突然の結婚宣言。「AKB選抜総選挙」から株式投資を考える
「私、私、結婚します」と宣言し、一躍話題になったNMB48の須藤凛々花さん。これからの進退に注目が集まっています。筆者はこの宣言を聞いた瞬間、「これは、デフォルトじゃないか⁉(投資用語で、債務不履行とか破綻の意味)」と思いました。「AKB選抜総選挙」には、投資の世界に似た要素があるんだなと感じたのです。
ケインズという有名な経済学者は、投資家の行動パターンをあらわす例え話として、「株式投資は美人投票のようなものだ」といったそうです。
ケインズがいった「美人投票」とは、自分が美しいと思う人に投票することではなく、多くの人がよさそうだと思うところに投票するという話です。
自分が大好きなアイドルを推す「AKB選抜総選挙」(以下、総選挙)とケインズの美人投票とは、意味合いが少々違いますが、今回の出来事を株式投資の世界を通してみていきたいと思います。
■「AKB選抜総選挙」と「株式投資」の共通点って?
株式投資をするときには、会社の成長性であったり、どのような商品を作っているか、これからヒットするか、などさまざまなことを見極めて投資します。
一方で、総選挙も「アイドルにがんばってほしい、これからも応援したい、将来性があるか」などファン個人の想いや評価基準を軸として投票が行われます。
株式投資の魅力やメリットは、投資した会社が成長することによって得られる、値上がり益、配当金、株主優待があります。これを総選挙で考えてみると、投票する人のメリットは「投票したアイドルの活躍を見られる、認知度が上がる、応援したアイドルが喜ぶ」などが挙げられますね。
お金をかけた分、なんらかのメリットが自分に返ってくるかもしれない、という期待が投資と投票の共通点。
株式投資は、応援したい会社にお金を投資します。数多くの投資家が、お金を投資することで株価(=その企業の人気度)はどんどん上がっていきます。
総選挙は、CDを買ったり、ファンクラブに入ったり、さまざまな方法で投票する権利を手に入れて、投票をするとメンバーの順位は上がっていくことになります。
須藤凛々花さんには約5000万円が投資されていた?
話は逸れますが、代表的な投票権を手に入れる方法がCDの購入です。そのCDの値段は1枚1646円。
80位の名前が呼ばれるメンバーでも、1万5396票の得票数があり、お金に換算すると約2530万円になります。1位の指原莉乃さんは、24万6376票もあるわけですから、単純に計算しても約4億円ものお金が動いているわけです。
須藤さんは、3万1779票で約5230万円にものぼります。これだけのお金が動いている中での、突然の結婚宣言にみんなが驚いたのです。
■「結婚宣言」=会社の危機⁉
株式投資の世界で考えると、グル―プを辞めることは会社が倒産したと同じこと。せっかくお金や時間をかけて応援していたのに、アイドルとしての活躍が見られなくなってしまいます。
「将来性がありそう! これからも応援したい」という想いなどを持って投票したあとに、「私、結婚します」と聞いたら誰だって驚きます。恋愛禁止のアイドルグループですから、この先の活動がどうなってしまうのかと不安になった方も多いのではないでしょうか。
例えば、自分が投資した会社が投資した直後に「業績が悪化しました」とか、「製品の不具合でリコールします」なんて発表があったら困りますよね。株価は暴落して、自分の投資した価値を下回ってしまうことになります。これからどうなってしまうのだろうと不安に思う気持ちは膨れ上がります。
結婚というニュースは、おめでたいことですが、アイドルという立場としてあるまじき行為だと一部からバッシングを受けています。株式の世界でも、悪いニュースがあると株式はどんどん売られて、株価が暴落するのです。
■潰れても終わらない
卒業することを選んだ須藤さんですが、もしかしたら、別の形で再スタートなんてこともあるかもしれません。一旦は経営の危機に陥っていたJALやシャープなども、経営再建をして今があります。
結婚宣言という出来事を予測するのは、内情を知っていた関係者以外には不可能に近かったことです。投資の世界でも、先のことを予測するのは不可能です。でも、それが醍醐味だと思うのです。