧倒的な強さを見せれば、意地悪をしてくる人は減るし、自分をおだてていい気分にしてくれる人も現れる。居心地が良いのかもしれない。ただ、圧倒的な強さとはなかなか見せつけられないもので、どうにかして差をつけようとあがく。

ただ、喜ばしいことに上には上がいる。あるグループでトップになったとしても、またその上位グループが存在するのだ。うちはうち、よそはよそ、と考えられたら一番良いのだけれど、なかなか難しい。同じグループでトップに立ち続ければいいと思うかもしれないが、盛者必衰ともいうように、なかなか現状維持は難しいものだ。

誰かを格付けするなら、いっそ上へ上へ。格付けして、されて、を繰り返す。場合によっては綺麗になる努力も繰り返す。格付けすることで自分がどの立ち位置なのかを自覚し、もしかすると女はより強く美しくなっていくのかもしれない。

でも、ときどき息抜きしないと疲れる。

もはや誰と何を競っているのかわからなくなりそうだ。

ふくだ りょうこ

シナリオライター。1982生まれ、大阪府出身。大学卒業後、2006年よりライターとして活動を始める。現在は胃が虚弱な痩せ型男性と暮らしながらラブストーリーについて考える日々。焼き鳥とハイボールと小説、好きなアイドルのライブに...

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