ドキュメンタリー映画『謎の天才画家~ヒエロニムス・ボス』12月16日公開!
謎に包まれた生涯をすごしたネーデルランドの画家、ヒエロニムス・ボス。その傑作のひとつがプラド美術館に収蔵されている『快楽の園』。見るものを驚かせ、夢中にさせるその作品と画家の真相に迫るドキュメンタリー映画が12月16日よりシアター・イメージフォーラム他全国順次公開!
謎のネーデルランドの画家ボス
謎に包まれた生涯をすごしたネーデルランドの画家、ヒエロニムス・ボス。その傑作のひとつがマドリードのプラド美術館に収蔵されている『快楽の園』。見るものを驚かせ、夢中にさせるその作品と画家の真相に迫るドキュメンタリー映画が12月に公開されます。
ネーデルランド(現在のオランダ、ベルギー、ルクセンブルク)の画家ヒエロニムス・ボス。没後500年を迎えた2016年、ヨーロッパでは彼の作品を集めた最大規模の展覧会が、ボスが生まれたオランダ南部の街、デンボスの北ブラバント博物館で開催され、世界中からボスのファンが42.5万人も集まりました。そしてこのドキュメンタリー映画も500年を記念して、スペインを代表するドキュメンタリー映画監督のホセ・ルイス・ロペス=リナレスにプラド美術館の依頼で制作されました。
ヒエロニムス・ボスには60代とおぼしき自画像が1枚あるだけで、手紙も日記もなく、その生涯は謎に包まれています。分かっているのはヒエロニムス・ファン・アーケンという本名から、出自はドイツのアーケン、代々画家の家系だったことぐらいなのです。
描いた作品は30点ほどしか残されていません。幻想的で怪異な作風が特徴で、ブリューゲルをはじめとする後世の画家に大きな影響を与えました。
そしてボスの代表作で、もっとも謎めいた作品が、プラド美術館に収蔵されている『快楽の園』なのです。
プラド美術館全面協力のもと撮影されたこの映画は、いまだ決定的な解釈のなされていないボスの最も有名で魅力的な作品『快楽の園』が世界中のクリエイターに与えた影響を検証し、謎に満ちたボスという作家のドキュメンタリー作品となっています。
The Garden of Earthly Delights, El Bosco. Oil on panel, 220 x 389 cm, 1500 – 1505. Madrid, Museo Nacional del Prado.
パネルを閉じた状態の外側には天地創造を模した絵が描かれ、パネルをひらくと、左側にエデンの園を、右側に最後の審判を、中央のパネルには、多数の裸の男女が描かれ、快楽を貪る楽園のように見えることから、教会の祭壇画ではなく、特定のパトロンに依頼された絵画という説が有力です。
この映画では、20人ほどの美術史家、歌手、作曲家、作家、画家、指揮者、写真家、アーティスト、歴史家、哲学者、漫画家、音楽学者、プラド美術館学芸員、さらにはボスが所属していたとされる「聖母マリア兄弟会」のメンバーなどが、『快楽の園』の解読を試みて、魅了される姿を描きます。
赤外線・X線などで、下絵に描かれていた全く別の絵柄の正体や、祈祷書や写本の欄外に描かれた装飾とボスの絵画との関連、「聖母マリア兄弟会」の入会で得られる免罪府など、ボスの時代と『快楽の園』のリンクが見え隠れしてきます。
500年以上前に描かれた「百科事典のような絵画であり、とんでもなく詩的でもある」「美術史において唯一無二だと思う」「これは幻想的なオペラだ」と文化人を魅了するボスの世界に迫る90分です。
『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』
12月16日 シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
監督:ホセ・ルイス・ロペス=リナレス
出演:ラインデルト・ファルケンブルグ、オルハン・パムク
制作:2016年/スペイン・フランス/90分
配給:アルバトロス・フィルム
© Museo Nacional del Prado © López-Li Films