ホントは怖い!? イオン導入の真実
イオン導入という美容法があります。電気の力を利用して肌に美容成分を浸透させるイオン導入が作用する仕組みや、ときとして肌に危険が伴う可能性もある、ということをご存じですか? 正しい知識を手に入れて美しい肌を目指す方法を、現役エステティシャン百木ゆう子が伝授します。
■イオン導入の仕組みを知る前に。押さえておきたい「肌の奥」とは
電気の力を利用して肌に美容成分を浸透させるイオン導入。その仕組みを詳しく知る前に、肌の仕組みを知っておきましょう。
肌表面の表皮層は上から順に角質層、淡明層(透明層)、顆粒(かりゅう)層、有棘(ゆうきょく)層、基底層に分類されます。
CMなどで見聞きする「肌の奥まで浸透」の「奥」とは一番上の角質層のこと。そして、この角質層の厚さが0.01~0.03ミリ!
食品ラップほどの厚さ(薄さ?)。つまり、化粧品の「浸透」というのは、角質層に化粧品の成分を行き渡らせることです。
あくまで皮膚表面の角質層までしか浸透はしないので、その下で細胞分裂している「基底層」や「繊維芽細胞」まで成分が届くことは、基本的にあり得ないということ。
これは化粧品の管理を行っている「薬事法」という法律でも決められていて、化粧品成分として角層より深く浸透していくことを広告すると、それだけで法律違反で罰則を受けることになっています。
■肌最大の役割は「体を守ること」
まず「肌」が何のために存在するのか? ということから考えましょう。基本として「皮膚」とは「障壁」です。異物が体内に侵入するのを防ぐ「バリア」の役目を果たすのが皮膚。
ここでいう異物とは細菌はもちろん、ビタミンCやヒアルロン酸などの美容成分も含みます。実は美容成分の分子が小さいからといって、肌に必ず浸透するわけではありません。
角質層とその下の顆粒層の間で「障壁」となるよう、まるで金網に電流が流れるような形でバリアとなり、外から異物が侵入できないようになっています。
そもそも肌最大の役割は「体を守ること」。良いものとか悪いものという前に、バリアで外敵から細胞や血管、神経を守るいわば甲羅のようなもの。
そのため、そう簡単に通過はできず、美容成分を肌内部に届けるためには、バリアをクリアしなければなりません。これをクリアするためにイオン導入で新たにイオンを送り込み、一時的にバリアを解放し成分を浸透させます。
子どもの頃に遊んだ磁石を思い出してください。同じ極同士を近づけると反発しましたよね。まさにこの作用です。