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サイボウズ 大槻幸夫さん。家庭と職場、共通の価値観を埋めるのは「気持ちを言葉で伝える力」

サイボウズ株式会社のコーポレートブランディング部長大槻幸夫さんに、男性の子育てについてお話をお伺いしました。

サイボウズ 大槻幸夫さん。家庭と職場、共通の価値観を埋めるのは「気持ちを言葉で伝える力」

子育て中の父親を主人公にした連続ドラマ「声」を昨年12月に公開しました。2014年にワーママをテーマにしたワークスタイルムービー「大丈夫」を公開し、それが累計約150万回も再生されて。

サイボウズをライフワークについて考えている会社として知ってもらう良いきっかけになったので、今回は第二弾としてパパ向けを制作したんです。前回は2分47秒の短いムービーでしたが、今回はより深みのある映像として描きたく、6話の連ドラ仕立てにしました。

子育て中のパパや、子育て中の部下をもつ方に見ていただきたいです。

パパ役としてキャスティングしたのは田中圭さん。透明感あふれる俳優さんで、見ていて癒されるイケメンです。

ストーリーにリアリティを出すため、制作に関わっている男性陣が、「昨日、妻からこういうことを言われた」「家でこんなことがあった」と報告し合い、それを元に話を組み立てていきました。家の中でパパとママが言い合いをするシーンがありますが、あの狭い距離感でああいう空気になったら本当にツラい。

すごい「あるある」ネタだと思います。

■心理的に寄り添えていますか?

男性は、女性にとって子どもの世話や家事が大変だということは、わかっています。ただ「概念として理解している」だけであって、心理的に寄り添うところまではできていない。「寄り添う」から「相手の気持ちを聞けているか?」といったところまで、考えられたら理想なのですが。

僕は男性で、ついパパ寄りの考えになってしまうのですが、女性にはいきなり怒らないでほしいなと思います(笑)。この話をすると、女性陣からは「文脈があって、それがつもりつもって最終的に怒りに火がついただけで、突然爆発したわけではない」と叱られますが、男性は単に鈍感なんですよね。なぜ怒っているのかというところから話すと、男性にも伝わりやすいと思いますし、これはそもそも男性が身につけていかなければならないスキル。職場でも家庭でも根本は同じ。家族や部下、周りの人に対して、自分の気持ちを言葉できちんと伝えるスキルは重要です。ワークとライフはつながっているという点は、このドラマ内でも伝えたい部分でもあります。

前回のムービーは感動や共感をされた方が多く、たくさんシェアされました。今回のムービーは男性陣には身につまされるというか、「こういうことあるよね」という声がすごく多いです。YouTubeのアクセス解析でどんな方が見ているのかをチェックしてみると、25〜45歳の男性が多かったです。でも、そのわりにはシェアが少なくて。きっと、男性はシェアしたくないんでしょうね。特に妻に見られたらヤバいと恐れている(笑)。だから、見てパタッとパソコンを閉じる。

■優先順位の棚卸しを

きっと、見ていただいた人にはすごく届いているんです。逆にシェアしている人は「とはいえ、俺は家事も育児もやってるよ」という余裕のある人なんでしょうね。僕としては、これを教材に勉強会をするとか、職場で話し合うとか、きっかけになればいいなと考えています。先日、文京区で開催されたパパとママを集めて家庭のことを話し合うイベントでこのドラマが上映され、「こういうケンカ、うちだけじゃないんだと安心した」という声をいただきました。意外と男性って情報を仕入れていないのだなと感じました。

家庭内でコミュニケーションを図るのが難しいと感じている男性は、自分にとっての優先順位を考えてもらいたいです。僕くらいの世代の男性は、男は稼いでくるのが第一という価値観で育っているので、仕事とプライベートの予定がバッティングすると前者を優先し、「その日は仕事が入っているから」と普通に言ってしまうんです。でも、奥さまの視点でその発言を聞いたらどうでしょうか? ちょっと間をとって相手の気持ちになって考えられたら、優先順位は違ってくるはずです。いきなり価値観を変えるのは難しいし、答えも出ないと思います。すぐに何かアクションをとは言いませんが、このムービーにはいろんな登場人物が出てくるので、どこかにひっかかるはず。そこで考えることがあったら、ぜひ時間をかけてまずは悩んでほしいです。

僕自身は妻がしっかり言葉で説明してくれるタイプだったので、少しずつですが想像力がついてきました。料理は妻の方が好きかつ上手なので、僕は掃除や洗濯、ゴミ出しなど、料理以外の家事を主に担当。細かい話をすると、最初の頃は洗濯乾燥機を使う度に、中に残る糸くずを掃除しないで洗濯することで妻に注意されましたが、僕は「洗濯物がきれいになればいい」とだけ考えていて、糸くずの処理をしていませんでした。でも、あるとき、毎日糸くずを処理すればゴミキャッチにゴミがたまらないぞ、というあたりまえのことに気づき、前処理をし始めたんです。すると、妻が「いいね!」と言ってくれて。男性はあれをして、これもしてと強い口調で言われると拒絶反応が出てしまうので、自主性が出るまで気長に見守ることもひとつの方法かなと思います。

Text=姫野ケイ

■大槻幸夫さんのプロフィール

サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長。大学卒業と同時に知人と起業。2005年サイボウズに転職。製品プロモーションを担当。2009年新規事業「サイボウズLive」のローンチに携わり、プロモーション担当に。2012年にオウンドメディア「サイボウズ式」を立ち上げ、初代編集長を務める。2014年からはサイボウズLiveのプロダクトマネージャーに。現在は、サイボウズLiveのプロダクトマネージャーとコーポレートブランディング部長を兼任。

DRESS編集部

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