先月誕生日を迎えて38歳になりました。世間的には34歳と35歳の間に一つの区切りがあると思いますが、女性ホルモン分泌量が下がり、妊孕性(妊娠力)がガクッと衰えるのは37歳と38歳の間なので、38歳になった=同い年の患者さんに「私たちまだ若いですから」と言いにくくなったのです。 もちろん個人差も大きいのですけど、リプロダクション(生殖)ということを考えれば一般論としては、「まだ38歳」ではなく「もう38歳」という感じでしょうか。
38歳、キャリアと子作りの間で揺れた女心
そろそろ子どもを……と思った矢先に夫がマレーシアの会社に転職。海外別居婚の間にひとりでできることはやっておこうと進めた妊活も一段落し、次はどうしたものかと考えているうちに、38歳の誕生日を迎えてしまいました。さあ、私、どうする?
38歳になった日の朝、「40歳まで、生理が約24回しか来ない!」ということに気づきました。
こちらの記事で、宋美玄先生が「女性ホルモン分泌量が下がり、妊孕性(妊娠力)がガクッと衰えるのは37歳と38歳の間」とおっしゃっていますし、そうでなくても30歳後半で妊娠確率が急激に低下するのは重々承知していますが、それだけでなく我が家は海外別居婚!
生まれて初めて、自分の年齢を恨めしく思いました。
■キャリアの最前線を離脱する道を選んだ
妊娠の確率、流産の確率、生理の回数、海外別居婚……。
子どもがほしい場合、目の前に突きつけられた(というよりも自分で調べた)数字や事実を見てロジカルに考えれば、キャリアと子作り、どちらの優先度が高いかは一目瞭然です。
キャリアのことだけを考えていたこれまでの生活をやめ、可能な限り夫の住むマレーシアに滞在する時間を増やそう、仕事が続けられないなら辞めることも考えよう、と決断しました。
スパッと決めたものの、葛藤がまったくなかったわけではなく、
・将来、がんばらなかったことを後悔するよりは、38歳の今できることをがんばった方が、きっと後悔しない
・仕事は45歳や50歳になっても見つかる(と思いたい)けど、出産はタイムリミットがある
・現時点ですでに妊娠出産できる可能性が若いときほど高くない
と、自分の決断を納得させる言い訳をたくさん考えました。
とはいえ、仕事はどうしよう。
私にある選択肢は次の3つ。
・仕事を辞め、マレーシアで専業主婦になる
・マレーシアで新しい仕事を探す
・現職を続けながら、夫のいるマレーシアに行く頻度を増やす(ただし会社の理解が必要)
■選択肢その1:仕事を辞め、マレーシアで専業主婦になる
根がワーカホリックなので、仕事をしていない自分が、まったく想像できませんでした。キャリアの最前線から離脱するとしても、何かしら仕事はしていたい……
また、自分の貯金が湯水のようにたくさんあるわけでもなく、何かしたりどこかに行ったりする度に夫からお金をもらう生活もイメージできず、専業主婦になるのは最後の選択肢とすることにしました。
■選択肢その2:マレーシアで新しい仕事を探す
本気で子作りをがんばるなら、フィリピンとマレーシアを行き来するよりは、マレーシアに定住する方が……という思いから、マレーシアの仕事を探してみました。
日本にある人材紹介会社に登録すると、「面接しましょう」という連絡はたくさんいただいたのですが、「子作りのためにマレーシアに移住するので……」とお伝えすると、波が引くかのように連絡が途絶えました。
子作り発言がいけなかったのでしょうか。マレーシアだからでしょうか。
シンガポールならいくつか求人がありましたが、いくら隣国とはいえ飛行機の距離。意味がありません。想定済みでしたが少し寂しかったです。
マレーシアにある日系人材紹介会社にもあたってみました。「子作りのためにマレーシアに移住」ということもお話した上です。
幸い一社、仕事内容と待遇が私の希望とフィットする企業があり、選考を進めることにしました。
人材紹介会社との面接、企業との面接いずれも「いつか妊娠する可能性がある」ということは特にネックにはならない印象を受けましたが、オファーをいただいた際にやんわりと「試用期間中(6カ月)の妊娠はなるべく控えてほしい」と言われ、待遇もそれまで聞いていた金額と違う……あぁ、これが現実なんだ……。
自分自身が採用面接もする立場にあるため、企業側の意向もわからなくはありませんが、やっぱり悲しいですね。
子作りのためにマレーシアに移住することを考えている私に、子作りを半年も控える精神的な余裕はまったくなく、縁がないと思ってお断りしました。
■選択肢その3:現職を続けながら、夫のいるマレーシアに行く頻度を増やす(ただし会社の理解が必要)
意志半ばで現職を辞めるのには、後ろ髪を引かれる思いがあったため、上司に「子作りしたいからマレーシアにいる時間を増やしたい、でも辞めたくない、なんとか仕事を続けてみたい」と相談した結果、「そういう体制でしばらくやってみよう、難しそうだったらそのときに考えよう」ということになりました。
自分のモチベーションが続かなかったり、同僚に迷惑をかけたり、生産性の低さから戦力外通告を受けたら、それはそのときに考えよう。
とりあえずは、覚悟を決めました。
■まとめ
若い頃はさほど結婚願望も出産願望もなく、36歳で結婚し37歳で「子どもがほしい!」と思う将来がやってくるとはまったく予想していませんでした。
「妊娠できる確率」を考えると、結婚出産は早い方がいいのは重々承知しているものの、私の場合、人生がこう進んでしまったので後戻りはできません。
だからといって、コラムをお読みいただいている皆さんに、「出産にはリミットがある、私を反面教師にして急いでください!」と主張したいのではなく(子どもをもうけるのもそうでないのも各自の判断なので)、「人生設計について、気持ちが変わることも重々ある」というのを声を大にしてお伝えしたいと思います。