下重暁子さんが「子どもをもたない」人生を選んだわけ

下重暁子さんが「子どもをもたない」人生を選んだわけ

“子どもをもたない”という選択肢について語られることが増えています。「家族という病」などで大きな話題を呼んだ下重暁子さんも、「子どもをもたない」人生を選んだ一人。近著『わたしが子どもをもたない理由(わけ)』(かんき出版)に綴った、下重さんの家族観や夫婦観を前回に続き公開します。


■夫婦だけだから向き合える

私の家族は、現在、私とつれあいの二人である。私が子どもをいらないという選択をしたとしても、つれあいはどう思っているか。子どもを欲しいと思っているのではないか。

他人の家のことをそこまで心配してくれる人がいるが、それはおせっかいというものである。同様に、山口智子さんの場合も夫の唐沢寿明さんがどう思っているか、夫に支えられて言えることではないかと言うなど、余分なお世話、彼ら二人に任せておけばいい。

「夫としっかり向き合って二人の関係を築いていく人生」こそしあわせだという山口さんの言葉は確信に満ちている。彼ら二人が選択した人生だからこそ尊い。子どもの存在などなくていい。

二人だからこそ、しっかり向き合うことができるのだ。

子どもがいると、夫婦はあまり向き合わなくなる。夫も妻も子どもとの関係が強くなって二人で行動することも話し合うことも少なくなる。話題も多くは子どものことで占められる。それが無意識のうちに十年以上続き、子どもが成人してからお互いに話し合おう、向き合おうと思っても、話題がなくなり、二人の関係は大きくずれてしまっている。熟年離婚が増えてくるのは当然である。

二人で向き合わざるを得ないとお互いへの想像力もでき、大人二人の楽しみ方も見えてくるのだが。

■5人にひとりの女性が、生涯子どもをもちたくない

子どもを産まない女性の数は年々増えている。厚生労働省の「子どもをもつ意欲」調査によると、子どものいない夫婦のうち妻が子どもを欲しくないと思う割合は、1回目が15.5%だったのに、4回目には22.4%と増えているという。

結婚していない男女を含めれば、その率はもっと増加するだろう。
パートナーがいたほうがいいと思っても、そこに子どもは入っていない。
かつてはそうではなかった。男女のカップルは子どもを作るのが当たり前で、結婚は正当に子どもを作るための条件だった。

私の友人の中には、子どもだけ欲しいという人もいて、パートナーがいなくても子どもがいればいいという選択もあった。
それがここへきて大きく変わってきている気がする。

自分の子どもが欲しいとか欲しくないとかいう前に、恋愛すらしない男女が増えてきたのだ。恋愛して結婚するという当たり前と思われてきた形も崩れてきて、最近見たNHKの番組では、まったくつきあいもせず結婚だけするという男女が増えつつあるというリポートに驚愕した。

■男女のありようと子どもという存在の変化

まわりがうるさいせいだろうか。ともかく一度結婚するということなのか。結婚したいからするのではない。ほんとうはどうでもいいのだが、マニュアルとして形を整える。

夢も希望もない。かつて女たちは夫になる人に三高を求めた。背が高くて高学歴で、高収入、そうした計算すらも入っていないところが不気味だ。

婚活という言葉が一時期クローズアップされたが、今は色褪せて見える。多くの人との出会いから自分に合った人を見つけるという大義名分すらなく、冷め切ってしまった現実!

「結婚を夢見る」などという女性がいた頃のなんと可愛らしく愛おしかったことか。留学したい学生が減り、旅に行きたいとも思わず、車を持つ願望もなく、すべてが内向きになっている。

子どもを持ちたくない人が増えているという調査結果とも関連しているのだろうか。
私は統計の数字をあまり信じるほうではないが、現実が先に進んでいるのが現状だ。

家族間の殺人の増加だって、テレビや新聞では毎日のこと、なぜかと考えが追いつく間もない。
男女のありようとそこに生まれてくる子どもという存在、今までとはまったく違った形が現れはじめている。

『わたしが子どもをもたない理由(わけ)』書籍情報

わたしが子どもをもたない理由(わけ)
著者:下重暁子
発行:かんき出版
単行本:240ページ
発売日:2017/5/22
価格:1188円

[公式サイト]
https://kanki-pub.co.jp/pub/book/details/9784761272555

下重暁子さんプロフィール

作家。日本ペンクラブ副会長。日本旅行作家協会会長。
早稲田大学教育学部国語国文科卒業。NHKに入局。アナウンサーとして活躍後フリーとなり、民放キャスターを経たのち、文筆活動に入る。ジャンルはエッセイ、評論、ノンフィクション、小説と多岐にわたる。公益財団法人JKA(旧:日本自転車振興会)会長等を歴任。
著書に、60万部を超すベストセラーとなった『家族という病』(幻冬舎)をはじめ、『持たない暮らし』(KADOKAWA/中経出版)『母の恋文』(KADOKAWA)、『「父」という異性』(青萠堂)、『老いの戒め』『若者よ、猛省しなさい』(集英社)などがある。

“子どもをもたないこと”はいけないことですか? 下重暁子さんの考える夫婦の形とは

https://p-dress.jp/articles/4693

「なぜ子どもを作らなかったの?」「子どもがいなくて淋しいでしょう」。こんな言葉に違和感を覚える人も多いのでは。『家族という病』などで大きな話題を呼んだ下重暁子さんは、「子どもをもたない」人生を選んだひとり。近著『わたしが子どもをもたない理由(わけ)』(かんき出版)に綴った、下重さんの家族観や夫婦観を全3回で公開します。

この記事のライター

人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

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