「痛みにサヨナラ外反母趾ガイド」より引用
外反母趾=幅広靴がいい。その考えは捨ててください
外反母趾の方は幅広靴(ゆったりした靴)を選ぶことが多いです。でも、それが正解なのでしょうか? 足の専門サロンを主宰し、さまざまな女性の外反母趾を見てきた身としては、「外反母趾=幅広靴がいい」という考えに疑問を感じざるを得ません。足の痛みや変形などのトラブルを起こさない、本当に正しい靴選びを数回に渡ってご紹介します。
■外反母趾と痛み
年代に関わらず、外反母趾(がいはんぼし)に悩む女性は、多くいらっしゃいます。
女性が8人ほど集まる場に行くと、ひとりないしふたりから、「外反母趾なんです」と打ち明けられることが多いです。
もちろんそれは、私が足のトラブル専門サロンを開業していることもありますが、それを加味しても、外反母趾に悩む女性の数は、世に出ているデータよりも多いのではないかと感じています。
意外なことに、足の指の曲がる角度と足の変形の痛みはリンクしません。足の親指が隣の指に乗るほど角度が曲がっていても、変形時にはまったく痛くなかったという方も少なくないのです。一方で、見た目はさほど指が曲がってなくても、付け根がじんじん痛むという方も。
痛みを感じないと、人間はその状態を放置しがちです。「気づくとこんなに曲がっていた」といったケースをカウンセリングで何度も伺いました。
診断基準として、親指が内側に曲がっている角度により、外反母趾であるかないかが診断されます。レントゲン撮影(X線撮影)を行い、外反母趾角(足の親指の付け根の関節の曲がり具合の角度)が、15度以上である場合に外反母趾と診断されます。
では、その角度が14度以下であれば問題がないのでしょうか? 私はそうは思いません。
もちろん角度が大きくなればなるほど、歩きにくくなり、歩行に支障をきたします。ただ、外反母趾角が 20度以上40度未満の中程度でも、痛みもなく腰や膝に負担もなく、問題なく過ごしている方もたくさんいらっしゃいます。
■外反母趾の問題は「角度」よりも「痛み」
外反母趾の痛みは、種類も原因もさまざまです。歩く度に痛む方、静止をしていてもじくじくと痛む方、 靴が当たって痛い方。
痛みをかばって歩くことで、姿勢や立ち方、歩き方に影響を及ぼします。それがやがて、足の指の問題だけでなく、膝や腰、首や肩喉の不調にもつながるケースも少なくありません。
まずは、「痛み」を止めることが、第一優先です。
曲がった足指を真っ直ぐにすることで、足の痛みがすべて改善されるわけではありません。まずは開張足と呼ばれる、横にベタっと広がった足裏アーチを、整えていくことが大切です。
そのためには、「正しい靴選び」が欠かせません。
■外反母趾だから幅の広い靴を選ぶ。これって正解?
「私は外反母趾だからゆったりした幅広靴を履いているんです」「靴屋さんでも、3E(幅広靴)を勧められました」
これらは本当によく聞く言葉です。
靴に足が当たらないことで、問題が解決するのでしょうか? さまざまな女性の足を見てきた私の経験上、むしろ悪化することのほうが多いです。
横幅の広い靴を選ぶことで、足はどんどん横に広がっていきます。
扇状に広がった足は、次の段階で足指が内側に曲がって、外反母趾や内反小趾(小指側が内側に曲がる状態)を引き起こします。加えて、大きい靴の中で足は横揺れをし、常に地震を起こしているような状態に。
これでは、 足の痛みは治りません。まずは、小さすぎず、大きすぎない靴を選ぶことが大切です。
自分の足にぴったり合う靴を選ぶには、正しい足長だけでなく 足囲(幅)も測り、縦も横も合わせていく必要があります。
眼鏡を買うときに眼科で処方箋をもらうように、 靴を買うときも自分の感覚で選ばず、「足の実寸を数値で知ること」で、足のトラブルに繋がる靴選びを卒業しましょう。
次回は、「外反母趾とおしゃれ靴」をテーマにコラムをお届けします。
2017年8月31日公開
2019年6月14日更新