見る者の心を激しく揺さぶる愛の物語 -『光をくれた人』 古川ケイの「映画は、微笑む。」#12
デレク・シアンフランス監督による最新作は、ベストセラー小説『海を照らす光』を、監督自らが熱望して映画化した『光をくれた人』。英ガーディアン紙にて「ティッシュ会社の株価があがるほど、観るものは涙するに違いない」と絶賛された、静かな愛の物語です。
◼︎演技を超えたーー最高のキャストで贈る、愛の物語
本日DRESS読者のみなさんにオススメしたいのは、小説『海を照らす光』を映画化した『光をくれた人』。
『それでも夜は明ける』『スティーブ・ジョブズ』でアカデミー賞に二度ノミネートされたマイケル・ファスベンダーと、『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞に輝いたアリシア・ヴィキャンデル。この映画の撮影中に実際に恋に落ちたふたりによる迫真の演技が、見る者の心を激しく揺さぶる愛の物語です。
◼︎原作はM・Lステッドマン『海を照らす光』
原作小説『海を照らす光』(原題:The Light Between Oceans)を描いたM・Lステッドマンは、西オーストラリアで生まれ育ち、現在はロンドン暮らし。
処女作である『海を照らす光』は、2012年7月にアメリカで出版されるや否や、世界中でベストセラーとなり、これまでに40以上の言語に翻訳されました。
◼︎監督は『ブルーバレンタイン』のデレク・シアンフランス
本作の監督を務めたのは、1974年アメリカ・コロラド州出身のデレク・シアンフランスです。
1998年に『Brother Tied』(日本未公開)で監督デビューしたシアンフランスにとって、本作は『ブルーバレンタイン』『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命 』に続く、4作目の作品。
小説を読んだときに、地下鉄の中で人目もはばからず泣いたという監督にとって、本作は原作を元にした初の作品となっています。
そんな同監督の代表作であり、ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズが出演した『ブルーバレンタイン』は、一組の壊れゆく夫婦と、彼らが恋に落ちるまでを描き、世間に衝撃を与えました。
もし『ブルーバレンタイン』をまだ観ていない! というDRESS読者の方がいましたら、こちらも大人の女性の心に刺さる大傑作となっておりますので、ぜひご覧ください(ただし、決して夫婦で一緒に鑑賞はされないようご注意を)。
◼︎静かな感動を呼ぶ『光をくれた人』のストーリーは?
オーストラリア西部、バルタジョウズ岬から160キロも離れた絶海に浮かぶ孤島、ヤヌス島。
インド洋と南極海がぶつかる大海に浮かぶ、誰一人住む者のいないこの孤島で、トム(マイケル・ファスベンダー)は灯台守の仕事についていた。
1918年、戦争で心に深い傷を負い、この仕事を選んだトムだったが、契約を結ぶために戻ったバルタジョウズの待ちで、眩しいほどの生命力にあふれた女性・イザベル(アリシア・ヴィキャンデル)と出会い、恋に落ちる。
イザベルが人生に光を取り戻してくれたことに気づいたトムは、彼女にプロポーズし、ふたりは夫婦となって孤島での暮らしをスタートさせた。
だが、ふたりの幸せな日々は長くは続かなかった。
1度目の子を流産したイザベルは、続けて2人目の子供も流産で失ってしまう。
失意の底から立ち直れないふたりだったが、ある日、島に流れ着いた一隻のボートによって、彼らの人生が一変する。
そのボートには、すでに息絶えた男性と、女の子の赤ちゃんが乗っていた。
赤ちゃんを、自分たちの子として育てたいと懇願するイザベルに、トムはそれが間違っていると知りながらも、承諾してしまうのであった。
それから2年。
ルーシーと名付けられた赤ちゃんに、愛情を注ぐトムとイザベルだったが、洗礼式のため訪れたバルタジョウズで、トムは教会の墓の前でむせび泣く女性を見つけてしまう。
彼女こそが、ルーシーの実の母親であるハナ(レイチェル・ワイズ)だった。
果たして、トムとイザベルは、ハナに真実を打ち明けるのか――? そして、ふたりの最愛の娘、ルーシーの行く末は――?
◼︎ラスト10分は涙なしには観られない!
本作が描くのは、戦争による死と生、育ての親と産みの親、過去の傷跡と未来への希望、真実と嘘といったふたつの対極とその狭間で揺れる人間たち。
舞台となるヤヌス島の語源が、終わりと始まりの顔を持つローマの神「ヤーヌス」から取られているのも、決して偶然ではありません。
喜びと苦痛、愛と憎しみの果てに、ふたりはどんな決断を下すのか――。
ラスト10分、涙なくしては観られない『光をくれた人』は5月26日より公開です。
◼︎『光をくれた人』公開情報
『光をくれた人』
5月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかロードショー
監督:デレク・シアンフランス『ブルーバレンタイン』
原作:「海を照らす光」(M・L・ステッドマン著/早川書房刊)
出演:マイケル・ファスベンダー『それでも夜は明ける』、アリシア・ヴィキャンデル『リリーのすべて』、レイチェル・ワイズ『ナイロビの蜂』
配給:ファントムフィルム
上映時間:133分
公式サイト:http://hikariwokuretahito.com/
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