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はあちゅうさん×木村直人さん対談・前編「“変わりたいオーラ”を発して髪型に反映してくれるのが木村さんのすごさ」

髪は女の命、なんて言葉もあるように、髪型によって女性は良くも悪くも印象が変わります。そのため、美容師さん選びに悩んだ経験のある方は多いはず。中には、美容師さんとの会話が苦手で、美容室に行くのを億劫に感じている人もいるかもしれません。

はあちゅうさん×木村直人さん対談・前編「“変わりたいオーラ”を発して髪型に反映してくれるのが木村さんのすごさ」

はあちゅうさん×木村直人さん対談・前編 「“変わりたいオーラ”を発して髪型に反映してくれるのが木村さんのすごさ」

著書に『半径5メートルの野望』などがある作家・ブロガーのはあちゅうさんと、著名人のヘアスタイルを数多く担当している美容師の木村直人さん(air&LOVEST SN Div.manager)に「ヘアスタイルで女の人生はどう変わるか」について対談していただきました。

美に対する自信がゼロだった

はあちゅうさん(以下、は):木村さんと知り合ったのは、Web関係の友達とのご飯会でしたよね。有名な方の髪を切られていて、しかも「僕が切ると(お客さまの)運気が上がる」とご自身でおっしゃっていて、切ってもらいたいなとは思っていたのですが、同じairグループの別の美容師さんが何年も担当だったので、乗り換えづらくて。

でも、木村さんと二度目にお会いしたとき、こう切った方がいいと提案してもらい、有無を言わせないところに心が動いて切ってもらいました。私は何年もセンターパートの長い前髪で、それが自分のスタイルだと思って貫いていたのですが、今の前髪にしてからはすごく評判が良くて。その後はずっと木村さんにお願いしています。

木村直人さん(以下、き):はあちゅうさんの前髪を切ることについて、僕はそこまで深く考えていなくて、彼女自身がそういうキャラクターであることも、把握していない状態だったんですね。自分が髪の毛を切ったら運気が上がるよ、というのも一つの決め台詞でしかなく、これを言ったら刺さるんじゃないかと思ったことを言ったに過ぎません。

結果として運気が上がるかどうかはわからない。でも、僕の手がけた人が後に有名になったケースがいくつかありました。はあちゅうさんも向上心の高い方ですし、壁の境界線を越えられないのを押してあげたという感じです。もどかしい人間性を感じたというのが、はあちゅうさんの第一印象でしたね。

は:私は自分の美に対する自信が全然ないので、美容室に行ってどんな髪型にしてほしいか聞かれても「おまかせで」と頼むことがとても多かったんです。その中で木村さんは、「この人にはこれが良い」みたいな軸を持っていらっしゃるので、それが私とマッチングしていたのかなと。

き:ネット上のはあちゅうさんは強い印象に見えたり、他の人から見ると「おやっ?」と思われたりする瞬間もあると感じます。実際に会ってみると、謙虚で控えめで礼儀正しくて、きちんとしたタイプの人なんですが。そのギャップをどう解消したらいいのか考えました。

当時の髪型は、もっさりしていて暗く見える部分があり、自身を「開放」しきれていないのではと思ったんです。外見コンプレックスも大きかった。ネット上で外見についてひどい言葉を投げかけられていたのを知っていましたし。

は:木村さんがSNSやブログをチェックしてくださるのは、他の美容師さんとの差だと思います。私のことを知らない美容師さんだったら、実際の私とネット上の私とのギャップがあるのを知らないで、目の前の私のキャラを見ただけで切っちゃうんですけど、木村さんはオンの私もオフの私も知っている。だから、そこの良いバランスをとって髪型を作ってくれるし、キャラをわかってくれていることの安心感があって。

き:お客さまの発信は常にチェックしていますからね。ちなみに、はあちゅうさんが前髪をずっと長くしている理由を掘り起こすと、やはり自信のなさが大きく関わっていました。そんなの関係ないんだよ、そこではなく髪質で変化をつけると、ネット上で嫌なことを言われることはなくなるはず、という憶測で前髪のカットを勧めただけなんです。

は:木村さんとはプライベートでも仲良くしていただいているのですが、決してなれ合いのお友達ではなくてお互いにリスペクトがあるんです。美容室に来たときに馴れ馴れしくタメ口で接してくる美容師さんもいますよね。そうやって自分のプライベートに踏み込んでくる感じが苦手。木村さんは、外ではどれだけ仲が良くても、美容室にいる間はお客さんと美容師というプロフェッショナルの位置でいてくれているので、それが通い続けている理由ですね。

き:僕はある程度知名度がある方との接し方について、気をつけていることがあります。たとえば、ネット上では相手が自分よりも上にくるような立ち位置で文字を書いていかなければいけないと。僕は所詮、裏方なんです。

僕が「はあちゅう、今日はサンキュー!」と投稿したとしたら、その関係が崩れますよね。彼女のファンからすると気分が悪い文章でしょう。芸能人の方を担当する機会も多いですが、写真を撮る際にあまり自分が主張して映り込むことはせず、いつも見切れています。

は:いつも木村さんの顔が半分だけ写っている写真が芸能人の方のTwitterやブログにアップされているの、ご本人は自覚があるかどうかわかりませんが、天才的なブランディングだなと思います。「あ、これ、木村さんの撮り方だ」ってわかるので。

き:自分が好きな有名人の髪を担当した美容師が出てきて、主張するようなことをすると、それを見ている人は、すごく不愉快だと思うんですよ。だから意識してラインを引いています。

は:木村さんのところに行くと、毎回髪型以外に持ち帰ることがあるんですよ。「小顔になるマッサージ機が入ったよ」とか「はあちゅうさんに合いそうな新しいシャンプーが入ったから使ってみない?」と提案してくれるんです。美の領域においては、髪型以上のことを木村さんに教えてもらっています。

また、ブログにアップする用の写真の撮り方・撮られ方も教えてもらいました。読者モデルやカットモデルなんてやったことがないから、「今日、カット行ってきました」という写真もどう撮ればいいかわからないんですよ。でも、木村さんがそこは「こうして」って教えてくれるので、ブロガーとしてもヒントをいただいている感覚。

き:僕がはあちゅうさんのような立ち位置の人を担当する際は、できるだけ炎上しないように意識します。はあちゅうさんは知名度が高くても、アイドルやタレントではないので、カメラを向けられて「にこっ! パチ!」というのではありませんよね。もっと崇高な位置に持ち上げていくため、あえて目線を外した写真を撮ることも。ブランディングという意識を持ちながらヘアスタイルを提案しています。

は:木村さんにブランディングしていただき、仕事運は高まってきましたね。でも、全部木村さんのおかげかというと、そういうわけではなく、木村さんを筆頭に良い人間関係が自分の回りにできていって、その中に木村さんがいたという感じ。木村さんに髪を切ってもらうとき、毎回良い言葉をかけてもらえるんですよ。それは自分の運気を高めてもらえたなと思います。

女性の美ってプラシーボ効果のようなものが大きくて、どんな美容室に行っても想像していたスタイルと違うものになることがあると思うんです。木村さんは、今回はどこが変化したか、どういう理由でこの髪型にしたか、などを丁寧に説明してくれます。木村さんはこういう美の価値観があったから私に反映してくれたとわかるので、プロフェッショナルが全力を尽くしてくれたんだ、ということはすごく励みになります。

き:実は現場ではそこまで深くは考えていないんですよ。後づけ理論で、そのときに感じたことを髪型に反映しています。でも、髪型を提案する際のインスピレーションのおおもとは、ネットを見たり、実際会話をしたりする中で感じたことなのかもしれませんね。

は:私もおそらく、知らず知らずのうちに言葉では言わないにしても、今ちょっと変わりたいとか、気分を変えたいとか、なんとなくオーラを発していると思うんですよ。普通の美容師さんだったら気づけないんですけど、木村さんは圧倒的な経験値と人間関係があるので、それをコンマ、ミクロ単位でキャッチして髪型に反映してくれるから、毎回満足度が高いのかなと思いました。

き:はあちゅうさんはもやっとしていることがあると文章の質が変わるんですよ。以前も、伸ばしていた髪を切ることになったとき、文章の質がすごく変わっていて、何かもやっとしていることがあるんだなと感じました。ただ、髪を切ることで前に進めるということもあるじゃないですか。

は:木村さんはよく、年末に邪気払いに来なよって言うんですよね。髪の毛についている悪い物を断ち切るという意味で。そういう「哲学」みたいなものがある人に切ってもらったほうが良いですよね。

き:年末は節目じゃないですか。節目にハサミを入れることで新年に向かっていく、一番良い時期だと思うんですね。僕は両親が美容師で、「女性は12月、髪を整えて過ごしたいんだよ」と言われたのがずっと残っていて。1年間で溜まったもやもやを断ち切った上で、新しいところに進んでいくお手伝いを僕たち美容師がしないと、良い循環は生まれないと僕は思っていて、その活動を始めました。

は:人はすごく単純だから、髪の毛を切ったり新しい洋服を着たりすると、生まれ変わった気分になれるんですよね。人間はオーラが影響し合うものだと思うので、そういう波長みたいなものを自分が持っているだけでなく、切ってくれる相手が持ってくれていることは大事だと思います。

>>後編に続く

はあちゅうさん

ブロガー・作家。慶應義塾大学法学部政治学科卒。在学中にブログを使って、「クリスマスまでに彼氏をつくる」「世界一周をタダでする」などのプロジェクトを行い、女子大生カリスマブロガーと呼ばれる傍ら、レストラン、手帳、イベントをプロデュースするなど、幅広く活動。2009年電通入社後、中部支社勤務を経て、クリエーティブ局コピーライターに。2011年12月に転職し、トレンダーズで美容サービス、動画サービスに関わる。2014年9月からフリーで活動中。2015年4月から日テレ「スッキリ!!」火曜レギュラーコメンテーターに。
月額課金制個人マガジン「月刊はあちゅう」、オンラインサロン「ちゅうもえサロン」「ちゅうつねサロン」などを運営。著者に『自分の強みをつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『恋愛炎上主義。』(ポプラ社)『半径5メートルの野望』(講談社)など。雑誌、オンラインメディアなどでの連載多数。催眠術師資格を保有する。

ブログ:http://lineblog.me/ha_chu/
Twitter:@ha_chu

木村直人さん

air/ LOVEST SN.Div.Manager。ヘアカラーのスペシャリストとして数々の芸能有名人を顧客に持ち、かたやアレンジのアドバイザーとしても高い評価を得る。 雑誌やタレントのヘアメイクにも深く取り組んで幅広い仕事をこなす。 著書『air/LOVEST 木村直人のハラドキ☆ヘアスタイルBOOK』(三栄書房)はAmazonヘアケア部門ランキング第一位獲得。

ブログ:http://naotokimura.tokyo
Twitter:@air_kimura

Text=姫野ケイ
Photo=安井信介

DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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