ミラノ最大の商業イベント・ミラノサローネ~ミラノ通信 #8
4月といえば世界中の注目を集めるデザインとインテリアの展示会ミラノサローネが開催されます。街は業界関係者と来場者であふれていました。ミラノ最大のイベントの模様を河見恵子さんがレポートしてくれました。
毎年4月にミラノで開催される<Salone del Mobile>サローネ・デル・モービレ。通称ミラノサローネは、およそ160カ国から30万人以上の業界関係者と3万人以上の来場者を迎える、デザインとインテリアの展示会です。
2億5千万ユーロの経済効果をもたらすといわれるミラノサローネは、今年は4月4日から9日まで開催、初夏を思わせる天候にも恵まれて、ミラノが1年で最も賑やかに、活気あふれる1週間となりました。
■ミラノがデザインとクリエーションであふれる1週間
ブレラ地区、通りはどこもすごい人だかりでまっすぐ歩けないほど、店舗やパラッツォ、中庭、敷地内はどこもデザイン展示であふれます。歩道にも椅子やテーブルを置いた休憩所や、個人の展示まで。
ミラノサローネは、RHO FIERAと呼ばれる国際見本市会場での展示会と、 FUORI SALONEと呼ばれるミラノ市内でのいくつかのゾーン(Brera、Tortona、Lambrate)での催しがあり、その数400カ所以上、見応えあるインスタレーションが繰り広げられます。
街中がデザインとクリエーションでいっぱい、そこに集まる人々のエネルギーでいっぱいのサローネは、デザイン先進国イタリアならではの一大イベントなのです(サローネは見本市、Fuoriは外という意味)。
会場は店舗やショールームだけでなく、大学まで。ミラノ大学も毎年恒例で、INTERNI誌が主催する大掛かりな展示会場となります。
大学構内、至るところにさまざまな展示
■若手デザイナーの展示では、後の有名デザイナーの発掘も
地下鉄で30分の郊外にあるFIERA会場は展示面積約21万平方メートル、東京ビックサイトの3倍ほどの広さを誇り、世界の家具メーカーが出店しています。会場が広すぎて1日で見るのは困難。
奇数年にはEuroLuce(照明器具)、偶数年にはEuroCucina&Bagno(キッチンとバスルーム)と交互に開催されます。
またサローネ・サテリテという若手デザイナーたちの展示もあり、後の有名デザイナーが発掘されています。日本のnendo佐藤ナオキ氏もここで見出され世界に飛び立ちました。昨年の来場者数は37万人を記録しました。
こちらの展示会場はプレスや関係者向け、最終の土日だけ、一般入場可能です。
FIERA会場に行かなくても、街中がデザインで溢れるこの期間、チェントロ(中心地)をブラブラするだけで十分楽しめるのがサローネの良いところ。
デザインや家具の店ばかりでなく、ファッション店舗、バール、教会、大学、パラッツォ(邸宅)の中でも、どこもドアオープンでさまざまな展示やイベントが催されます。
照明デザインオフィス、Viabizzuno
ニットの魔術師、MISSONI、ミッソーニのプリントを好きなだけお持ち帰り。ミッソーニスタンプやくるくる丸めて止めるカラフルな輪ゴムまで用意されている
エルメス、全てがスカーフ収納用にあつらえられたデスク、陶器のアーカイヴも
■歴史ある美しいパラッツォはまるで美術館のよう
普段は入れないパラッツォの中を覗くことができるのも、興味深いところです。素敵に手入れされた美しい中庭や、フレスコ画のある高い天井、階段や扉なども素晴らしい装飾が施され、まるで美術館のような贅沢な空間。これだけでも十分に一見の価値があります。
歴史ある建物にモダンなインスタレーション、このバランスと空間が、なんとも素晴らしい効果を生み出します。
フィレンツェの時計会社OFFICINE PANERAIと日本のデザイン会社nendoのコラボレーション、Palazzo Viscontiにて
ルイ・ヴィトンは旅をテーマに展開する家具<Objets nomads>ここ数年、こちらの優美なパラッツォで開催。Palazzo Bocconi
■歩き疲れたら、至るところに置かれた椅子やテーブルで一休み
展示や街中の至るところに椅子やテーブルが置かれて、歩き疲れてちょっと休憩するのにありがたく便利。さりげなく置かれたものが展示されているものと同じ高価な椅子だったりするのが、なんとも粋ですね。
中庭にカフェを設えたところもあり、夕刻を待たずにちょっと一杯アペリティーボする人々も。
ELLE Décorコンセプトストア展示会場、Palazzo Bovara中庭に設えられたカフェ
■レストランは超満員!? 会期中はどこも大渋滞
オープニング前夜から、会期中はいろんなところでカクテルパーティーが催され、街は深夜まで人であふれます。
FUORI SALONEのイベントカタログは、会期中あちこちに置かれているのでピックアップして。ブレラ地区だけで170カ所ほどの催しが!
世界中から人々が集う1週間、ホテルは満室、道は渋滞、レストランはどこも超満席、サローネ目的でなくうっかりこの時期にミラノに来ると大変です。
深夜のレストラン。予約なしだと23時頃にようやく席があく
■ミラノサローネに行くなら、スケジュールには余裕を持って
ちなみにイタリアのホテルは時期により値段が変動、ハイシーズンには最低価格の3倍にも高騰することもあるのです。ミラノでサローネが開催される時は宿泊費が最も高くなるにも関わらず、かなり前から予約しないと部屋が取れない状態となっています。
来年のミラノサローネ開催は、4月17日〜22日の予定だそうです。
写真ではお伝えしきれない、この熱気とデザイン一色の雰囲気を体験したい方には、早めのホテル確保をおすすめします。
また、エネルギー溢れる街をぶらぶらしているだけで、かなり消耗します。ゆったりめのスケジュールを組んでくださいね。