マジシャンが教える「手をキレイに見せる方法」- 指先に自信はありますか?
どうしてあの手はキレイに見えるんだろう? グラスをとる仕草、会話中の動き……綺麗な手には憧れますよね。スキンケアや爪磨きはもちろん、その秘訣は「指の動かし方」にあります。そこで今回は、指先の魔法使いであるマジシャンに「指先をキレイにみせる方法」を伝授していただきました。
■「手がキレイですね」と言われたい
マジシャンをしていると「キレイな手をしていますね」とよく言われます。特に、女性に言われることが多く「なにか秘訣があるんですか?」と質問されることもしばしばです。
いつもそれが不思議でした。
尋ねてくる女性の方が、どう考えても、爪はキレイで、きっちりスキンケアもしているからです。
僕もそれなりに気をつかっていますが、あくまで男性ができるレベルです。美容に真面目な女性のほうが指は美しいに決まっています。なのに、どうして彼女たちは「いいえ、あなたの手のほうがキレイに見える」と口をそろえて言うのでしょう?
そこで、あるとき「手がキレイに見えるかは"手の動き"にかかっているんだ」と気づきました。たしかに“手の動き“についてなら、立場上、ちょっとだけ練習してきたわけですから。
よく考えてみると、私たちは、日常生活のなかで、虫眼鏡を覗くように、相手の手を観察することなんかしません。ざっと大まかに「手の動き」を目に入れるだけです。
だからこそ「手の動きをキレイにする」ことで「キレイな手をしている」と思わせることができるのです。これはひとつの真実です。
手の動きだけでなくとも、フィギュア選手や茶道家、バーテンダ−、バレエダンサー、音楽家、シンプルに姿勢のいい人……所作のキレイな人は、それだけで美しくみえますよね。
今回は、マジシャンとして学んだ「手をキレイにみせる方法」をお教えします。あなたの手は一生、あなたのもとにあるものです。ですから、この秘訣が、あなたの一生の宝物になればと思います。
■手をキレイにみせる法則 - 基本の「三角形」とは?
どんなときに手はキレイに見えるのか?
マジシャンが考える「どんなときに手はキレイに見えるのか?」には法則があります。
それは「手を三角形にしているとき」です。画像をみるとわかりますが、この形をすると、どの角度からも三角形に見えます。
これが黄金ルールです。なにも持たないときもですし、ペンやグラスや鞄をもつときも、この形を崩さないようにします。それだけでキレイに見えます。
といっても、四六時中、この形をキープするわけでありません。
それは不可能です。少し難しいですが「この形を基本にして、いつものように手指を動かしていく」のです。「この三角形を意識しているなら、なにをしてもかまわない」ともいえます。
中指と親指をくっつける − みえないゴム理論!?
とはいえ、いきなり「手を三角にしろ」と言われてもピンときませんよね。
ここからは、基本の考えを説明した上でそれを簡単にやってみせる方法を解説します。
それは「中指と親指をくっつける」ことです。
中指は、もっとも長い指であり、手の中心にあります。いわば見栄えを整える上で、バランスの要になります。
これと親指をくっつけてみてください。自然と「手が三角形になる」のがわかるでしょうか? 少々形が崩れてもかまいません。どんなバランスであっても、三角形にすることが重要ですから。
大事なことなのでもう一度言います。中指と親指をくっつけているかぎり、手は「三角形」をつくることになります。
これを動作するときも意識します。常に、ぴったり指をくっつける必要はありません。例えばなにかをつかんで、指をはなす必要があるときも、中指と親指のつながりを意識さえすれば、三角形は保てます。
そのまま、なにかを手にとってみてください。壁や机にぺたっとはりつけてもいいでしょう。指と指は離れたままでも、手が、形をつくろうと意識できるのがわかるでしょうか?
これを「ずっと中指と親指がゴムで結ばれている」とイメージしましょう。
手が空のときは指がくっつきます。なにかをするときは、その二本の指を中心にして、物をつかんだり、示したり、広げたりと動作をすることになります。
それが「三角形を意識しながら手を動かす」ということです。このルールさえ守れば、なにをしても、自然と、キレイな手の形になります。
では、練習問題です。
ひとまず手をからっぽにしましょう。そのときの形を気にして……目の前のペンやコップをつかみます。それを高く上げて、もう一度置くと、手はどのような形に戻りますか?
こんなふうに「手の形を意識する」というと、はじめは戸惑うかもしれません。
けれど「キレイであろうと意識する」ことが悪いはずはありません。いつもの生活をしながら、ちょっとだけ、指に意識をこめてみてください。グッと美しくなりますから。
想像してください。あなたの中指と親指の間には「見えないゴム」があります。
■さらに手をキレイにみせる3つのポイント
ここでは、さらに手をキレイに見せたい方のために、ちょっとしたコツをご紹介します。どれも僕が現場で気にしているポイントです。
1.指の間を閉じる
なにかの作業をするために指が開くのはかまいません。しかし、なにもないのに開いた指は、どうしても、ダラッとした空気感を醸し出します。
そこで指の見を、できるかぎり閉じること。きちっと「意識が指先まで通じている」という印象をあたえられます。「基本の手の三角形」も引き締まります。
もちろん、日常生活でそこまで気にかけるのは不可能です。あくまで「理想をいえば」という話だとお考えください。少しでも気をつけられたら儲けものです。
いま、あなたの指の間はどうなっていますか?
2.物を置くときに気をつける
物を置くときこそ、丁寧に、指を動かしましょう。音を立てないようにそっと、物と物が傷つけ合わないように。茶道のつもりで。
物を置くとは「手から離す」行為です。まわりを見れば、案外と、そこに気をつけている人の少ないのがわかります。テーブルに箸やグラスを置くのだってそうです。
たしかに気をつかわなくとも、ボールのように放り出すこともできます。しかし、だからこそ、そこを意識すると、ビシッと「あなたの手の美しさ」をアピールできます。
これは「物を置くときは、離れがたい恋人のように」という千利休の教えでもあります。この言葉だけでも、なんとなく教えられるものがある気がしませんか。
3.ゆっくり動く
バレエやフィギュアスケートを想像してください。リズムにのって、ゆったり動くものこそ、美しく見えませんか? もちろん高速回転するスピンもありますが、全体として、ゆるやかな感じのするのがわかるでしょう。
反対に、あわただしい動きは、それこそ「ゴチャゴチャした」印象を与えてしまいます。
ゆっくり手を動かすことで、より美しさを強調することができます。焦る必要はありません。忙しい日常のなかでも、たまには息を落ち着けて、ゆったり指を動かしてみるのはどうでしょう。
■最後に
今回は「手をキレイに見せる方法」をご紹介しました。
これをお教えすると、大抵の方は、自分の手とにらめっこしたあと、「これって……器用じゃないとできないんでしょうか?」と質問されます。
そんなことありません。
これは“慣れ“の問題です。箸を持つのだって、初めて習ったときは、とても大変なことのように思えました。それがいまや、あなたも、お喋りに熱中しながら食事することができます。それとまったく同じことです。
たしかに、はじめは意識する必要があります。けれど、いつしか型が身につくと、自然と「キレイな動き」ができるようになります。なにも考えずとも、あなたがキーボードをタイピングして、服のボタンをかけられるように。
もしかすると、だれかに「キレイな手をしてますね」と言われて初めて、それに気づくのかもしれませんね。だれが最初に声をかけてくれるでしょう? その日を楽しみに、ちょっとだけ中指と親指を意識してみましょう。