自分の常識を疑う「思考のアンチエイジング」のススメ
自分の常識を疑う――大人になると立ち止まって、考えてみることが必要かもしれません。世代間の価値観の違いを、「常識がない」の一言で片づけてしまうのではなく、もしかすると刻々と変化する現代社会において、自分が実は非常識だった、なんてこともあり得るかもしれません。思考のアンチエイジングをおすすめします。
組織で仕事をしているときにぶつかる原因のひとつは、世代間の価値観の違いではないでしょうか。
私がアラフォーなこともあり、周囲の友人・知人が話す内容に、「若手がこんな信じられないことを言った」とか「こんなことをするなんて非常識だ」という、「最近の若い子は理解できない」というものが多くなってきた気がします。
いえ、気がするというより、確実に増えています。
聞いてみると、たしかに「それはどうなの?」というものもありますが、これを単なる非常識で片づけてしまうことも問題なのではと、最近感じています。
その場で口には出せませんが、「あなたたちも、だいぶ頭が固くなってきたね」と言いたくなってしまうのです。
■考え方の違いを「非常識」で片づけるのは問題
この世代間の違いを「常識がない」の一言で片づけてしまう大人は昔から大勢いますが、果たして本当に、彼らに常識がないのでしょうか?
うちのサロンは、下は10代から上は60代まで、幅広い年代のお客様がいらっしゃいます。年齢によって、普段の生活習慣、使っているもの、考えていることなど、文化がかなり違うなと感じます。
会社においても、連絡手段ひとつをとっても、40代は電話で済ませたがり、30代はメールを使い、20代はLINEで連絡、というような習慣の違い(あくまで例えですが)が見受けられることはありませんか。
今はスマホやSNSが当たり前の時代ですが、アラフォー世代が学生のころなんて、携帯どころかポケベルもギリギリ使っていたかどうか、という時代。
今と昔では生活様式がまったく違うので、今の若い子の行動で理解できないことは、山ほど出てくると思います。
置かれている環境や文化が異なれば、考え方が違ってくるのは当然。
私たちが常識だと思っているそのことは、実はあくまでアラフォー世代だけの常識であって、他の世代にとっては「そんなのありえない!」という非常識、なのかもしれません。
そういう違いも推し量って、せめて理解はできなくとも、「他の世代の中では、そういう考え方が主流なのかもしれない」と認識しておくこと。
そして、いざそういう場面に遭遇したときに、「なるほど、ここでもそういう考え方が出てくるのか」と、受け入れられるくらいの余裕を持つことが必要なのではないかと思います。
■自分の若い頃を思い出して寛容な気持ちを持ちたい
自分の若かりし頃を思い返してみてください。20代の頃は「仕事さえちゃんとやっていれば、何を着ていったっていいでしょ」と、会社に行くにはちょっと露出の高い服を着て行ったり、生足で通勤したりしていませんでしたか。
髪の色もだいぶ明るくて、それを見た先輩女性の顔が険しくなる、なんて経験はなかったでしょうか。
昔の行動や発言など、「あのころは若かったなー」という思い出を持っている人も少なくないのではないかと思います。
しかし、そんな人も、今や先輩女性となり、今の若手の姿に顔をしかめているのだとしたら……。自分の若い頃を思い出せば、寛容な気持ちになることもできるのではないでしょうか。
若手も年長者もどちらも経験済なのだから、両方の立場・気持ちを汲める器の大きさはほしいところです。
■常識を疑う――「思考のアンチエイジング」をさぼると、頭は固くなる一方
「年長者は頭が固い」というのは、皆さんも感じたことがあると思いますが、もしかしたら「最近の若い子は」と言っている自分が、今、そんな存在になりつつあるのかもしれません。
自分の常識が世間の常識と思い込んで、頭ごなしに他人を「常識がない」と決めつけることこそ、まさに頭の固さ。
「もしかしたら、私が常識がないと思ったそれが今の世間一般の常識で、常識がないのは実は私の方なのかもしれない」くらいに、自分の常識や思考をときどき疑ってかかってみるのもいいのかもしれません。
疑問に思って考える――それこそが、ガチガチに固まった固定観念を取り除いて、柔軟な思考を目指す訓練になりますので。
同じアンチエイジングでも、見た目の老化は目に見えるので気づきやすいですが、自分の思考が凝り固まっていることについては、自分が一番気づかないし、誰も指摘をしてくれない部分。放っておくとどんどん進行する一方なので、自分で厳しく管理していきましょう。
ちなみに、今、「私はいつもそう思ってるんだけど、周りが頭の固い人ばかりで……」と思ったあなたは、もしかしたらすでに頭の固い人になっているかもしれません。すべて周りのせいにするのも、頭の固い大人の専売特許ですから。
そういう面倒くさい大人、会社にいませんか。私たちはそうならないよう気をつけたいものです。