1. DRESS [ドレス]トップ
  2. トラベル
  3. 誘いの言葉は、“アペロしない?” 【井筒麻三子のパリジェンヌ修行中】

誘いの言葉は、“アペロしない?” 【井筒麻三子のパリジェンヌ修行中】

アペロって、皆さんはご存知でしょうか? 何といってもパリに来ることを決めるまで大してフランスに興味がなかった私は、全く知りませんでした。アペロ? アポロ? ああ、あの懐かしいイチゴ味の……って違う、そうじゃない。

誘いの言葉は、“アペロしない?” 【井筒麻三子のパリジェンヌ修行中】

誘いの言葉は、“アペロしない?”

アペロはアペリティフ、食前酒の略で、ひいては食事の前に軽くおつまみを食べながらお酒を飲む習慣のこと。
フランス人はとにかくこのアペロが大好き。
気が付いたらすっかり仲良くなっていた日本好きなフランス人のご家族がいて、よく彼らの家にランチに行きます。
だいたい12時半ぐらいに到着して挨拶をすませたら、早速アペロ。
「何を飲みたい? ピーチのお酒、パスティス、梅酒もあるよ! (日本好きなだけに梅酒は常備)」
そう言われて、昼からぐびぐびっと飲み始めるわけです。

このおうちでは、つまみは基本スナック菓子。
日本での「アペロを楽しもう!」なんてネット記事には、なんだか素敵なおつまみがずらっと並んでるのを見かけますが、全然そんな手をかけない。
実は以前、Angersで1ヶ月だけホームステイをしたことがあります。
その家のお母さんがお料理好きで、お友達が来るからとマッシュルームにTARTAREのチーズを詰めたのを出したりもしていたけれど、まあその程度。
あくまでも普段着のごとく、デイリーなものなんです。

アペロというとシャンパン、というイメージもあるようですが、当然ながらそんな通常業務状態に置いてその存在は皆無。
シャンパンなんて高いお酒、普通の家ではそんなに飲まないし!
(いや、セレブなおうちではあるかもしれませんが、私の知っている一般家庭ではあまり見かけない)ま、もちろんレストランでは、ほとんどの場合用意されているけれど……。

そしてアペロは友人とだけでなく、デートの誘いにおいてもなんとも便利な言葉です。
“Tu veux prendre l’apéro?”(アペロしたい?)
“On va boir un verre?”(一杯やろうか?)
などなど、誘いの言葉は「食事でも」が多い日本と違って、最初から食事に行くことはあまりなく、まずは軽く飲んで話してみる。
話が弾んだ、あらいいんじゃない? とお互い思ったところで、じゃあこのあとどうしよう、ご飯でも行く?
と初めてなる感じ。
日本人的には「食べないで飲むと、酔いが早いんだけど……」と思うわけですが、それはそれで良し、ってことなんですかね?

そんなアペロ文化があるおかげで、フランス人の夕食時間はかなり遅め。
まず一杯飲みつつ、1〜2時間おしゃべりして、やっと夕ご飯という流れになるので、レストランも混み出すのは21時すぎ。
だからといって朝が遅いわけじゃないし、皆バイタリティあるなあ……と、つい感心してしまいます。
でもでも、気持ちは判るのだ。カフェのテラスで、わいわい話しながら、ぷはーっと一杯の至福……そりゃ、長引いちゃうでしょ。

関連記事

Latest Article