夏を涼やかに乗り切るコツは“軽さ”にある
美容家・岡本静香さん流、「涼やかでいられて心地よい」ベースメイクやヘアアレンジ、ボディの日焼け対策、汗対策をご紹介します。
連日、日最高気温が30度を超える真夏日が続いています。
まだ8月上旬。今後も当分暑い日が続きそうです。
どんなに暑い日でも涼しく過ごすために、私はふたつのことを意識して過ごしています。
(1)自分自身が快適だと感じる、涼やかな状態でいること
(2)(人から見られたときにも)涼し気な見た目であること
ベースメイクやヘアアレンジ、ボディの日焼け対策、汗対策など、やることはいろいろありますが、工夫次第で涼しく過ごせるのです。順番にご紹介していきたいと思います。
■ベースメイク
まず、ベースメイク。もちろん、強力な紫外線をカットするために、日焼け止めは必須です。付け心地はもちろん、持ち運びも軽いものを選んでいます。重い、というのは暑苦しさを感じるため、夏には合っていないと思うのです。暑い季節だからこそ、なおさらかろやかでいたい!
今気に入っているのは、シュウ ウエムラ「ステージ パフォーマー ブロック:ブースター」のナチュラルベージュ(8月26日発売)です。乳液のようにみずみずしく伸びが良いので、スキンケア感覚でつけられて、肌がぐっとトーンアップされるところがお気に入りです。
“潤いを保ちながら顔色を良く見せてくれる”
すべての下地にこの効果を求めています。
汗をかきやすい夏、とくに注意しているのは、ベースメイクをする際「ミルフィーユ」にしすぎないことです。
「メイクをしても崩れてしまいます」とおっしゃる方に多いのは、下地やリキッドファンデーション、パウダーファンデーションなど、幾層にも渡って重ねていることです。たくさん重ねれば重ねるほど、汗をかいてドロッとしてしまうのはあたりまえ。しかも、汗をかいたから……とドロッとした部分を拭き取ろうとすると、ムラができてしまいます。そのムラを元に戻すのも大変なことです。
決して塗り重ねなくても、美しい肌は作れます。私が主に使っているのは下地とコンシーラー、ルーセントパウダーの3つです。
そもそも私たちがファンデーションに求めるのは、「気になるところを隠すこと」「肌を明るくきれいに見せること」といった要素ではないでしょうか。前者はコンシーラーで、後者は肌をトーンアップして見せてくれる下地で対応できます。
コンシーラーでは足りないと思うなら、薄付きのファンデーションをコンシーラー的に使い、小鼻周りや目の下のクマ部分など、気になるところにポイントでのせてみてください。伸ばすのではなく、その場でポンポンとなじませるだけなので、たくさん塗る必要はありません。ルーセントパウダーについていうと、パウダーファンデーションよりも明らかにライトな付け感があります。テカリもしっかり抑えられますし、焼けやすい部分に重ねづけしても、重たくはなりません。
■ヘアアレンジ
髪の毛をアップスタイルにするか、ダウンスタイルにするか、シチュエーションに応じて細やかに、臨機応変に調整するのもこの季節ならではです。
屋外で過ごす時間が長いときは、必ず髪の毛をまとめます。ジリジリと照りつける日差しの下、髪の毛をおろしていると、どう考えても自分自身が暑苦しく感じるし、見た目にも涼しくありません。
一方、屋外で過ごす時間が短いとき、夜から外出するようなとき、肩・デコルテ部分が大きく開いたワンピースやドレスを着るときなどは、髪の毛をおろしています。夏だから髪の毛は常にアップスタイルにする、というのがベストだとは思っていません。そのときどきのシーンに合わせて、アレンジを楽しみたいのです。
「家から駅へ向かっている間に、頭から汗をかいて、前髪が濡れてしまう……」
そんなお悩みを聞いたことがあります。私自身は普段、早朝に散歩をしたり、お風呂に塩を入れたりして、「習慣的に汗をかく」ようにしているせいか、外出しても背中にサラサラした汗をかく程度で、顔周りに汗をかくことはありません。小学生の頃は、重たい荷物を持って帰ったときなどに、母から「顔にたくさん汗をかいているわね。かわいそうに」と言われたのを覚えていますが(笑)。
日常的に汗をかいていない方、汗をかく習慣のない方は、涼しい部屋から外へ出たときに、いきなりドッと汗が吹き出てしまうのかも。そんな方は運動やお風呂など、汗をかくことを習慣化してほしいですが、それ以前に簡単にできるアイデアとしては、家から駅へ向かう間だけ、ヘアクリップで、髪をゆるく留めてみてはいかがでしょうか?
冷房の効いた電車に乗って涼しくなったとき、会社のビルへ着いたときなど、涼しくなったタイミングでクリップはサッと外す。そうすれば髪が汗で額にペタッと張り付いている……といった、ちょっぴり悲しい見た目にはならないはず。
ただ、くれぐれもアレンジしてかわいいクリップを使ってくださいね。真っ黒で大きな自宅用のクリップを使うと、それを外し忘れて、家から急いで飛び出してきた人のように見えてしまいます(笑)。「クリップではなく、アレンジしたい」という方は、ねじって上げるスタイルが洗練されていておすすめです。
ツヤっぽいワックスを使ってピシッと見せるのも知的かつ旬なな印象で◎。夏のロングヘアでも工夫次第で、涼しげに見せられるのです。
■ボディの日焼け対策
ボディ用にも日焼け止めを塗ります。
最近お気に入りなのはLADUREEの「UV PROTECTION BODY CREAM N」とJILL STUARTの「RELAX Aqua Chiffon Protector W」。みずみずしく潤い感のある付け心地で、重ね塗りしても不快感はありません。
日焼け止めというと、「The日焼け止め!」ともいえる独特の香りがするものが多いなか、こちらの2つは、ラブリーなブランドを体現するうっとりする香りが漂います。
肌に伸ばすとみずみずしいクリームそのもの。付けていて不快感がまったくないのです。
それでいてSPF50+/PA++++とどちらの値もMAX。
あまり肌を焼きたくないとき、こんがりと日焼けてしまった肌を白肌に戻したいとき、屋外にいる時間が長いときなどは、重ね塗りをすることにしています。
もし、ボディに日焼け止めを塗り重ねるのが合わない、あまり好きではないという方がいらしたら、オーガニック系コスメブランド、AMRITARAの「オールタイムパウダーサンスクリーン」をおすすめします。
こちらも軽量なパッケージで、持ち歩きにも向いています。
日焼け止めに加え、日傘やサングラス、羽織ものなどの小物類も、ボディの日焼け対策には必要不可欠。
これらもすべて「軽いもの」で揃えるのが私流です。
Little New Yorkで買ったこちらの羽織ものは、綿素材とシフォン素材とが切り替わるタイプで、こうして丸めてバッグに入れても、着ても、とにかく軽い!
人で混雑した中を歩くときなど、日傘をさしづらい状況のときは、この羽織ものをまとって紫外線が肌に直接当たらないようにしています。
普通のカーディガンを夏に着ると、やや厚地に感じられますし、暑くて大変。
着るものの素材感も夏に合うような、心地よさを重視して選びたいものです。
■汗対策
最後は汗対策。
4〜5年前、ニューヨークのホールフーズ・マーケットで、オーガニックのデオドラント製品がずらりと並んでいるのを見て以来、デオドラント製品もオーガニックのものを使うようになりました。
それまではワキにシュッとすると一気に涼しくなる、爽快感重視の製品を使っていましたが、オーガニックのものに切り替えてから、それがいかに刺激の強いものだったか……と驚いたのを覚えています。
付けた後の香りもナチュラルではないし、中には肌がピリッと痛みを感じるほど、高刺激のものもありますよね。
美肌のためには良くないだろう……と考え直して以降、デオドラントは必ずオーガニックです。今年使っているのはWELEDAの「Wild Rose Deodorant」です。
こちらはつけた瞬間の爽快感はゼロですが、汗をかいて不快に思うことは防いでくれます。
自宅を出る前にワキにシュッとひと吹きするだけです。
アロマのような自然な香りで、5〜10分も経てば馴染んで消えていきます。
香水の香りとバッティングすることもありません。
デオドラント製品は持ち歩かない私ですが、タオルと替えのキャミソールは持ち歩いています。
肌をきれいに保つことが、美容をする上で私の一番の目的なので、刺激の強い製品を使いたいとは思わないのです。
だから、香りの強力な汗ふきシートも使いません。
代わりに使うのはハンドタオル。汗をかいた肌をタオルでサッとおさえる。ただ、それだけです。
同じように、キャミソールを持ち歩くのもシンプルな理由です。
日中、外にいる時間が長いときは、インナーが汗でジメッとしがち。
そんな服をずっと着ていると心地よくないので、「そろそろ限界!」と感じたときに、替えのキャミソールにチェンジ。
すると、シャワーを浴びた直後のように、びっくりするくらい気持ちよくなるんです。
たたむと小さくなるキャミソールと脱いだものを入れる袋を1セットにして持ち歩いています。
夏はまだまだ続きます。
涼やかに、かろやかに過ごすコツを探って、快適な日々を送りましょう。
※写真は岡本さん私物