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失敗を武器にできる人は、しなやかに生きられる。

失敗は恥ずかしいこと――そう思って立ち止まると、人生は硬直し、変化しなくなる。「今日を徹底的に楽しむ」と決めて生きれば、未来はきっとうまくいくと信じられるし、あらゆる変化に対応できるしなやかな人になれるのだ。

失敗を武器にできる人は、しなやかに生きられる。

一寸先は闇。

いままでの人生で何度そう思ってきたことか。

最初は、高校の卒業式の日だった。
その日は大学の合格発表も終盤戦で、私にとっては、すべての大学を落ちたことが確定した日で、卒業と同時に身分がなくなった日だった。

ほとんどの同級生は有名大学への進学が確定し喜びの卒業式の中、私は、最後まで笑顔を作りながら、講堂横のトイレの中で一人涙を拭った。

これは自分の努力不足だから仕方がないとしても、他にも何度もそう感じたことがある気がする。彼氏の浮気を知ってしまった、お金をだましとられた、妊娠中にお腹の中の子どもが障害を持っているとわかった、2億円の個人保証の契約があり、返済せざるを得なくなった。中傷記事が週刊誌に出た。お会いしたこともない著名人に、醜い誹謗中傷をされた。突然の退任、信じていた人に裏切られた。

数え上げればきりがないので、このあたりにしておくが、人生なんて、簡単に風向きが変わる。とんでもないミスを犯してしまうこともある。

こういった経験は大なり小なり、生きている限り誰も避けて通れないのだ。

■苦しみを飲み込めば、人は前進できる

じゃあ、そんなとき、どうしたらいいのか。その経験が苦しければ苦しいほど、損害が大きければ大きいほど、悲しければ悲しいほど、ダークサイドに落ちるのは簡単だ。

厳しいかもしれないけれども、まず、起きてしまったことは受け入れるしかない。「信じたくない」「受け止められない」。そう、心が拒否すればするほど、問題は亡霊のようにあなたの体内に残存し、傷が癒えることはない。

どんなに苦くても、どんなにまずくても、どんなに臭くても、まず一旦、切り刻んで飲み込んでしまおう。通過するしかないのだ。通過して立ち止まらず、そのまま歩みを続けるのだ。笑顔で進めば、きっと新しいチャンスが巡ってくる。

ほとんどの問題は1年も経てば、小さくなっていて、3年も経てば良い方向に向かっていたり、問題はほとんどなくなっていたりで、5年も経てばすっかり過去のことだという記事を読んだことがある。

でも、多くの人は「失敗したことが怖い」「失敗したことが恥ずかしい」と、立ち上がり、歩みを進めることを恐れる。でも、そんなことを気にしていては、人生は変化せず、低い状況のなかに安定を見つけて居座ってしまい、そのまま時間が経って、気づけば終わりに近づくだけだから、せっかくの一度きりの人生がもったいない。「早く立ち直れる人」こそ、常に幸せに生きられる人だ。

■信念を貫きたいなら、好きなものに向かっていくこと

そして、何よりも、人生に失敗なんてないのだ。

すべては、ただ一つの「思うようにいかなかった経験」にすぎない。
だから、「失敗した」ではなく「経験を得た」と考えるのが正しい。他の人がしたことなければないほど、その経験は貴重で、あなたの魅力と個性になる。

そして、そこで得た学びは宝だ。どん底で見つけた人生法則ほど強い武器はない。

その新しい武器をもって戦おう。そして、人生に、新しい変化を起こせばいいのだ。

ただ、変化を起こすのが苦手なタイプもいる。まず、「自分を見つめがちな人」だ。そういう人は、周囲が変わったことやルールが変わったことが受け入れられないので、「自分は変わりたくないけれども、周囲が変わるべきだ」という発想でストップしてしまう。それは、結果、他人依存であり、自分で自分を幸せにできる力を育てられなくなってしまう。最悪な場合、孤立する。視野を広くし、環境とともに柔軟に自分の在り方も変化させよう。

また、自分に自信がないから立ち向かえないという人もいるかもしれない。劣等感からかもしれないが、心が萎縮してしまって、動けない。

そんなときは、「好きなこと」に取り組めばいい。好きなことであれば、気持ちも高まるし、アイディアもわく。そして、本質を見ようとするし、徐々に自分の信念を貫けるようになるだろう。何よりも本当に好きで、心からほしいものに対しては、自然と体も、心も動くことができるからだ。

人生は一度きりだ。明日、死んでしまうかもしれない。過去の失敗を振り返ったり、未来の失敗を想像したりすることは、あなたのもっとも大切な心のエネルギーの無駄遣いだ。自分を大切にして、今日を徹底的に楽しもう。そんな開放的でやわらかな心が、輝かしい未来を信じる気持ちにつながり、常に変化に対応できる、しなやかな人でいられるのだ。

経沢香保子(つねざわ かほこ)
桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びカラーズを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社会を実現するべく、1時間1000円~即日手配可能な 安全・安心のオンラインベビーシッターサービス「キッズライン」を運営中。オンラインサロン「女性起業家サロン」も人気。

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経沢 香保子

桜蔭高校・慶應大学卒業。リクルート、楽天を経て26歳のときに自宅でトレンダーズを設立し、2012年、当時女性最年少で東証マザーズ上場。 2014年に再びキッズラインを創業し、「日本にベビーシッターの文化」を広め、女性が輝く社...

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