男性に贈るならあじさいの花束を。モテる女は観葉植物を選ばない。
男性に植物を贈りたい……そう思って「流行ってるし」と気軽に観葉植物を選んでいませんか? 実はそれ、男性にとっては負担かも。じゃあ何を贈ればいいの? 白かピンクの「あじさい」がおすすめな理由、ご紹介します。
職場の後輩ステ子がまた恋をした。ただいま絶賛片思い中の今回の相手は、向井理似の細マッチョな理系男子で、趣味はプラモデル作りらしい。もうすぐ彼の誕生日だそうで、プレゼントの内容について相談された。メインのプレゼントは、彼が前からほしがっていた建築関係の写真集。それに花を添えて、自分の印象度をグッと上げたいのだ、とステ子は言う。
「男性に花をプレゼントするってどうなんでしょう? 水を替えたりしなくちゃいけないからかえって迷惑でしょうか?」
「そんなことないんじゃない。それか、観葉植物なんてどうかしら?」
「あっ、それ、いいですね! 先月彼の家に遊びに行ったら、いろんな観葉植物の鉢があったし」
とはいえ私も、独身男性へのプレゼントなんて何がいいのかさっぱりわからない。そこで、結婚相談所の社長をしている、大学の同級生だった友美に相談してみることにした。
「ふう〜ん、観葉植物、か」
友美はワイングラスを軽くゆらしながら、しばらく考えてこう言った。
「男性には2通りいて、部屋にたくさんの観葉植物を置いているタイプと、まったく植物には興味がないタイプがいるのね。部屋に観葉植物を置いているタイプの男性なら贈っても大丈夫じゃない? と思うかもしれないけど、このタイプは特に要注意なのよ」
「えっ、どうして?」
「あのね、男性がベランダや部屋でわっさわっさ育てているのは、ただの植物ではなくて“俺の植物”なの」
「“俺の植物”!?」
「そう。プラモデルとか家電とか、お気に入りのコレクションを部屋にずらりと飾っているタイプは、一つひとつ選んだ理由とこだわりを持っている。だから“俺”が気に入ったもの、いいと思ったもの以外、決して置きたくないのね。気にいらない植物は彼にとって闖入者でありエイリアンなわけ」
「そうかあ……」
「逆に彼が、植物になんのこだわりも持たないタイプだったとしたら、植物の世話は負担なだけ。たいていカビはやすね。男性に観葉植物を『ちゃんと世話してね』と押しつけるのは、いきなり彼の部屋にあがりこんで『私のことちゃんと大事に扱ってね!』と言っているのと同じ脅迫行為よ」
「なるほどねえ。それじゃ、男性に贈って喜ばれる花ってなにかしら?」
「そうねえ。あれなんかどう?」
友美が指差したのは、レストランの花台にたっぷり活けられた真っ白なあじさいだった。
「私も今家に飾ってるけど、水がなくてもそのままきれいなドライフラワーになるから手間いらず。男性向けよ」
そう言って友美は、赤いソースのかかった鴨肉のローストを、きれいな動作で口に運んだ。
プレゼントの語源は「プレゼンス(存在)」だそうだ。相手に負担をかけず、かつ存在感はしっかり残す。花の贈り物は、まだまだ奥が深そうだ。
+++ もなみのちょい足しポイント +++
あじさいの花の花びらのように見えるのは、実は花びらではなく「がく」が変化したものです。よく、あじさいはドライフラワーにしますが、花びらがしおれて散ってしまわないのは、それが本当の花びらではなく、がくであるためです。
あじさいは、水を入れた花瓶に活けなくてもきれいなドライフラワーになるので、手間がかかりません。あじさいというと梅雨時の花というイメージがありますが、春から夏にかけては日本あじさい、秋から冬にかけては秋色あじさいが出回るので、ほぼ一年中手に入ります。
青いあじさいの花言葉は「移り気」で、恋愛対象に贈る場合はふさわしくないので、白(花言葉:広くて優しい心)やピンク(花言葉:元気な女性)のあじさいを、スタイリッシュに贈ってみてはいかがでしょうか。